2016_11
14
(Mon)22:33

狼の願い


【設定 原作沿い】
《狼の願い》


夢を見るのが嫌いだ。
なぜなら、夢に出てくる自分が嫌いだから。

『母上、ははうえ……、いやだ、僕を一人にしないでっ。』
清らかに微笑みながら永遠の眠りに就いた母を呼び戻そうと縋る醜い子ども。

『目障りだ。我が前から消え失せろ。』
泣き叫び命乞いをする裏切り者を躊躇いもなく斬り捨てる非情な少年。

『黎翔、お前さえいなければ……っ!』
酒毒と女に犯され気が狂った哀れな兄をあっさりと見捨てた冷酷な弟。

「……嫌いだ。」
私は自分が、嫌いだ。
醜悪で利己的でなにより、汚くて。
「最低だな。」
図らずも自嘲するほど、愚かな人間。

いつ捨てても惜しくない命も、この身に流れる王族の血が国の役に立つのなら。
傾きかけたこの国を『冷酷非情の狼陛下』が建て直せるなら。
私がこの世に生まれた意味も、少しはあるのかもしれない。
そう思って、生きてきた。

―――夕鈴、君に会うまでは。

「…花嫁は狼陛下の味方ですよ。」

青天の霹靂。
いや。
雷に打たれたような衝撃。

これまでも自らを『味方』と名乗る者など掃いて捨てるほどいたのに、彼女だけは信じられた。
まるで、乾いた砂に水が沁み込むように。
彼女の言葉がごく自然に心に馴染んだことが驚きだった。

詐欺まがいで雇い入れた臨時花嫁だから?
すぐに切り捨てることのできる『駒』だから?
お人好しな彼女の性格に付け込んだから?

そうなのかもしれない。
でも。

『――――でも…逃がしたくないな。』

そう、あの時にはもう本当は、分かっていた。

ただ、言わせて。
君を愛している。

僕は最低な人間だけど、それでも、どうしてもどうしても。
君が、欲しかった。
君にこれだけは、伝えたかった。

「陛下、眠れないの?」

今は本物の妃になって僕だけのものになった君を抱き締めて、それでも足りなくて。

「愛している。」

おそらく僕はこの命が尽きてもなお、言い続けるんだ。

「愛している、夕鈴――――愛している。」
「ふふ。私も陛下が大好きですよ……黎翔様。」

君に繋がるもの全てを、守るために。

C.O.M.M.E.N.T

こんばんは(^^)
陛下が背負うものは暗き闇のよう。
それを明るく温かく照らす光は唯一の存在。
お互いに思い合い、支えあっている様子がラストで伝わりニヤニヤしましたー(*´﹃`*)
あさ様のお話大好きですわー♡

2016/11/19 (Sat) 21:16 | 理桜 #- | URL | 編集 | 返信

理桜さまへ

コメントありがとうございます~。
我が家の陛下は夕鈴がいてくれるだけで随分救われていると思うんです。
一人は寂しいですもんね。

ニヤニヤしていただけてよかった!

2016/11/21 (Mon) 15:06 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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