象り
こんばんは。
あさ、です。
コメントありがとうございます。
お返事できなくてごめんなさい。
皆さま。
本を作ったら、欲しいですか?
いや、本音を言うと。
私が作りたいんですけどね?
憧れの絵師さまにお願いしている表紙。
彼岸まで持っていく覚悟ですよ。
…中身頑張ります。
あさ
【設定 全ネタバレ】
《象り》
「夕鈴――――。」
ふわり、と。
私を見つめて哀しげに微笑む陛下のお顔が、辛かった。
「陛、下?」
ずきん。
初めて味わう、胸の痛み。
好きになってはいけない人。
住む世界が違う人。
欲してはいけない、慕ってはいけない、望んではいけない、愛してはいけない。
でも、それでも。
いつか必ずお別れしなきゃいけないって分かっているのに、私は陛下に恋をした。
「花嫁は、陛下の味方ですよ。」
虚に実を混ぜ、真を忍ばせ。
作り笑いに本心を隠し、自分を抑え。
―――――大好き。
初めて知った『恋』に、私は蓋をした。
それが陛下の為だと思っていたから。
でも、違ったのね。
「陛下!」
「なあに、夕鈴。」
好き、で溢れた心と身体の望むがまま。
「お帰りなさい!」
全力で、飛び込んでいく。
「ただいま!」
小犬でも狼でもない、私の陛下。
「夕鈴、大好き!」
私の。
私だけの陛下。
「陛下、へいか……黎翔。」
「ただいま、僕の僕だけの絶対の絶対に僕のお嫁さんの、夕鈴。」
ぎゅうっ、と。
二人だけの時間が始まる。
常夜を総べる月ですら、無粋を嫌い顔を隠す。
「「好き。」」
この言葉を象ってくれた見知らぬ誰かに感謝を捧げて。
満ち溢れる想いを託そう。
心の底から、あなたが、好き。
後悔なんてしない。
させない。
絶対。
だって、私は。
狼陛下の花嫁なんだから。