2016_08
02
(Tue)00:00

花籠2

私だけが楽しいSSです。
浩大のターン。
隠密だって!だって!←なに


色々すいません。

【設定 本物夫婦】
《花籠 2》

すげえ。
相応しい言葉はそれしかなかった。

『冷酷非情』『戦場の鬼神』

その二つ名は過去の事でなく。
ここ数年の間、内政掌握に向けていた狼陛下の『本気』の矛先が刺客にシフトした、その瞬間に。

「――――我が妃を射たのは、お前だな。」
「ひぃっ!」

それ―――珀黎翔の全力、が。

「彼女を傷つける者は、私が滅ぼす。」

迷うことなく剣を振るった。



ほんの数分の間の出来事だったと思う。

お妃ちゃんをそっと降ろした陛下は矢の全てを自分に集中させ、薙ぎ払い。
袖に仕込んだ小刀を正確に敵に打ち込んだ。
それを避けることのできた奴らは陛下に襲いかかったけど、すぐに動かなくなり。
ただ虚しく骸を晒すことが、彼らにできた全て。

「――――夕鈴?」

血に濡れた狼の手が、兎を抱いた。

「夕鈴?」
「……陛下、陛下……。」

肩口の矢傷は大事な血脈を外れてはいるが、重傷には違いなく。
仕込まれていた毒は当然、致死性。
優秀な道具であるところの俺は、陛下が鬼神と化している間にお妃ちゃんに解毒剤を飲ませたけど、でも。
予断を許さぬ状況なのは、誰にだって分かった。

それなのに。

「……怪我、してない、ですか?」
「――――っ、」

この、花は。

「頬に、血、が、」
「夕鈴――――っ。」

たった一言で。
このどす黒く澱んだ世界を変えてしまう。

ただ立ち尽くすしかできなくなった俺。
なんだか分かんねえけど、生まれて初めて経験する感情に戸惑う俺を、動かしたのは。
条件反射ともいうべき、主からの命令だった。

「浩大、解毒っ!」
「もう済んでる。今は止血が先だ。とりあえず押さえて。」
「布が足りない!」
「これを。」

機械の様に手足を動かしお妃ちゃんの処置をしながら、俺は。
ただ、困惑していた。

何事にも執着を見せなかった狼が唯一つ欲した存在――――汀夕鈴。
それは、ひょっとすると。

俺にとっても。
同じ、なのか?

思い至った刹那、愕然とした。


唯一人の『花嫁』のために誂えた後宮。
それは、この世に一つしかない花を守るための『籠』。

己が主と定めたその人のために、俺は。
自他ともに唯一の『花』を、ここに、籠めて。

ただ、護る―――。

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2016/08/04 (Thu) 04:28 | # | | 編集 | 返信

ゆん様へ

私も浩大、好きなんです。
底抜けに明るい癖に何考えてるかわかんないとことか、微妙にお節介だったりするところとか。
いいですよね~。

続き、なかなか書く暇がなくてごめんなさい。
もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです。

2016/08/05 (Fri) 21:16 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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