2015_04
15
(Wed)13:07

無音4

愛車の点検中に書きました。
とりあえずUP致します。
コメントへのお返事より先にSSをUPして、申し訳ありません。

そして、暗い話でごめんなさい。
こんなお話前にも書いたなぁと思いながら書いております。
もうほんと、何度も同じのばっか書いてごめんなさい。

皆様、ご無理なさいませんよう!


今回は陛下と浩大です。
【設定 本誌ネタバレ 少しだけ未来 夕鈴が痛いです 浩大も痛いです】
《無音4》




きらきらとした陽射しが降り注ぐ、廊下。
春らしい光がお妃ちゃんの髪を煌かせて、そよそよと吹き抜ける風が絹糸のような髪を弄ぶ。
青白い頰と、閉じたままの目。
少し開いた唇には色がなかった。

「……。」

無言でお妃ちゃんを抱き上げる、陛下。
長い前髪に隠されていた紅い目が、俺をとらえる。

「逃亡したヤツは牢にぶち込んだ。そのジジイ、まだ生きてるみたいだから……俺が喋らせていいか。」

隠密は、言い訳をしない。
処罰はあとからでも間に合う。
それよりも今できる事をやり尽くさなきゃ、また同じ失敗を繰り返すハメになる。
まあ、俺に『次』があれば、だけど。

「……」

俺を見つめる陛下の視線が下に降りる。
俺の指先からポタポタと垂れていた血が水溜りを作り始めて、滑る。
かなりの出血だけど、この程度じゃ俺は死なないことをこの人は良く知ってる。

「じいちゃんは、王宮に向かったよ。早く診せなきゃ。」

ここから一番近い安全な場所は、王宮の陛下の部屋。
術具と薬を抱えたじいちゃんがそこで待ってるはずだ。
早く行け。

「まだ動けるか、浩大。」
「は⁈」

イラつき始めた俺に意外な言葉がかけられる。

『まだ動けるか』だって?
道具の具合気にするような状況かよ、陛下。
俺よりお妃ちゃんだろう。
細い首の、赤いあざ。
あれは指が骨を掴んだ痕だろうが。
早く息を通さないと、お妃ちゃんが、

「夕鈴は大丈夫だ。息もある。」

何がどう大丈夫なんだか知らねえが、とりあえず命はあるのか。
よかった。

「浩大、口の固い信用できる侍女だけを連れて来い。」
「……ああ、分かった。」
「頼む。」

始めての言葉に、返答できなかった。

頼む、って言ったのか。
狼陛下が、『頼む』って。
いったい何があった?
どうしたんだよ、陛下。

「……どうしたんだよ?」
「夕鈴の耳が、聴こえなくなっているかもしれない。」
「っ、耳が?」
「ああ。」

鼓膜がやられたか、血の道が塞がれたか、それともその両方か。
いずれにせよ、お妃ちゃんはじわじわと苦しめられたに違いない。
ひと思いに殺るつもりなら殺るだけの時間があったはずだ。

俺のせいで。
俺が手間取ったせいで。

「……侍女。俺が選んでいいのか?」

まだ俺を信じるのか、陛下。
アンタの期待を裏切った道具を、まだ使うのか。

「お前は夕鈴と行動をともにしていただろう。侍女のことも良く知っているはずだ。」
「……処罰しないのかよ、俺を。」
「しない。」
「っ!」

頭に血がのぼる。
痛みを忘れて、叫んだ。

「俺はっ!失敗したんだぞ?!俺は守れなかったんだ!」
「ああ、そうだ……お前は夕鈴を護れなかった。そしてそれは取りも直さず、私の失敗だ。」
「違うっ!」
「違わない。」

狼陛下が、微笑む。
あり得ねえ。
意識を失ったお妃ちゃんを腕に抱いたこの人が、笑うなんて。
腹立ちと驚愕が入り混じって、身体がが熱くなる。
止まりかけていた血が再び流れ出してきて、血止めの布に噛みついて縛り直した。

「いいか、浩大。」

そんな俺を静かに見つめる陛下。

「夕鈴は、生涯私とともに在る『正妃』になる。」
「知ってる。」

馬鹿にしてんのか。

「お前の失敗は死に値する。」
「当たり前だろ。」

守れなかったんだから。

「だが、夕鈴はそれを望まない。お前を信頼しているからな。」
「花守、だからな。花に信じて貰わなきゃ守れない。」

だけど。
その信頼を裏切ったんだぞ、俺は。

「二度はないぞ、浩大。……私にも、な。」

僅かに震える、語尾。

「お前は、夕鈴に命を救われた。」

ああ、分かってる。
もしお妃ちゃんが死んでいたら、俺は今頃切り刻まれてるはずだ。

「――――次は、ないぞ。」
「ああ。」

俺に背を向け、王宮へ去っていく陛下。
見慣れたそれを見送ってから、屋根に上がる。

花守が花に守られた。
ざまあねえ。

なあ、お妃ちゃん。

―――ありがとう。

ごめんな。

ごめん。
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2015/04/15 (Wed) 15:34 | # | | 編集 | 返信

……………くぅぅぅぅぅっ(>_<、) ナケル←
夕鈴に信頼されまくってる浩大。
さぁ!挽回だ!
頑張れー!∪ノシ>ω<∪ノシ

2015/04/15 (Wed) 16:29 | 桃月 #- | URL | 編集 | 返信

私、このお話好きです。
あさ様が書いてて苦しくないなら
続き、お待ちいたしております(^^;;
もしかして私、Mなのかしら?ワハハハ←

2015/04/15 (Wed) 17:27 | くみ #17ClnxRY | URL | 編集 | 返信

ますたぬ様へ

辛いばかりのSSで…。
書いている私も辛いと言う、なんじゃそりゃな状態です。(笑)
頑張ります。

2015/04/16 (Thu) 17:24 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

桃月さまへ

浩大、頑張れー!
煮詰まりながら書いているので、危うく浩大を彼岸に送るところでしたよ。
危ない危ない。

2015/04/16 (Thu) 17:26 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

くみ様へ

はい!書いてて苦しいです!
なんでこんなの書いてるんだろう!(笑)
最後まで書き切るべく、頑張ってみます。
挫折したら生温かい視線をお願いします。

2015/04/16 (Thu) 17:28 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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