2016_04
30
(Sat)07:28

すれ違いの向こうには 4

おはようざいます。
あさ、です。

数日前からPCの様子がおかしくて。
今朝はもっとおかしくなりました。

とりあえず、動いているうちにUPします!

【LaLa6月号第81話ネタバレSS】
《すれ違いの向こうには 4 黎翔》

君が、臨時花嫁だったころ。

「温泉に行きたい」と珍しくワガママを言ってくれたのを、よく覚えている。
まあ、結局。
僕を休ませたいと思ってくれての事だったのだけど。

「夕鈴、温泉好きだったよね。」

沸かさなくても湧き出るお湯がお得だと喜ぶ姿が可愛くて。
果実酒に酔った君の姿が愛らしくて。

「我慢の一夜だったなぁ…。」

飽きもせず寝顔を眺めたあの夜が、今では懐かしい。

「女官長を。」
「かしこまりました。」

後宮と王宮の境目に詰めている女官に命じる。
女官長は夕鈴の側にいるはずだ。
こちらに来るまで少しの間があるだろう。

「…ええと、どこだったかな。」

あの温泉で夕鈴が作ってくれた泉質のリスト。
彼女が一番気に入っていたのはどこだった?

「あった。」

書棚の奥の、奥。
隠し扉の中にしまっていたそれを取り出した。

「乳白色の湯で、肌触りは滑らか。」

彼女が好きなのは、こういう湯か。
乳白色…濁り湯。
うーん。

「見えないなぁ。」

やはり湯の色は透き通っていなくては。
普段から恥ずかしがって全部を見せてはくれないのだ。
湯にまで邪魔されてはたまらない。

「よし、濁らないように調合させよう。」

さて、次は…肌触り。

「滑らか、って。」

ただでさえ、どこもかしこもすべすべなのに!
いや、見てはいないが。
くまなく触ってはいるから分かる。

「すべすべで、つるつる…っ、」

うわわ。

『陛下、あんまり見ないで。』

ちゃぷんと湯に浸かり恥じらう夕鈴。
白いお湯越しに見える膨らみの頂きは、桃色。

『あ、そんなとこ触っちゃ、』

どこ?!
どんなとこ?!
あそこ?!

「くっ…」

いかん。
想像だけで腰が。

「――――陛下、およびと伺いましたが。」
「っ、ちょっと待て!」

遠慮がちに声をかける女官長。
ようやく我に返った黎翔は、慌てて体勢を立て直した。

「実は、妃の湯殿だが。」
「はい、ただいま花湯の支度を仰せつかっております。」

花湯。
なるほど、その手があったか!
夕鈴は花が好きだもんね!

「花湯か…。」

白く瑞々しい肌に貼りつく花弁の一枚一枚を唇でなぞ―――

「最近は殊の外お好みのご様子で、私どももお構いできて嬉しゅうございます。」
「そ、そうか。」

いかん、また想像からの妄想に入るところだった。

「ご苦労、妃の部屋へ行く。」
「御意にございます。」

夕鈴の部屋を目指し、足を運ぶ狼陛下。
余裕のある風を必死に装う黎翔を待ち受けていたのは。

「いえ、ですからいま。」
「お二人とも木登りでお召し物が汚れたからと…」

親善交流に一生懸命なお妃様。

ねえ、夕鈴。
花湯は?!
僕と入るんじゃなかったの?!

誰もそんなことは言っていない気がしたが、無視した。

「――――女官長。」

思いのほかに低い声が出て、侍女たちが凍り付く。
悪いがそんなことに構っている余裕などもう、ない。

「はい、陛下。」
「これから私が命じることをよく聞くように。」
「かしこまりました。」

一緒に木登りをして、一緒に湯に浸かって。
女同士で腹を割って話せば親善も友好も深まるだろう。

だが。
見縊ってもらっては困る。
私は君に関わるすべてに嫉妬する男だ。
たとえそれが友好国からの賓客であろうが肌に貼りつく花弁であろうが何だろうが。
私だって見たことがない夕鈴の全てを見たやつは、許せない。

「――――朱音姫には早々にお帰り願わねばならんな。」

永久に、永遠に、常しえに。
後宮から立ち退いて頂くとしよう。

だって、夕鈴は。
僕のお嫁さんなんだから。


夕鈴sideは「翡翠の煌めき、瑠璃の夢」様にて

C.O.M.M.E.N.T

初めてコメントいたします

いつも素敵なお話ありがとうございます。私は熊本市東区に住んでいるので地震の被害が凄く、自宅は倒壊は免れているものの、ほぼ毎日家が度重なる余震についに耐え切れなくなってつぶれる悪夢を見ます。そんなこんなであらゆる娯楽もやる気が起きなかったのですが、あさ様のお話だけは、読みたい、と思えて、実際に楽しめます。すごく救われています。LaLa本紙も近くで売ってない(というかお店があいてないし・・)のですがあさ様のお話があれば大丈夫!これからもご自愛いただきながらもぜひお話をよろしくお願い致します。

2016/05/02 (Mon) 23:10 | はるさん #- | URL | 編集 | 返信

はるさん様へ

初めまして。
あさ、と申します。
この度は本当に、大変な事と…。
どうか1日も早く落ち着きますように。
祈る事しかできませんが、はるさん様の息抜きになれていれば幸いです。
また、書きますね。
楽しんでいただけるよう、頑張ります。

2016/05/03 (Tue) 23:09 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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