2017_01
05
(Thu)20:38

初春

あけましておめでとうございます。
ウソみたいに激務だった大晦日からの来客ラッシュを終え昨日から出勤してホッとしている私です。

本年が皆様にとって良い年になるよう、お祈り申し上げます。

あああああああ、お正月疲れた。
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《初春》


夜明けとともに浮かび上がる王宮の甍。
徐々に射していく日が王都の街並みを照らし、さらに遠くへと光の帯を伸ばしていく。
あの光はほどなく北に届くだろう。

「…母上。」

自由を求めた母の墓標は、朝日を一番に浴びる小高い丘の上にあるから。
母はきっと、今朝も。
微笑んでいると思う。

「行って参ります。」

口の中で小さく呟き、朝議へ向かう。
かつん、と。
冷たく硬い床を踏みしめるごとに、己の纏う気配が変わっていくのがよく分かった。

「おはようございます、陛下。」
「ご機嫌麗しゅう…。」

王族という身分に縛られ生きていかねばならぬ自分。
兄王から狙われ続けた暗い思い出。
独りよがりな父の愛に殺された、母。

「――――。」

機嫌など麗しいはずがない。
ここは腐り切っている。

「朝議を、始めよ。」

この世のすべてへの怒りを纏う『狼陛下』が君臨する王宮。

冷え切った寒空の下。
白陽国の一日が今日も始まった。




「じゃあ、行ってきます!」
「うん、気をつけてね、姉さん。」
「ありがとう、なんていい子なの…!青慎っ!」

こんなに可愛い弟を持った自分は世界一幸せな姉だと今朝も確信を深めて、小さな門をくぐる。
大好きな母さんが遺してくれた、大切な弟。
可愛くて優しくて学問好きな青慎のために、自分は稼がねばならないのだ。

短期の王宮バイト。
住み込み(つまり食費が浮く)で破格の賃金。
『詳しいことは採用後』というのが少し気にかかるが、背に腹はかえられぬ。

「父さんの借金がなければ……。」

小心者なくせに賭け事が好きな父がこしらえた借金をこのバイトで一掃する。
そして健全な家計を取り戻し、青慎の学費を―――――

「よしっ!」

ぱんっ、と両手で頬を叩いて気合を入れ、茶色の瞳に黄金色の甍を映す。
優しく背を押す北からの風に押されるようにして、夕鈴は王宮へと歩み出した。



あの朝から――――数年。

「朝議を始めよ。」

張りのある強い声でそう命じる黎翔が纏うのは、春の風。
その頬には笑みすら浮かび、臣下は恐怖ではなく畏敬を込めて王に首を垂れる。

越えてきた、幾つもの冬。
終わらぬかと思われたそれも、今は昔。
あの日、小刻みに震えながら王宮に春を齎したのは、優しい兎。
怒りを胸に生きてきた王を解き放った夕鈴は、今。

「――――あ、動いた。」

この世の春を腹に抱き、天を仰ぐ。

「陛下に教えてあげなくちゃ。」

幸せを運ぶために。




食事時   
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C.O.M.M.E.N.T

blogタイトルがヽ(*´▽)ノ♪素敵な使われ方ですね。今年もあさ様の紡ぐ物語がたくさん読めますように。

2017/01/06 (Fri) 23:52 | TAKA2 #- | URL | 編集 | 返信

TAKA2様へ

思わずブログタイトルをねじ込んでしまいました〜。
今年もマイペースではありますが、頑張ります。
どうぞよろしくお願い致します!
お返事遅くなって申し訳ありませんでした。

2017/01/11 (Wed) 08:52 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

最近

こちらにお邪魔させていただいております!
想像→迷走→妄想→悶え→爆発しております!
昼夜問わず拝見させてもらっています!
素敵な物語、SSの数に脳内パンクしています!
愛が溢れております!ありがとうございます(*´ω`*)
よい1年になりますように!

2017/01/12 (Thu) 14:57 | みね #- | URL | 編集 | 返信

みね様へ

いらっしゃいませ!
SSの数だけはありますので、楽しんでいただけると嬉しいです。
よく書いたなぁと我ながら呆れておりますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2017/01/13 (Fri) 14:54 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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