2015_04
16
(Thu)16:56

無音5

ここで辞めてたまるか!
と、自分を励まして書いております。
そこまでして書くほどのお話じゃないんですが。(笑)
暗いお話でごめんなさい。

さあ、動いて陛下!←他力本願

今回は老師と陛下が主です。
過去捏造しております。
ご注意下さいませ。
【設定 本誌ネタバレ 少しだけ未来 過去捏造 夕鈴が痛いです】
《無音5》


人払いを済ませた、王の寝室。
王宮のそれは執務もできるように設えてある。
後宮とは違う、落ち着いた佇まい。
分厚い壁に守られたそこは、やけにひっそりとしていた。

「……。」

無言で夕鈴を診察する老師。
脈を測り拍動を診て、首に触れる。
白い首に残る惨たらしい痣。
爪も立てたのか血の跡が滲むそこを入念に調べ、張元は目を瞑った。

酷い。
良く息が通ったものだと驚くほどの状態だ。
潰されかけた喉。
気脈が滞ったせいであちこち壊れた、身体。
迫り来る死に必死に抗った、その気力だけで生き返ったようなものだった。

「耳が、聴こえないようだったのだが。」

心配そうな、王の声。

「耳だけ、ですかの?」
「……どういう、意味だ。」

ぎくっ、と動きを止める黎翔。

「声は?」
「出ていた。」

ほっと息を吐いた張元の一挙一動を赤い瞳が追う。

「目は?」
「見えていたようだが……老師、いったい。」
「命があっただけでも、奇跡と言えましょう。」
「っ!」

どの様な敵を前にしても怯まぬ狼陛下。
十を超える敵に取り囲まれようが大胆不敵に笑ってのけるその瞳に怯えが浮かぶ。

助けて、助けて。

十数年前。
怯えた瞳で助けを求めてきた幼い皇子。

母上を、助けて。
頼む、老師。

あの時と同じ顔で自分を見下ろすかつての皇子。
だがあの時とは違い、この方はもう泣いてはいない。
愛しい者の身に起こった惨事に怯え憤り、震え。
後悔と向き合い守ろうと歯を食いしばっている。

大きくなられた。

そう思う。
内乱を鎮め王宮を粛清し、恐れられ忌み嫌われることを受容し。
己を、母を。この国を苦しめたもの全てを取り除くべく、孤高を厭わず進み続けて。
春を、手にした。
この方はもう、あの頃の弱かった皇子ではない。
そして、この方は。
舞姫様を手離された父君とは、違う。
だから。
言わねばならない。

「聴こえる聴こえないより先に、お命が危うい。三日持つかどうか分かりません。全てはお妃様の気力次第にございます。」

黎翔から、全ての音が消えた。

「いなく、なる?」

夕鈴が、死ぬ?
嘘だ。
さっき、息を吹き返したじゃないか。

「陛下……陛下っ!」

水底に引き込まれるような感覚に包まれ立ち尽くす黎翔を揺さぶる、張元。

「惚けている場合ではございませんぞ、陛下!まだ死ぬと決まったわけではないのじゃ!」
「・・・・・・あ。」

ようやく戻ってきた黎翔に掴みかからんばかりの勢いで言葉を紡ぐ。

「よいか、陛下!お妃が命を取り留めた後の事を考えなされ。」
「あとの事?」

そうじゃ、と頷いて。
張元は声を潜める。

「お妃を正妃にお据えになりたいのなら、手離さぬだけの覚悟をなさりませ。」

長い長い冬を乗り越え、ようやく得た、愛しい春。
それを守り抜き共に歩む覚悟を。
何があろうと決して諦めぬ、揺るがぬ決意を。

「――――『狼陛下』は、父君とは違うのじゃ!!」

張元の目から涙が落ちる。
閉じた瞼の裏に、微笑み合い手を取り合う王と妃の姿が浮かぶ。
二人の間で小犬のようにはしゃぐ、愛らしい皇子の姿が見える。

「繰り返しては、ならんのじゃ。」

少しずつでもいい。
前へ、前へ。

「お妃様のお命は、この老人が一命に代えてお救い申し上げます。」

痛む腰を庇うように、膝をつく。
覚悟を、促した。

「―――我が妃は、夕鈴唯一人。他には要らぬ。」

凛とした声音。

「この国の民を守るように、私は彼女を守り抜き、共に歩む。」

澄んだ低い清冽な王の声が、降り注ぐ。

「夕鈴を任せたぞ、張元、浩大。変わりあればすぐに呼べ。私は……動く。」
「御意。」
「了解っ。」

後宮管理人と隠密が同時に頭を垂れ。
踵を返し黎翔は執務室へと向かう。

「連れてきたか、小僧。」
「とりあえず、三人だけど。」
「十分じゃ。」

うむ、と小さく呟き目尻を拭い。
張元は廊下に控えさせていた侍女を寝室に招き入れる。

「この部屋で見たこと聞いたこと、一言でも漏らさば一族郎党にも類が及ぶと覚悟せよ。」

後宮すべてを管理管轄する鋭い目が、彼女らの検分を始めた。
無音6   
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C.O.M.M.E.N.T

キャー♪老師かっこいーヾ(≧∇≦)ノシ←ソコw
陛下の覚悟をみました!
さぁ!夕鈴のために暴れて下さいませ!←

2015/04/16 (Thu) 18:50 | 桃月 #- | URL | 編集 | 返信

ちょっとぶりにお邪魔したら素敵な連載が!体調は大丈夫でしょうか?少しでも楽になっているといいのですが…
張元がこんなにかっこいいなんて、と新鮮な驚きとワクワク感を感じました。
いつぞやの李順さんのときと同じ感覚です。
狼陛下~はメインふたりはもちろん、サブキャラもただサブとしては置いておけない魅力がありますよね!と、あささまのお話で再発見しました。
続きも楽しみにしています(^^)/

2015/04/16 (Thu) 20:04 | saara #- | URL | 編集 | 返信

桃月さまへ

老子が勝手にしゃべり始めました(笑)
さて、陛下はどうなさるのやら。
ちょっと脳内で相談してきます。

2015/04/17 (Fri) 06:26 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

saara様へ

お褒め頂けて嬉しいです♪
体調、私は大丈夫ですよー!
saara様こそ、大丈夫ですか??
老師が出張って参りまして。
どうしたのかしら。
次は誰が出てきてくれるのか、楽しみです。←考えて書け

2015/04/17 (Fri) 06:29 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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