2016_06
13
(Mon)11:04

因幡の白兎8


こんにちは。
あさ、です。

ちょっと想定外の方向にお話が逃げていきました。
さすが兎!←
とりあえずこのSSはこれでお終いです。

もし宜しければ!


【設定 本物夫婦 お子様なし】
《因幡の白兎8》


そして、その日はやってくる。

「本日はお招きいただきまして嬉しゅうございますわ。」
「お久しぶりにございます、お妃様。」

瑠霞姫が催したピクニックの時と同じ、いや。
あの時はまだ幼かった娘たちが成長し加わった分、夕鈴への注目は増していた。

「ごきげんよう、皆さま。」

緩やかに結い上げた髪といつもより華やかな耳飾り。
黎翔が急ぎ作らせたそれは、彼の瞳と同じ色の紅玉が連なっている。

「お妃様にはご機嫌麗しゅう。」

―――相変わらず、大したことはないわ。
そう言いたげな者。

―――これを機に、何とか陛下のお目に留まりたいものだわ。
前回同様に現れるであろう狼陛下を待ち侘びる者。

様々な思惑に夕鈴は微笑を返す。

「楽しんでらしてくださいね。」

出来ることは全てやった。
出自の不明瞭さを感じさせないだけの教養を身につけたし、立ち居振る舞いにも及第点をもらった。
李順さんが腕によりをかけてお化粧をしてくれたおかげで、自分でも驚くほど今日の私はキラキラしている。
侍女さんたちのおかげで、肌の様子も驚くほど良くなった。

『まぁ、細かい点はまだまだですが…こんなものでしょう。』

そう、大丈夫。
私はもう、バイトじゃなくて。
本物。

「お妃様、今日はまた一段とお美しゅうございますわ…!」
「紅珠も可愛らしいわね。」

折よく現れた紅珠に訊いてみる。

「…私も紅珠みたいに皆さんと仲良くなれるかしら。」

ちりん、と揺れる紅玉。
ほんのりと温かいその音に背を押されるように、夕鈴はゆっくりと立ち上がった。

妃として。


休前日   
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