2016_10
27
(Thu)22:53

白陽6


最終話です。

力尽きた(笑)


【設定 童話パロ?親指姫&かぐや姫&色々混ざっております。元ネタはお友達に見せていただいた花の写真です】

《白陽6》


『あなたは、誰?』
『突然ごめんなさい、朱音姫の姉姫様でいらっしゃいますね?』
『ええ。』
『この花弁を煎じれば国王陛下の病は癒えます。時間がないの、ごめんなさい……どうか、信じて。』
『あの、あなたは?』
『夕鈴、と申します。狼陛下の願い花です。』
『願い…?あ、待って、』

少し哀し気に眉を寄せ、だが、心に染み入る様な微笑を浮かべる女性。
その姿は儚く薄らぎ炎波国第一王女は侍女の問いかけに我に返った。

「姫様?」
「……。」

――――白昼夢?

ふと。
手のひらに違和感を覚え視線を落とす。

「これは。」

いつの間に握りしめていたのか。
そこには溢れんばかりの柔らかな花弁があった。

「こ、これは……っ、」
「どうなさいました?」

清々しく神々しい香とこの世のものとは思われぬ光沢を放つその花弁は、まさに。
神授。

「厨を使います。この花を煎じ、お父様に差し上げます。薬師は不要。毒見も私が。」
「花、とは……姫様?!」
「これよ、見えないの?」

戸惑い顔を見合わせる侍女たち。
姫は己の掌に視線を落とし、輝く花弁に微笑みかけた。
なるほど。
これは、余人には見えぬか。

「まあいいわ。それと……マナ、いるわね?」
「ハイ、姫サマ。」
「マナ、私が今から作る薬の効能を確かめたらすぐさま朱音を呼び戻しなさい。あの子が狼の牙にかかる前に……いえ、そうじゃないわ。」
「……?」
「この『花』へのお礼、かしら。」

炎波国。
現国王が病を得てよりこの方揺らぎ続けていた王家の威信は。
後世女傑と称された第二王女と賢王と称えられた女王により、栄え続ける事になる。


そして同じころ、白陽国では。

「ぅ……っ、」

――――ここは、どこだ。
ようやく目を覚ました黎翔は、ぐらつく頭を押さえながら体を起こした。

「くそっ、」

必死に思考を巡らせる。

「ゆう、りん、」

彼女は、どこだ。
かき集めたはずの花弁は、願ったはずの『願い』は。
どこだ。

「どこだ……っ、」

どこだ、何処だ?!

なにも分からぬまま立ち上がれば、土の感触。
馴染んだ香りと周囲の景色が黎翔を落ち着かせた。

「ここは私の庭、か。」

頭を巡らせばいつもと変わらぬ景色……いや、違う。
朝に夕に愛でていた白い花弁を持つ花、が。

「夕鈴?!」

どうしても捨てきれなかった『願い』そのものが。

「どこだ、夕鈴!」

その空間から、ぽっかりと抜け落ちていた。

「なぜだ!私は『願った』ぞ?!」

つい今しがたまで何かが植わっていた形跡のある土を掘り起こす。

「どこだ、夕鈴っ!」

喚く黎翔の指先に、ふと。

「っ、」

とくん。
柔らかく息づくものが触れた。

「これ、は――――。」

小さな球根。
あの日『神』と称する者から渡された、幸せの種。
夕鈴、君は――――

「戻っちゃった、の――――?」

主の願いを叶えるのが願い花の願い。
なかなか願い言わぬ主のせいで力を使い果たした願い花――――。

私は、間に合わなかったのか。
自らの運命に彼女を巻き込むことを恐れ、だが捨てきれず。
迷い惑わせた結果が、これか……?

黎翔が震える手で『夕鈴』を握りしめた時。

「きゃあっ!なんで私、またこんな格好…!」

部屋の奥。
誰も居ないはずの寝台から聞こえてくるのは鈴の声。

「やっ、やだ、着替えたいのに、なんで?!」

その鈴の音に吸い寄せられるように歩を進め、黎翔は手のひらにある球根を握り締めた。

これは、きっと。
いつかの自分が必要とするもの。
あの日あの時の自分に呼ばれるまで、神殿に通う時間を作るとするか―――。

「あ、陛下!あの、私、陛下の願いを叶える力が――――」

素肌のまま慌てふためく彼女。
真白い花弁を集めたようなその身体を抱き、狼陛下はただ、願う。

「愛している。」

どうか。

「辛い思いをさせるかもしれないけど……夕鈴、君を――――」

愛している。
愛している。

「僕の『花嫁』になって欲しい。」
「私、もう願いを叶えて差し上げられませんよ?」
「いい。」
「私、どこの馬の骨とも知れない妃ですよ?」
「君がいい。」
「私、わたし……っ、」
「泣くな、夕鈴。」
「……嬉しい。」

春夏秋冬、季節は巡れど、その国だけはいつも春の笑顔に包まれる。
白陽国。
この国に咲き乱れる白く豊かな花弁を持つ花を、人々は誇りを込めいつの頃からかこう呼んだ。

――――白陽。


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2016/10/28 (Fri) 02:11 | # | | 編集 | 返信

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2016/10/28 (Fri) 17:37 | # | | 編集 | 返信

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2016/10/28 (Fri) 20:19 | # | | 編集 | 返信

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2016/10/28 (Fri) 21:12 | # | | 編集 | 返信

宇佐美さまへ

すごい顔文字…怖っ!(笑)

綺麗なダリア・白陽を見せてくれてありがとうございました!
楽しく書かせてもらいました~。

2016/10/30 (Sun) 17:26 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

くみ様へ

ふふ、ごにょごにょ。←
この後は、ほら。
ねぇ。

によによ。

2016/10/30 (Sun) 17:27 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

ボナ様へ

初めまして。
あさ、と申します。
通販のご利用ありがとうございます。
って、ボナ様、全部読んだんですかここのSS。
は、恥ずかしい…っ!←

でも嬉しいです、ありがとうございます。
またお越しくださいませ。

2016/10/30 (Sun) 17:29 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

ichigo様へ

脱がせましたか、カバー!
すごいでしょ。
中身は飛ばし読みで結構ですのでカバーを!カバーを!←

陛下、この後どうしたんでしょうねぇ。
によによ。

2016/10/30 (Sun) 17:32 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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