2017_04
02
(Sun)17:50

桜恋謡は愛を囁く 2

どうもこんにちはこんばんは。
春コミ終わって「もう何も書けない」と引退まっしぐらモードだったんですが気付けばリレーを始める段取りが。
なんの魔法でしょう。
前回のリレーが面白かったと仰って下さった方。
春コミでお声がけ下さった方々。
これからも頑張れ、とコメント下さる方々。
私の状態を敏感に察知した方。
「この世の春」にお越し下さるすべての方のおかげで、こうしてダラダラと書き続けております。

ありがとうございます。

前書きはこの辺りで。
それでは、リレーSS「桜恋謡は愛を囁く」第二話です。
もし宜しければ!

第一話はこちら (翡翠の煌めき、瑠璃の夢 様)




【設定 本誌ネタバレを含む原作沿い】
≪桜恋謡は愛を囁く 2≫


「――――あら?」

ああ、昨夜もつい興に乗って筆を走らせてしまった。
麗らかな日差しが寝不足の目に沁みる
そんな事を思いながら父母へ朝の挨拶をすべく廊下を歩いていた氾紅珠は、兄である水月が同僚の柳方淵と言い争っている姿を認め思わず足を止めた。

「貴様っ!陛下直々にお役を賜るなど身に余る光栄とは思わんのか!」
「後宮に入る許可を下さったときの陛下の視線といったらもう……ああ、気が遠くなりそうだ……。」

国王陛下の補佐官を務める兄は優秀だが引きこもり気味だ。
そしてそんな兄を迎えに来る柳方淵は官吏の鏡のような男で、つまり全く融通が利かない。
兄がなぜこうも出仕を厭うのか。
それは偏に狼陛下が恐ろしくてたまらぬからなのだが、柳方淵からすればそんな事は理由にもならない。

「頼むよ方淵、今日は見逃してくれないか。」

狼陛下から賜った恐ろしい眼光を思い出したのだろう。
水月は青褪めた顔で方淵の袖に縋るが、にべもなく振り払われてしまった。
紅珠は兄を気の毒に思ったが、方淵の行いはどこまでも正しいので庇いようがない。
かと言ってこのまま見ぬふりをして通り過ぎてしまうには兄が可愛そうだ。
どうしたものかと逡巡していた彼女は、聞き捨てならない言葉を耳にした。

「つべこべ言わずに出仕してお妃様に箏をお教えしろっ!聞けばお妃は全くの初心者というではないか。一分一秒を惜しんでお教えせねば陛下の面目にかかわる!」
「私だってお教えしたいよ。でも後宮に入る許可を陛下にいただく度に恐ろしいお顔で私をご覧になるんだ。『私を差し置いて妃に会うとは何事か』と言わんばかりの……ああ、もう……。」
「何を軟弱な。陛下の悋気が怖くて出仕できぬなど補佐官たる者――――」

出仕するのかしないのか。
拉致のあかぬ言い争いなどよりも、紅珠にとって大事なのは『お妃様』だ。
彼女は何かに背を押されるように兄のもとに駆け寄った。

「あの、お話し中失礼いたします。お話が耳に入ってしまいましたの。兄はお妃様に箏をお教えするのですわね?」
「……失礼だが、良家の子女が立ち聞きとはいかがな」
「お教えするのですわね?!」
「っ、そ、そうだ。」

『お妃様』と『箏』。
このワードが紅珠のスイッチを押した。

「私、箏だけは兄よりも得手でございますのっ!僭越ながら私がお妃様に箏をお教えしても宜しゅうございますか?!」
「なっ、貴女が?!」
「ご覧の通り兄は陛下が恐ろしくて出仕すら拒む有様ですわ。聞けばあまり時間もないご様子、私がお妃様に箏をお教えすれば陛下の悋気を賜ることもなくすべて丸く収まりますわ。」
「……それは確かに。」

眉間に皺を寄せて考え込む柳方淵。
紅珠はさらに畳みかけた。

「――――陛下の御為に、なりますわ。」

狼陛下への忠誠心にかけて右に出るものはない男、柳方淵。
彼は決めた。
ここは些末なことに拘っている場合ではないのだ。

「では、氾紅珠殿。委細は私から陛下にご報告する故、すぐにお支度を。」
「承知いたしました。すぐに――――。」

早足で去る紅珠と、やれやれと息を吐き自室へ戻ろうとする水月。
「貴様も仕度をしろ!」と怒鳴る方淵。

「なんだい、朝から騒がしいね。」
「旦那様。」

にこにこと。
食えぬ微笑を浮かべつつ少し離れた場所から彼らを見守っていた氾史晴は、桃花に念を押した。

「後宮へ行くときは美しく……『誰よりも』美しく、な。」
「かしこまりましたわ。『誰よりも』ですわね。」
「ああ。紅珠は誰よりも後宮にふさわしいのだから。」

穏やかな陽光に翳りが混ざる――――。

C.O.M.M.E.N.T

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2017/04/02 (Sun) 22:10 | # | | 編集 | 返信

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2017/04/03 (Mon) 11:27 | # | | 編集 | 返信

ゆん様へ

私も氾大臣の優雅な腹黒さが大好きです。
柳大臣もかなり好き。
柳氾両大臣のからみが本誌でも増えてくれたら鼻血でるかもしれません。(びょうき

話がそれました。
リレー、なるべくスピーディーに頑張りたいです。
ひらりひらりと話が変わりますよ~。
たぶん。←

2017/04/03 (Mon) 20:43 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

理桜さまへ

こんばんは!
うわーん、ありがとうございますー!

楽器初心者な夕鈴よりも何よりもヤキモチ陛下が困り者ですよね。
もういっそのこと陛下が箏を教えればいいのに!
ええ、手取り足取り。
……絶対イタズラするなぁ、陛下。

2017/04/03 (Mon) 20:46 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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