2016_05
12
(Thu)20:29

夢の香


こんばんは。
あさ、です。

なんとも、まあ。
私に無断でコミックスが貸し出されておりました。
…長女のお友達に。
さすがに「今すぐ返せ」とは言えず。
ああ、桂花の回を読み返したかったのに、と呟きながら書きました。←

さてさて。
いつ帰ってくるのかしら、私のコミックス。
頼むよ長女。
全くもう!



【設定 臨時花嫁】
《夢の香》


可愛いな。
第一印象は、それ。

『手を出してはいかんのか。』

他愛のない戯言に震えあがっていた君は、今。

「陛下、こっちですこっち!」
「ちょっと待ってよ、夕鈴。」

自由自在に後宮を闊歩し、僕を誘う。

「ね、綺麗でしょう?」
「ああ…ここ、か。」

そこは、紫苑宮の近く。
桂花が見事に咲き誇る――――いや、咲き香る、庭園。
幼い日の僕を隠してくれていた繁みの低さに驚いた。

「ご存知だったんですか?」

少し驚いた顔の君をがっかりさせないように。
君が好きな小犬の笑顔を浮かべる。

「まだ小さい頃、この近くでよく遊んだんだ。でも桂花には気づかなかったなぁ。」

さくっ。
下草を踏む足の裏に蘇る感覚は、ほろ苦く。
母を蝕んだ後宮のどす黒さを否が応でも思い出した。

「陛下。」

ああ、しまった。
くだらない感傷に浸って夕鈴を不安がらせてしまったか。
急に無口になった僕を不審に思ったのだろう、下から覗き込むように僕を見上げる夕鈴に笑いかけると。

「一人で遠くに行っちゃ、ダメですよ?」

思いがけない、言葉。
とくん。
鼓動が止まった。


僕は、『狼陛下』。
父と兄の愚行を正したらいなくなる、王様。
冷酷非情に王宮を粛正し消える、幻の国王。

僕の役目を終えたら、遠くに行くつもりだった。
誰も僕を知らない、そんな場所を探すつもりだった。

「――――うん。」

懐かしく哀しい、桂花の香は。
僕にひと時の夢を見せる。

「君が、いるなら。」

僕は、きっと――――。

そんな、儚くも穏やかな、夢を。

C.O.M.M.E.N.T

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2016/05/12 (Thu) 20:52 | # | | 編集 | 返信

rejea様へ

私は長い文章を書ける方が心底羨ましいです!
一文が短すぎるだろう私、と突っ込みながら書いてます。
不治の病です。

一番拍手ありがとうございます〜。
拍手やコメントは書き手の栄養源。
美味しくいただきます、ありがとうございます。

2016/05/12 (Thu) 21:51 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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