2016_04
26
(Tue)22:08

その日


こんばんは。
あさ、です。

あれこれ手を出しておりますが、とりあえず。
己のペースで書いております。

基本的に、私は読むのが大好きです。
こちらは、自己満足のブログ。
私の日記のようなものです。
そんな人間のSSでも宜しければ、お付き合いくださいませ。

楽しんで頂ければ幸いに存じます。



【設定 夫婦】
《その日》



ほんの少しのつもりだった。
父さんの具合がよくなるまで。
青慎の試験が終わるまで。
そのつもりだった。





「…っ、」
「姉さん、無理しないで?」

まさか、私が倒れるなんて。
健康だけが取り柄だったのに、どうして?

「ごめんね、青慎。もう起きても大丈夫だから、」
「ダメだよ!」

起き上がりかけた私の肩を抑える青慎の力はもう、少年のそれではない。
大人の、それだった。

「寝てなきゃダメだからね?」
「分かったわ…行ってらっしゃい、青慎。」

なんて、情けないの。
ぽすん、と枕に頭を投げると吐き気が襲う。

「…ぅ」

誰にも気づかれないように、必死に堪えていると。

「お妃ちゃん、あのさ。」

遠慮がちな浩大の声。

「あ、とに、」

今はダメ。後にして?
気持ちの悪さが収まったら、ちゃんとするから。

「っ、っ…く、」
「我慢するな、出しちまえ。」

いつの間にか降りてきた浩大は欠けた器を私に差し出し背を摩る。
驚くほど温かいその手は、だけど。
陛下じゃなかった。

「大丈夫、ありがと。」

ぐっ、と。
吐き気を飲み込んで起き上がる。
くらりと視界が歪むのを無視してにっこりと笑った。

「早く帰らなきゃいけないわよね。」
「あー、それなんだけどさ。」

珍しく言い澱むその姿に、夕鈴は凍り付いた。

「…私、もう、要らない?」
「違うよ、なんでそうなる?!」

ぼろぼろと涙がこぼれて止まらない。
溢れかえる感情が堰を切る。

「もう、ひと月も後宮を留守にして、妃の仕事も放り出して、」
「落ち着こう、お妃ちゃん。」
「陛下、私の事、嫌いになっちゃった?」
「いやそれだけは天地がひっくり返ってもあり得ない。」
「へいかぁ…。」
「うわわ、ちょ、泣かないで下さいっ!」

ぶわっ。
得体の知れない…いや。
知り過ぎるほど知っている殺気が自分を狙いすましているのを感じ、浩大は全力で飛び上がる。

ガッ

嫌な音がして今しがた浩大の足があった床が割れ天井に小刀が飛ぶ。

「…万死に値するぞ、浩大。」
「俺は何もしてませんっ。」
「うっ、うう…へいかぁ…」
「夕鈴っ!」

泣きじゃくる妃を抱きかかえ撫で摩る国王。
その頭上には衣を射抜かれた隠密。
異様な光景をものともせず、ほいほいと歩み出たのは。

「どれ、脈を見せてもらうかの。」

後宮管理人、張元。

「ほう…ほほ、なるほどの。」

暫しの間夕鈴の脈を診て。
彼は朗らかに、笑う。

「おめでとうございます、陛下…お妃様。ご懐妊でございます。」

章安区、汀家。
普段は静かなその屋内に響き渡る、祝福の声。

「よっしゃー!」
「でかした掃除娘!」

ぽかん、と口を開けた夕鈴はみるみるうちに真っ赤になって。
あわあわと目を回す。

「へ、陛下…!」

狼狽えつつ見上げた夫の顔を、夕鈴は生涯忘れなかった。

それは。

「…っ、夕、鈴…、」

ぎゅっと目を瞑り、歯を食い縛って。
喜びを抱きしめる、狼陛下。

「夕鈴…!」
「ありがとうございます、陛下。」

私は、少し。
貴方を幸せにできたのかもしれない。

花の如き微笑を、黎翔は心の限り抱きしめた。



C.O.M.M.E.N.T

NoTitle

あぁ、可愛い可愛い、陛下が可愛い
とってもかわいいで~す。

2016/04/26 (Tue) 22:57 | くみ #17ClnxRY | URL | 編集 | 返信

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/04/27 (Wed) 12:25 | # | | 編集 | 返信

くみ様へ

ありがとうございます。
今回の陛下は大変可愛らしゅうございますね。
でも、我が家の陛下はそろそろ限界の様で。(笑)

2016/05/01 (Sun) 07:46 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

natsu様へ

ほっこりして頂けて何よりでございました。
SSって読むのも書くのも良い息抜きになりますよね。

2016/05/01 (Sun) 07:47 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

コメントの投稿

非公開コメント