2016_05
04
(Wed)23:31

混濁

こんばんは。
あさ、です。
酷くご無沙汰をしてしまった気がするのは私だけでしょうか。
あれ?

怒涛の連休を過ごしておりましたもので、脳内の陛下が困惑気味です。
そんなSSですが、もし宜しければ!

あ。
オリキャラでます。
清翔くんです。(陛下と夕鈴の長男)

【設定 未来?←おい オリキャラ一瞬でます】
《混濁》




その日は、朝から何かおかしかった。





「陛下、少しお休みになられては…。」
「いや、いい。」

目を瞑れば見る、夢は。

――――陛下。

手に入るはずもない幸せの真似事。
永遠に手離した彼女の笑顔。
二度と会うことのない大切なひと。

「放っておけ、仕事はする。」

最近の口癖を呟いて、書類に目を落とした。

「あ、そちらは王都の再整備についてのものですね。」
「そのようだな。」

古い時代に作られた道を新しくし、商店を集めて物流を整える。
ふうん…場所、は。

「――――章安区の、近くですね。」
「ああ。」

地図と図面が広げられた。

「ああ、ここは…」

揚げ餃子の屋台があって、肉饅頭があって。
夕鈴の好きな蜜菓子が売っている店があるんだ。
この角の八百屋はよく特売をしていて―――

『李翔さん、ちょっと待っててくださいね。』

「う、ん―――」
「陛下?」

なんだろう。
そういえば、今日は朝から何かおかしかった。

『ほら、お得でしょう?!』
「うん、大根が―――」
「大根?!」

あれ?

そう思った時にはすでに手遅れ。
ごん、と嫌な音がして鈍い痛みが頭部を襲い。
石床の冷たさが身体を包んだ。

「陛下!」
「ゆ、」
『陛下。お茶をどうぞ。』

ありがとう、夕鈴。
すごく寒いんだ。

『少し熱いですよ?』
「温か、」

ああ。
温かい。

「陛下、陛下!」
「り、ん、」

あのね、夕鈴。
僕はもうすぐいなくなる王様なんだ。
父と兄が荒らした国政を強引に正すのが僕の役目。
狼陛下たる私の、すべきこと。

「お水飲んで!」
「ゆうり…ん、」

寒さで震える唇に、温かいものが触れる。
強張った舌を搦めとられ、水が流れ込む。

「ん、」
こくん。
喉を上下させた途端、意識が戻った。

「あ、れ?」
「陛下、私が分かりますか?」

何を言っている。
私が君を忘れるなど、天が割れてもあり得ない。

「夕鈴。」
「――――よかった。」

よかった、じゃないでしょ夕鈴。
何で君がここにいるの?
君は安全なところで、幸せに笑って―――

「父上!」
「あ。」

違う。
そうじゃない。

「清翔。」
「はい。お目覚めにならないので本当に心配しました。馬場で刺客に襲われて落馬なさったのを覚えておられますか?」
「あ。」

そうだった。
朝起きた時から、何か嫌な感じがして。
でも、身体を動かせば何とかなるだろうと予定通り馬場に出て。
思う通りに動かない身体に無理をさせていたら、刺客に襲われて落馬した。

「ご無理をなさるから…母上に謝って下さいよ?!」

そう言って睨み付ける息子の頭に手を乗せた。

「心配かけてすまなかった。」
「私ではなく!」

母に似て涙もろい清翔の頬を拭い、黎翔は夕鈴の手を握る。

「君が愛しい。」

言葉が口をついて出た。

「っ、」
「心配かけてごめんね。」

夕鈴。
僕の中にあるのは、君の事ばかり。
目を瞑れば浮かぶ、君との思い出と。
目を開けば紡がれる、君とのこれからを。

「――――夕鈴。」

大切に、積んでいこう。
そう思う。

だから。

「笑って?」

君は僕の、全てなんだ。

夕鈴。
愛している。




C.O.M.M.E.N.T

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