2016_10
20
(Thu)23:26

白陽3


こんばんは。
あさ、です。

「白陽」。
更新遅れてすいません。
何パターンか分岐したので整理してました。
行き当たりばったりな私にしては真面目な作業(笑)
「兎の秘め事」もそうなのですが、長編になるSSは自分の中でしっかりとゴールが決まっていないとステキな事態を引き起こします。←
ですがそれもまた、楽しい。
「好きなものを好きなように書く」という行為が許される今の環境に心から感謝を捧げつつ書いております。

私の『楽しみ』が皆様のそれになりますよう。

ああ、本誌が待ち遠しい。



【設定 童話パロ?親指姫&かぐや姫&色々混ざっております。元ネタはお友達から見せていただいたお花の写真です】
《白陽3》



国王の自室の庭に突如現れた美麗な花。
大きな蕾が小首を傾げるように人を見上げるその仕草が愛らしいと、庭師たちは噂し合った。
いつどこから来た種なのかはおろか、名すら分らぬ花。
瑞兆か凶兆か判じきれぬまま、時は過ぎ。
その花と時を同じくして現れた『狼陛下唯一の妃』の周囲には不思議な現象が起きていた。

「失くしたと思っていた耳飾りが枕の下に!」
「おお、ぎっくり腰が治った…?!」
「密かに思いをよせていた方との縁談がまとまりましたの!」

そのひとつ一つは他愛もない事なのだが、夕鈴が現れてからの頻度は甚だしい。
偶然が積み重なった結果だとは思いながらも、後宮はどこか華やいだ空気に包まれていた。

夕鈴様は、幸運を呼ぶ―――――。

後宮に住まう唯一人の妃である彼女は、徐々にその存在感を増していった。
そしてそれは、黎翔にとっても同じことで。

「ただいま、夕鈴。」
「お帰りなさいませ、陛下。あら、お疲れですね?」
「うん、ちょっと大臣達と揉めちゃって。」

はは、と力なく笑う黎翔に駆け寄り、夕鈴は白い掌を彼の額に押し当てる。
最早習慣と化したそれ。
黎翔は嬉し気に目を瞑り、ほうっ、と息を吐いた。

「夕鈴はあったかいね。」
「黎翔様が寒がりなんです。それに……黎翔様の周囲の方々の『願い』は少し複雑ですね。」
「だよね。皆、王から何かを奪うことしか考えていない。まぁ、それが王様の仕事だけど、不甲斐ないなぁ。」
「そんな事はありませんよ、黎翔様はいつも国の平安を考えていらっしゃる立派な王様です。」

夕鈴の掌にどす黒いものが吸い込まれ浄化されていくのを感じながら、黎翔は花を抱く。

「ああ……あったかい。」
「ふふ、それにしても黎翔様は『願い』の無い方ですね。」
「そう?結構あると思うんだけどなぁ。」
「うーん、私は『願い花』ですから、周囲の願いを叶えるのが性なんですけど……黎翔様のはどうもご自身の『願い』ではなさそう。」

逞しく広い胸に頬を寄せながら、夕鈴は困ったように眉を下げた。

「私、願いを叶えるごとに花弁が開くんです。だから、ほら。」

彼女が指さした先。
庭先に咲く白い花―――つまり夕鈴の本体、は。
半ば以上の花弁が開いており、あと少しで――――満開。

「私は黎翔様の『願い花』です。あなたの心からの願いを叶えてから、元いたところに戻りたいの。」

ぐっ、と。
訳の分からない力に鷲掴みにされた黎翔の心臓が一瞬動きを止めた。

「っ、もど、る?」
「はい。どんな花も土に還るものですから。」
「願い花、も?」
「ええ、もちろん。あ、お茶が冷めちゃう前にどうぞ。」

にこりと屈託のない笑顔を向けられて。
黎翔は味ない茶を飲み干した。

「美味しいでしょう?今日のお茶菓子と合うんです。」
「うん、」

そうだね。

回らぬ頭のままそう答えた黎翔の足元には月明り。

「―――――あ、今日はここまで、です。おやすみなさい。」
「ゆう、り」
「あんまりお話しできなくて寂し――――――」

ふっ、と。
黎翔を包んでいた夕鈴の香が溶け失せた。

「……夕、鈴。随分と咲いたものだな。」

彼女を追うがごとく庭先に立ち降りた黎翔が見たものは。

「また、咲いた。」

恥じらうようにその真白い花弁を開く、一輪の花。
狼陛下唯一の花、だった。



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2016/10/24 (Mon) 07:43 | # | | 編集 | 返信

あい様へ

もうっ!←牛
願いは叶えてもらうんじゃなくて、自力で叶えるんですよ陛下。
初心な花弁を散らすがいいさ!

わけわかんない返信ですいません(笑)

2016/10/27 (Thu) 22:55 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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