2016_08
11
(Thu)23:49

花籠4


もう八月も半ばに差し掛かろうと……ほんと?
大丈夫だろうか、原稿。←やれよ

更新頻度が命のブログなのにゆっくり更新でごめんなさい。
まあ、そのうちに、ほら。
ねぇ。←なに

さて、気を取り直して「花籠」の続きです。
そろそろ陛下が動いて欲しい。



【設定 本物夫婦】
《花籠 4》

王と妃への、襲撃。
急を聞いて駆け付けた李順が見たものは、蒼褪め横たわる夕鈴と。
その傍らで立ち尽くす黎翔の姿だった。

「……お妃様のご容体は。」

李順の顔を見るなりほっとした表情を浮かべた張元に声をかけた。

「毒矢に射られましたが処置が早かったおかげで解毒については心配ございません。」

答えつつ、ちらりと目配せを送る張元。
それに眼だけで答え、李順はそっと黎翔の脇に控えた。

「このような時に申し訳ございませんが……陛下。」
「李順か。」

夕鈴から目を離さずに声を発した黎翔の顔色は死人の様で。
今彼が何を考えているのかが、側近には手に取るように分かる。
共有した時間の長さは伊達ではなかった。

「李順……夕鈴を、安全な所、に」
「ダメです。」

短く鋭い鞭のような言葉。
意外だったのだろうか、黎翔は驚いたように李順を見た。

「何故だ。」
「今更、手離されるのですか―――いえ、手離すことが出来る、のですか?」

刹那、黎翔の右手が動き自身の前髪を掴む。
それは感情が高ぶった時の癖。
己の眼の色を他人に見せないようにするための、本能的な自衛の策だ。

「……できる、ものかっ!」
「承知しておりますよ。」

とっくにね。

そう言いたかったが言葉にはせず、李順は朗らかに笑って見せた。

「お妃様を手離せば『狼陛下』は終いでしょう?」
「―――。」
「私が気付かぬとでもお思いですか、黎翔様。」
「いつからだ。」
「……舐められたものですね。もうずっと以前からですよ。」

本当は、つい半年前に気付いたそれ。
側近は狼に気付かれることなく啖呵を切る。

「しっかりして下さい『狼陛下』。あんなに嫌っていた『後宮』をお妃様のためだけに設えたのでしょう?夕鈴殿はこれくらいの事でへこたれる方ではありませんよ。」
「これ、くらい……?」

くしゃり、と前髪を握り締めた黎翔の肩が少し震える。
大切な人を失う恐怖を目の当たりにした彼の衝撃の大きさが見て取れた。

「――――ええ、『これくらい』です。」

冷徹に、李順は言を紡ぐ。

「この程度の事はこれからも起こるでしょう。いくら警備を完璧にしても人がそれを行う以上穴は開きます。」
「くそっ!」
「何を嘆かれます、陛下。これは戦にございますよ。まったく、狼と呼ばれるお方が防戦一方で……往時を知る私としては非常に不本意ですね。」

これでもか、と言わんばかりに。
主に止めを刺した。

「いくら完璧な『籠』を作ったところで貴方の大切な方は守れません。」

しばしの沈黙。
ややあって黎翔はゆっくりと顔を上げた。

「―――攻勢に転じよ、と?夕鈴を囮にして?」
「ええ。唯一の花には棘があることを知らしめねばなりません。彼女をただの下っ端妃と思わせないことが肝要です。」
「だが……。」

夕鈴を認めさせようと積極的に動けば動くほど危険は増す。
それに二の足を踏む黎翔が口ごもった時。

「それ、やりましょう……陛下。」

掠れた声がした。

「夕鈴?!」
「お妃様。」

怒り故、だろうか。
先ほどまでは青かった頬を朱に染めた夕鈴が、ゆらりと起き上がる。

「夕鈴、ダメだよ寝てなきゃ!」
「うるさいっ!!」
「ええっ?!」

お嫁さんからのまさかのダメ出し。

「囮でもなんでも、やってやろうじゃないですか!私は陛下のそばにずっといるって決めたんです!」
「さすがのお覚悟です、お妃様。」

面食らう狼をよそに、花嫁は姑の手をガシッと握った。

「私頑張ります!」
「その意気です。手は掴まないで宜しいですから今後の行動予定を――――」
「はいっ。」
「まずは傷を癒さねば――――手を離して頂けますか。」
「三日で治します!」
「ええ、期待していますが、手をですね。」

なんとか手を振りほどこうとする李順と気合の入った握手を続ける夕鈴。
あっけに取られていた黎翔の思考がようやく動き出した。

ちょっと待って夕鈴。
三日は無理だって。
重傷だよ?
いや、その前に。

「李順、その手を離せっ!!」
「なんですか、陛下は黙ってて下さい!」
「……お妃様。私の寿命のためにもお手を離して頂けませんか……。」

騒々しい攻防戦。
三つ巴の戦いを呆れ顔で見つめ、張元は深々と息を吐く。

――――心配なのは、お妃様ではなく陛下なのじゃが。

夕鈴の怪我は日が経てば癒える。
だが、黎翔が負った目に見えない傷は昼夜問わずに彼を責め立て蝕み続けるだろう。
張元が知る限り、黎翔の心を安らげることが出来るのは夕鈴しかいないこの状況で。
もし、もしも。
彼が彼女を失ったら、どうなる?
愛を知ったことで得た幸せの大きさに比例して増大する失う事への恐怖。

冷酷非情の狼陛下。
戦場の鬼神。

そう呼ばれる彼を維持する難しさを、張元は独り噛みしめていた。

「死なせるわけには、いかんのう。」

この花籠に。
花は独りしか、いないのだ。

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C.O.M.M.E.N.T

拍手第一号頂きました( 〃▽〃)
何気に嬉しいです(≧▽≦)

夏休みは、子供は天国たけど母は余計に仕事が増えて大変ですよね(。>д<)

あさ様、忙しいとは思いますが無理せず
体には気をつけてください。

2016/08/12 (Fri) 00:05 | なおかざ #- | URL | 編集 | 返信

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2016/08/12 (Fri) 07:03 | # | | 編集 | 返信

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2016/08/12 (Fri) 07:54 | # | | 編集 | 返信

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2016/08/12 (Fri) 12:47 | # | | 編集 | 返信

ご無沙汰しております。
コメントも残さずに読み専門で密かに通いつめていた理桜でございます。

面白すぎます‼︎
3人のやり取りに吹いてしまいました…笑
夕鈴、早く手を離してくだされ (´ー`*) フッ
李順さんの命が危ない‼︎

2016/08/12 (Fri) 13:51 | 理桜 #- | URL | 編集 | 返信

なおかざ様へ

拍手一号!ありがとうございます!
拍手とコメントは書き手の栄養源でございます、ほんと。

夏休みのあれこれに追い詰められておりますが!が!
息抜き大事!

なおかざ様もどうかご自愛くださいね。

2016/08/16 (Tue) 11:41 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

くみ様へ

ああ、くみ様素敵なコメント…!
そうですよね、陛下頑張れますよね!
うん、頑張ろう陛下!

つか、書け私。

2016/08/16 (Tue) 11:44 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

あい様へ

李順さん必死です(笑)

なかなか続きが書けなくて脳内のお話を忘れてしまいそう。
頑張れ脳細胞!

毎日暑いですね。
あい様もお変わりございませんか?

2016/08/16 (Tue) 11:48 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

あき様へ

続き、楽しみにお待ちくださってありがとうございます。
夏休みと夏休みと夏休みと原稿とで時間がとれず停滞しておりますが、がんばりますね。

「こんな場面だったらこの人はどんな台詞を言うんだろう」と考えつつ書いております。
嬉しいコメントをありがとうございます!

2016/08/16 (Tue) 12:10 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

理桜さまへ

李順さんの手が!手が!(笑)

通い詰めて下さってありがとうございます。
コメント、嬉しいです~。
ぜひまた下さい!←

2016/08/16 (Tue) 12:15 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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