2015_04
13
(Mon)22:48

無音1

こんばんは。
ちょっと内臓が不調で(・∀・)
苦しいのでSSで気分転換をと思ったら、気分を反映したSSになりました。(・∀・)
しかも続き物。
本当に続くのでしょうかこれ。(・∀・)

私の気まぐれにお付き合いさせてしまってごめんなさい。
もう少ししたら回復しますので、少し見守ってやって下さい。
ごめんなさい。



このSSは、夕鈴が痛い目に遭います。
本誌の少し未来。
コミックス未収録ネタバレ含みます。

もし宜しければ。
【設定 本誌ネタバレ 少しだけ未来 夕鈴が痛いです】
《無音1》



早咲きの桜の蕾が開き始めた頃、狼陛下・珀黎翔は後宮に妃をひとり迎えた。
どこまでも柔らかな色合いの、朗らかな笑顔の妃。
後宮に仕える女官たちをはじめ侍女たち皆が、彼女の入宮を喜びを持って迎えた。
血も凍るほど恐ろしい狼陛下が彼女の前では穏やかな微笑を浮かべることを、彼女らは知っていたから。
王のその微笑みがどれほど満ち足りた物であるかを、知っていたから。

だが、王宮と後宮は違う。
不意に現れ不意に消え、今また再び現れた『唯一の寵姫』。
しかもこの度の入宮は下位の妃とは思えぬほど公的に周知された。
記録される、王と妃の婚儀の日。
そこには王と並んで彼女の名が記されている事をとある官吏が漏らし、噂は一日で広まった。

あのお妃が正妃になる。

それを受容する動きと排斥する動きが、同時に始まった。

さあ、今日も。

「千客万来だな、お妃ちゃん。」
「っ、びっくりしたー……」

寝台わきで取り押さえらえた女官姿の刺客の呻き声で目覚めた夕鈴の、忙しい一日が始まる。







「少し、御髪を変えさせて頂いても宜しいでしょうか。」
「変える?」
「はい。今日は風が強い様子ですので、少しお纏めになった方が宜しいかと存じまして。」
「そうなんですか。ありがとう、お願いします。」
「では、失礼申しげます。」

鏡に映る自分の髪がいくつもの束に分けられ、編みこまれてゆく。
櫛に染み込ませた香油が何とも言えない良い香りで、夕鈴はうっとりと目を閉じた。
侍女たちにさらに気合が入る。

今のうちに!

無言でうなずき合った彼女たちの手と指が、忙しく動いて。
普段は隠されている華奢なうなじが露わになる。
少し襟を抜いた衣装と相まって醸し出される清純な艶。
桜を基調とした色味と控えめだが品のよい装飾品に飾られた夕鈴は、少し派手ではないだろうかと気にしつつも、政務室へと向かった。

「……。」

後宮から王宮へ。
廊下の色が変わり柱の様子も変わる。
女官の数が減り官吏が増え始める。
好意的な視線が減り、侮蔑的なそれが浴びせられ始めた頃。

「舞姫腹は、妓女上がりが好みと見える。」

聞こえるか聞こえないかの囁きが、夕鈴の足を止めた。

「……そこの、貴方。今、なんと?」
「お妃様直々にお声をお掛け下さるとは、身に余る光栄……さすが、気安いことですな。」

慇懃無礼を地で行くその男は、悪びれもしない。
舐め回すように夕鈴を見つめ恭しげに礼をとる男の唇が曲がった。

「是非、私にも酌をして頂きたいものですな。」

下卑た笑み。
妓女を値踏みする視線。
衣装の下を見透かすようなそれが、夕鈴を襲い。

「っ。」

瞬時、言葉を奪った。

「おや、ご快諾頂けるとはありがたい。ではこのまま我が邸にお越しになられますか?」

さらに深まる男の笑み。

「だ、誰がっ。」
「宜しいではないですか―――妓女様。」

かつん、と靴音がして近づいてくる男。
ぞわりとした嫌悪感が背筋を這い上がり、夕鈴は本能的に後退った。

「危ないですよ、妓女様。」
「っ!」

後ろから抑えられる肩。
慌てて振り向くと、侍女たちが猿轡を噛まされているのが見えて血の気が失せる。

「さ、このままここで楽しませて下さっても宜しいのですよ。」
「なに、を。」

にやにやと笑いながら近づいてくる男。
逃げようにも背後から押されられて身動きが取れない。
必死に手足をばたつかせる夕鈴の首に、男の手が伸びて。
掴まれた。

「ぐっ、あっ、」
「ああ、いい声だ。」

ナメクジのような舌が踊る男の咥内。
気色の悪いその動きが目の前でゆっくりと展開される。

「ほらほら、死んでしまいますよ。」
「っぐ、」

眼球が飛び出すように熱くなり、頭の中がガンガンとうるさい。
酸素を求めて口を開くがますます狭くなる気道が絶望的な音を立てる。
ふいに赤くなる視界。
何も聞こえなくなる耳。
痺れて冷たくなる手と足と、震え始める身体。
ケタケタと笑い続ける男の舌がぬるぬると蠢いて何か言葉を紡いでいるのが分かる。

舞姫腹。

その男が黎翔を侮蔑する言葉を発しているのだと気づいた時、悔しさのあまり涙が零れた。

陛下を侮辱しないで。
あんたみたいな男に陛下の何が分かるって言うの。

許さない。

もう紫色に変じ始めた夕鈴の唇が、動く。

許さない。

「……ん?なんですかな、妓女様。」

ぎりっ、と指先に一層力を込めた男。
夕鈴の目が必死に男を睨むが、徐々に焦点が合わなくなった、その時。

「死を乞うほどの死に方を覚悟しろ。」
「っ、へ、へいかっ!」

骨が砕ける音と男の悲鳴が響き渡り。
夕鈴は、意識を手離した。
無音2   
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C.O.M.M.E.N.T

ゆっ!夕鈴があぁぁぁぁぁ!!
陛下と夕鈴を侮辱する男、許すまじ!
ヽ(*`Д´*)ノ ムキー
…無理しないで下さいね?
┃q´・ω・`∪

2015/04/13 (Mon) 23:08 | 桃月 #- | URL | 編集 | 返信

桃月さまへ

暗い話にお付き合い頂き申し訳ありません。
ごめんなさいー。

2015/04/14 (Tue) 11:45 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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