2016_09
15
(Thu)12:34

花籠8


久しぶりのSS…!
早く終わらせなくてはと気になっていた「花籠」の最終話です。
今読み返すと、私以外の人が読んだら「何が書きたかったんだこの人」ですね、このお話。
お付き合い下さった皆様のお心の広さに乾杯!
深く感謝申し上げます。

原稿関係も落ち着いたことですし。
「この世の春」、ようやく通常営業再開です!
横書きバンザイ!
雰囲気SS楽しい!
出たとこ勝負最高!

では、もし宜しければ。



【設定 本物夫婦】
《花籠 8》

夜、後宮。

「お帰りなさいませ、陛下。」
「ああ、今戻った。まだ少し顔色が悪いな。」

長身を屈めて妃の顔を覗き込む国王。
侍女から見ても「近い」と思うほどの距離に寄せられた端正な面立ちに、初心な妃は頬を染める。

「おや、少し良くなったようだ。」
「も、もうっ、陛下ったら…!」

くすくすと。
妃以外には絶対に見せることのない柔らかな微笑を頬に乗せて、狼陛下は人を払う。

「下がれ、朝まで二人きりに。」
「御意にございます。ご用がございましたら何なりと。」

侍女頭の一声で人が退いていく。
能う限りの警備体制のもと守られていた後宮の一角が、ようやく人並みな静けさを取り戻した。

「……うん、みんな行ったみたい。」
「あ、でも浩大は上にいるんですよね?」
「まあ、ね。そんなに浩大の事が気になる?」
「いえ、そう言う訳ではなく――――っ、え?」

ほんの一瞬前に見せていた小犬の微笑が不意に消え、視界がくるりと反転する。
すっかり身に馴染んでしまったこの感覚は。

「夕鈴は、さ……僕が誰だか知ってる?」
「え、え?なんで怒ってるの?!」

狼に食べられる前の、ぞくりとするようなそれ。

「克右から聞いた。君がヤツと見つめ合っていた、って。」
「見つめ……?」

必死に頭を働かせて自分の行動を思い出す。

「すごく近い距離で見つめ合っていた、って。」

――――近い、距離?

「あ。」
「思い出した?」
「襟を掴んでしまったのは認めます、でも見つめ合ってはな、」
「襟を……掴んだ?ふうん、ヤツに『触れた』んだ。」

ぎらり、と狼の眼が光ったように見えて、夕鈴は息を呑む。

「――――ひっ!」
「以前君は舞姫が私に酌をしただけで可愛く焼きもちを妬いてくれたが……」

大きな手が自らの頤をぐっと掴むが、兎に抵抗の術はなく。
ゆっくりと舌なめずりをしながら近づいてくる牙を受容するしか、ない。

「怪我をしているところすまないとは思うが、手加減はしないから覚悟しろ。」
「なっ……あっ、いつのまに脱がせ、って、陛下待っ、」
「なに?」
「あの、ですね――――」

不意に濃くなる、花の香。
夕鈴は夫の頬にそっと手を添えた。

「無事に帰ってきてくれて、ありがとうございます――――黎翔様。」

気のせいなどではない。
確かに黎翔は桂花の香を聞いた。

「夕、鈴。」

深い所からこみ上げてくる、熱。
抑えきれずに溢れ出す温かな涙。
こんな気持ちは君に出会わなければ一生知らなかっただろう。

「夕鈴――――。」

父は母を花で飾り花で囲い花で閉じ込めた。
だが、私は。

『なんでもいいから早く……っ、もうっ!分かったわ、私が行きます!』
『『ええええ!!』』

花の香を纏う妃に護られている。

この、優しく温かな。
花籠の内に。

C.O.M.M.E.N.T

お久しぶりです、あさ様!
白黒うさぎです。
花籠面白かったです!!
これからもお話読ませてくださいませ!!!

2016/09/19 (Mon) 18:56 | 白黒うさぎ #- | URL | 編集 | 返信

白黒うさぎ様へ

お久しぶりです。
いや、我ながらちょっと失敗感満載のSSで…(笑)
失速してしまいましたが、楽しんで頂けたなら良かった!
またお越しくださいませ。

2016/09/20 (Tue) 23:17 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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