2016_10
23
(Sun)16:40

白陽4


えー。
今回の「白陽」は、暗いターンです。
この次の回を書いてから4と5を連続UPしようと思ったんですが、そうすると時間がかかりそうなので後味悪いとは思いますがとりあえず4のみのUPです。(なんて長い文章www)

5からお話が動きます。多分。
あと少し続くので、のんびりとお付き合いください。



【設定 童話パロ?親指姫&かぐや姫&色々混ざっております。元ネタは某うささんから見せていただいた花の写真です】

《白陽4》


また少し時は過ぎて。
夕鈴が後宮に現れてから一つの季節が廻った。

日ごとに深まる妃への寵愛。
それを微笑ましく思う者もいれば、そうでない者もいる。

今は、夏。
やがて秋が来て冬が来る。
いかに神から授かった『願い花』とは言え、冬には枯れてしまうかもしれない。
ここ最近咲止まった夕鈴の本体を不安げに見つめ日を送る黎翔。
そんな彼の私室に現れた後宮管理人・張元は、馬耳東風な国王に必死に食い下がっていた。

「その話は聞き飽きたと何度言わせる?」
「ですが、陛下!炎波国の朱音姫は第二王女、王子なきかの国の第二王位継承者でいらっしゃいます。」
「……だから、なんだと?」
「っ、」

ひやりとした空気が辺りを包むが、後宮管理人・張元は怯まなかった。

「朱音姫を娶らばあるいは炎波が手中にはいるやもしれません。それに、言いにくい事ではありますが……、」
「辺境育ちの異端の王に箔がつく――――か?」
「……恐れ多いことながら、その通りにございます。」

珀黎翔。
父王の寵愛を一身に集めた母とともに辺境にやられた異端の王子。
伝統と格式を重んじるこの国において王宮から出された王子が玉座に就くことなどあり得ないはずだった。
だが弱体化した王家は内政の混乱を招き、異民族の侵攻を許してしまう。
自国の富を過信し現実を見ようとしない国王の代わりに辺境軍を率い国を守った黎翔はいつしか『狼』と呼ばれ。
そして、兄王亡き今。

「よい。正直者は嫌いではない。」
「……。」

傾きかけた国の行く末を一身に背負う『狼陛下』として生きている。
今必要なのは、強い国王。
長年後宮に国王に仕え続け誰よりもこの国の行く末を案じている後宮管理人・張元にとって、『狼陛下』は希望の光だった。
それ故に彼は、狼陛下に不足しているものをよく知っている。

「では、朱音姫の件は。」
「それとこれとは別の話だ。」
「朱音姫は陛下の許嫁にございますぞ!」
「しつこい。」
「確かに夕鈴様はお優しく朗らかな素晴らしいお妃様じゃ。ですが今の陛下に必要なのは由緒正しい家柄の――――!」
「黙れっ!夕鈴を貶める気か、張元!!」
「そ、そのようなことは決して…!」

噴き出る冷や汗を拭いながら、張元は必死に縋りつく。

「夕鈴様はようやく現れた陛下の大切な御方。じゃが、正式な許嫁である朱音姫を差し置いて後宮を独占している今の状況は、夕鈴様にご負担がかかり過ぎます。」
「どういう意味だ。」
「陛下には知らせるなと固く口止めされておりましたがのう……。」

ふぅ、と深く息を吐いて。
張元はひたと黎翔の眼を見つめた。

「今朝、夕鈴様のお食事に毒が盛られておりました。幸いにして大事には至りませんでしたが……これで三度目。」
「なっ、」

一瞬揺らぐ、紅眼。
寵愛を授かり過ぎた自分の母がどうなったのかが頭を過り、黎翔は少しの沈黙の後ようやく口を開いた。

「――――妃を見舞う。李順に使いを出せ、午後の政務は取りやめだ。」
「承りましてございます。」
「それと。炎波に使いを出し姫を寄越すよう伝えろ。」
「随分と急な。」
「輿入れ前にこの国を見せるのも悪くはないだろう。なにより、姫との縁談が生きていることを印象付ければ夕鈴への注目は薄れる。」
「……かしこまりました。」
「――――くそっ!!!」

ダンッ!!
壁に拳をぶつけ、黎翔は吠えた。
夕鈴を引き止める術を持たぬ自分への苛立ちと、彼女以外の女を娶らねばならぬ腹立ち。
王位に就くと決めた時に捨てたはずの感情が渦を巻く。

「陛下……。」
「うるさい黙れっ!!分かっている!」

そう、分かっている。
すべて理解している。
自分が何をせねばならぬのか、狼陛下の役割が何なのか。
夕鈴の願いは何なのか、なぜ自分には願いがないのか。

だが、今は。
今だけは。

夕鈴。
君に、会いたい。


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2016/10/24 (Mon) 07:51 | # | | 編集 | 返信

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2016/10/24 (Mon) 09:26 | # | | 編集 | 返信

あい様へ

おお、気づいていただけてようございました。
最新記事に気付いていただけるように、そろそろ通販の記事を下げようかな。

通販。
本気で全部お願いしちゃっておりますので、西に足は向けられない!
東西南北どこに足を向ければ。
そうか、天井に!←無理。
直立不動で寝るとします。←

2016/10/27 (Thu) 22:58 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

くみ様へ

いいんですよう。
こそこそでもこうして「来てるよ」コメント頂けるだけで励みになります。
また「来てるよ」下さい。

そして、今回勝手に朱音姫婚約者です。
長編を書くのって焦れて焦れて焦れて本当にもうっ!
アウトプットって大変(笑)

本誌、可愛かったですねぇっ。
齧りつきたい。←疲

2016/10/27 (Thu) 23:00 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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