2017_01
14
(Sat)13:08

食事時

こんにちは。
楽しくPCをいじっていたらいつの間にかSSが。(なんでだ)
せっかくなので置いておきますね。

脳内補完が必要なSSですが、もし宜しければ。


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≪食事時≫


ボキッ。

「……。」
「陛下、筆は使い捨てではございません。」

いい加減にしろと言いたげな李順に構っていられるくらいなら筆など折らぬとばかりに黎翔は側近を睨みつけた。

「もう十日。十日、だぞ?!」
「私は二十日ほど邸に帰っておりません。」
「お前には待っている者などいないだろうが!」
「おや、そうとも限りませんよ?」
「え、なにそれ。誰か邸にいるの?!」
「この山を切り崩したら教えて差し上げます。」
「……ちっ。」

行儀悪く舌打ちをした国王はすぐさま準備された新しい筆をイヤそうに持ち上げ弄ぶ。

「もう十日も夕鈴を抱いてない…。ちらっと顔を見るだけじゃ満足できない…。」

くるくると机上を転がる筆をつつきながらダダ漏れていく心の声。

「夕鈴をもふもふしたい。お腹すいた。」
「何か持ってこさせましょう。」

そ知らぬ顔の李順。
むっとした黎翔から少し低い声が出た。

「これが終わり次第、後宮に戻る。こう腹が減っては仕事どころではない。」
「お食事なら王宮でも」
「私は狼だからな。自分で狩った獲物しか口に合わんのだ。」
「はいはい。」

呆れたような李順の返事にニヤリと笑んだ狼陛下は、筆を持ち直し猛然と書類に向かい始めた。

――――数刻後。

「最初からこれくらいのやる気を見せて下さると助かるんですがねえ。」

もぬけの殻の執務室で、ひとり李順はそう呟いて。
きれいさっぱり片付いた書簡の山を清々しい気持ちで眺めながら、小さく笑う。

「十日ぶりのお食事ですね、陛下。さて、私も今日こそは帰るとしましょうか。」

ひと月ほど前に邸にやってきた血の繋がらない『妹』。
口うるさい彼女の相手をするのは気が重いと呟きながら歩み去る李順の足取りは、心なしか軽やかだった。






「夕鈴!」

素晴らしい勢いで開いた扉に驚けば、キラキラとした笑顔の夫がいて。
夕鈴は反射的に後ずさった。

「夕鈴、夕鈴!ただいま!」
「お、お帰りなさい、ませ。」

満面の笑みでズンズン近づいてくる黎翔。
どうしたというのだろう、何か良いことがあったのだろうか。
夕鈴は気圧され気味に問いかけた。

「何か良いこと、ありましたか?」
「うん!」

パタパタと尻尾を振りながら抱きついてくる夫の様子がやっぱりあまりにも楽しげで、夕鈴も嬉しくなる。
どんな事があったのだろう、お茶を飲みながらゆっくり話を聞きたい。
そう思った彼女は夫の体を柔らかく押し返して茶器の支度を――――しようと思ったのだが。

「あの、陛下、お茶をですね。」
「夕鈴、やっぱりいい匂い…!」

できない。
予想以上にがっちりと抱きしめられてびくともしない。
自由を奪うようなそれに夕鈴が違和感を覚えた時にはもう色々と手遅れだった。

「逃げる気か?」
「っ!」

ぞくり。
耳に直接注がれたのは、狼の。

「十日ぶりの食事だ…。」
「食、事…?」

飢えて掠れた、甘い声。

「…いただきます。」

敢え無く捕われた兎に。
退路は、なかった。

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2017/01/14 (Sat) 13:54 | # | | 編集 | 返信

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2017/01/14 (Sat) 23:56 | # | | 編集 | 返信

りと様へ

妄想を楽しみましょう、なSSでございました(笑)
脳内補完ばんざい!
ふふ。←

アンケートへのご協力もありがとうございました。
参考にさせていただきす。

2017/01/16 (Mon) 07:48 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

あい様へ

白々と明けるまで啼き続けたことかと。←
陛下はさぞかしご機嫌で政務に臨まれたことでしょう!
お妃様は偉大だ…!

陛下はお妃様への差し入れに媚薬とか仕込むといいと思いますニヤリ。

2017/01/16 (Mon) 07:52 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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