2016_02
07
(Sun)16:34

高嶺の花4


何が書きたかったのか分からなくなりつつありますが。
まだもう少し続きます…。




【設定 臨時花嫁】
《高嶺の花4》


黎翔が王宮を飛び出す、少し前。
夕鈴は色々と困り果てていた。

「まだその気にならない?」
「なりませんっ。」

誘拐された侍女、というのがこの場所での夕鈴の立場なのに。
熱が下がったあの日以降に与えられたのは、やたらと豪華な個室。

「手荒な真似はしたくないんだけど。」
「じゃあこの手は何よっ!」

ぎしっ、と軋む寝台。
両手を掴まれたまま押し倒された夕鈴の頬に、ちゅっと柔らかいものが触れる。

「うっ、きゃああああっ!!」
「あー……耳、痛……。」

きーん、となった耳を押さえる『お兄ちゃん』。
彼は三日前のあの日以来ずっと、夕鈴を口説き続けていた。

「い、いまっ、」
「桃みたいな頬だな。」
「ぎゃあああっ!」

ぺろりと頬を舐められた夕鈴の悲鳴が響き渡った。

「手強いなぁ。」

くすくすと笑う、男。

「初心なくせに、なかなか落ちないね。早く俺のものになってよ、夕鈴ちゃん。」
「冗談じゃないわよ、誰が悪党の女になんかなるもんですか!」
「王宮で侍女暮らしするよりずっと楽しい人生を約束するよ?」
「人攫いの何が楽しいのよ!」
「冷酷非情な愚王の後宮なんかより、ここの方がよっぽどましだと思うけど?」
「狼陛下の悪口言わないで!」

あらん限りの力を振り絞り、夕鈴は男の手を振りほどく。
男の頬が小気味の良い音を立てた。

「……ふうん。狼のことになるとムキになるんだな。」

声が、口調が変わる。

「妬けるな。」
「あ、痛っ、」

一度は自由になった手を再度掴まれた。

「大丈夫、すぐに俺なしじゃいられない身体にしてやる。安心しろよ。」
「な……いやっ!」

もがき身を捩るうちに、男の脚が夕鈴の膝を割る。

「離してっ!」
「あー、いい匂い。」
「ひっ!」

荒い息遣いが首筋に沈む。
ごつごつした冷たい手が裾から入ってきて、誰にも見せたことがない場所を目指し這い上がる。

「いやーーーっ!」
「すべすべだね、夕鈴ちゃん。」

男の思うがままに、深く抱かれる。
気付けば両手を縛られていた。

「ゆっくりじっくり、溺れさせてあげる。」
「お願い、やめてっ!」
「二人の大切な初めての夜だよ、夕鈴ちゃん。忘れられない夜にしようね。」

にやりと笑う男の手に力がこもり。
夕鈴の帯が悲鳴のような音を立てる。

「楽しいね――――お嫁さん。」

『お嫁さん。』
その一言で、夕鈴の我慢は限界を迎えた。

――――陛下。

「たすけ……助けて、助けてえっ!」

いやだ、いやだ。
私、このままこの男に――――。

「陛下――――!!」

助けて、陛下。
帰りたいの、陛下のそばに。
偽物でもいいの、それでもいいから。

「助けて、陛下、陛下――――っ!」
「夕鈴ちゃん……?」

男が怯んだ、その時。
ドカドカと足音がして、扉が割れた。

「誰だっ!」

すぐさま短剣を構える、男。
夕鈴を盾にして、侵入者に向き直った。

「っ、お妃ちゃん!」

浩大が叫ぶ。

「夕鈴から、離れろ……。」

崩れた髪と乱れた衣服。
涙で濡れた頬。
縛られた、腕。

「お、お前は……狼王か。」
「お前の狙いは私だろう、妃から離れろ。」
「この女が妃……?嘘だろ。」

夕鈴を引きずりながら後退する男。

「彼女を離せ。」
「いやだね。この女は俺のだ。奪われるくらいなら俺の手で殺す。」

男は刃を夕鈴の首にあてた。

「そうか、妃だったのか……道理で落ちない訳だ。とんだ高嶺の花だな。」

ぷつりと刃が沈み真っ赤な滴がぽとりと落ちる。

「なあ、狼。あんたもこの女を落とせてないんだろ?」
「やめろ!」
「やっぱりさっさとモノにしちまえば良かった。」

ぐっ、と力を込めて。
刃が喉を裂こうとした、瞬間。

「やめろーっ!」

叫んだ黎翔の剣がその手を離れ真っ直ぐに男の顔を狙った。

「くそっ!」

思わずそれを振り払おうとした男に隙が生まれた時にはもう、浩大が動いて。
よく撓る鞭が容赦なく男の身体を拘束する。

「夕鈴!」

ぐらり、と倒れかけた夕鈴を黎翔が抱き留めた。

「う……」
「夕鈴、大丈夫か!」
「は、い。」

上着を脱いで彼女を包み抱き上げて。
黎翔は李順が寄越した馬車に乗り込んだ。


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C.O.M.M.E.N.T

きゃー新作(///∇///)

家族のインフルエンウィークが明け、久しぶりにこちらを覗いたら…!!

看病頑張った私へのご褒美ですね?!
ありがたや~(´∇`) ←自分勝手


夫婦ものでも、臨時花嫁ものでもどちらでも、あさ様のお話は大好物です(*´∀`)♪
続き、頑張って待てしてお待ちしてます!

2016/02/08 (Mon) 14:04 | mina #- | URL | 編集 | 返信

mina様へ

お粗末ながら、新作です~。
インフルエンザのご看病、お疲れ様でございました。
最近はお薬が良いから少しは安心ですが、やはりインフルは長期戦ですものね。
早くシーズンが過ぎてほしいです。

続き、UPいたしました。
お楽しみいただければ幸いです!

2016/02/08 (Mon) 17:21 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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