2017_05
29
(Mon)21:48

あの日3


ちょびっとだけ、続きです。

丁寧に書ける人になりたいと思う今日この頃。


【設定 陛下の過去捏造】
≪あの日3≫


「来月早々に出立する旨、国王陛下にお伝えせよ。」
「かしこまりました。」





黎翔の返書を携え、周康蓮は王都へ戻り。
北の地は僅かな間、平穏を取り戻した。

「ちょっと、行ってくる!」
「殿下、お待ち下さ――――ああ、もう行ってしまわれた……。」

黎翔はいつも通り辺境軍の陣営に入り浸り剣の腕を磨きつつ、北の大地を縦横無尽に駆け巡っていた。

「おーい、殿下―――!」
「一人でそんなに遠くに行くと危ねえぞ!」

彼らの声が聞こえているのかいないのか。
匂い立つ若木の如き身体を撓らせ愛馬に鞭をくれ、黎翔は全身で風を感じる心地よさに身を投じる。

「わ――――っ!!」

ここではいくら叫んでもいい。
腹の底から笑ってもいい。
どれほど泣いてもいい。

ここには――――この、北の地には。

「あはははっ!」

黎翔が望む『自由』があった。



夢中で駆けて、駆けて。

「っ!」

黎翔は、それに気付くのが遅れた。

「どうした、絶影!」

不意に愛馬の様子が変わったかと思うと、大きく揺れる。
何かを振り払うように右に左に走る彼に、黎翔は懸命にしがみついた。

何があった。

目の端で周囲を見れば、草の影には彼らと並走する複数の影。

「――――狼、か?!」

ぞわり、と。
自分の全身が総毛立つのを他人事のように感じつつ。

「面白い。」

黎翔は、不敵に笑んだ。

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