拒絶と束縛
お知らせです。
プチにて頒布予定の本、「春の庭」ですが、一個古いデータ(最終修正前のデータ)で入稿してしまっていたことが判明しました。
読むには読めますが、目次がガタガタです。
挿絵が一個おかしなことになってます。
「それでもいいよ、気にしない!」な方のみご購入をお勧め致します。
本当は刷り直したい。
でも、財力がないんです。
全部出しきってしまったんです。
僅かな稼ぎをすべてつぎ込んでしまいました。(ノД`)・゜・。
こう見えて、ものすごく落ち込んでおります。
ごめんなさい。
本当に申し訳ありません。
この先のSSですが。
先日Twitterで、
「あなたは1時間以内に10RTされたら、受けが記憶の一部を喪失している設定で片想いの相手に猛アタックする黎×夕の、漫画または小説を書きます。」
というお題を貰いました。
私の精神状態が如実に表れた壊れ陛下SSです。
しかもR18です。
大人の方のみお進み下さい。
心よりお詫び申し上げます。
大変申し訳ございません。
穴を掘って埋まってしまえ、私。
《拒絶と束縛》
「いやっ、だれ?!」
「……夕鈴。」
がしゃんっと割れる青磁の壺。
だが逃げ惑う夕鈴にはそんな事はどうでもよかった。
「ここはどこ?!」
「だから、」
立派な部屋と分不相応な衣装。
重たい髪飾り。
「夕鈴、落ち着いてっ。」
「やだっ!触らないでっ!!」
近づいてくる、見知らぬ人。
長身のその人はなぜか自分の名を知っていて。
目覚めたらいきなり抱き締められ、驚きよりも恐怖が勝った。
「家に帰してっ。ここから出して!」
脱兎のごとく扉へ向かった夕鈴が叫ぶも、王の命により錠が下ろされたそれはびくともしない。
「助けてっ、誰かっ!」
「ゆう……」
ドンドンと扉を叩く夕鈴。
黎翔は奥歯を噛み締めた。
*
それは、よくある話。
季節の変わり目に体調を崩した正妃には、様々な献上物が集まった。
珍しい果物から精のつく食べ物。
気晴らしになる書物に、美しい花々。
それら全ては老師によって慎重に吟味され、正妃の手に渡った。
だが、老師も知らぬ毒がこの世にはある。
それは命を奪うほどのものではなかったが、夕鈴からここ二年ばかりの記憶を奪い。
それにいち早く気付いた黎翔の手によって、王と正妃は後宮に籠り続け。
今日でもう、七日目を迎えていた。
――――――十日後、蒼玉国の使者が参られます。その際には正妃様も御臨席頂かなくてはなりません。
夕鈴の記憶が失われたと知れたその朝、李順はそう言った。
臨時花嫁だった頃の記憶すらない今の夕鈴。
見知らぬ場所に怯え、戸惑い。
助けを求めて逃げ惑うばかりの彼女に、使者との接見は無理だ。
あと三日の内に記憶を呼び戻さなくてはならない。
老師の解毒薬の完成を待っていては接見に間に合わないのだ。
毒を盛った輩は捕え、解毒薬精製法を吐かせた。
彼らが言うには花茶に混ぜたそれは微量で、解毒せずとも半年もすれば徐々に記憶は戻る。
夕鈴が記憶を失えば私の寵が薄れ、新しい妃を後宮に入れると思った、と。
バカな奴らだ。
夕鈴の記憶が戻り次第、磨り潰すように遊んでやろう。
「いやっ、来ないでっ、助けて、たすけてへいかっ!!」
泣きながら逃げ惑う夕鈴が呼ぶのは、私。
だが記憶が混濁した彼女には、『陛下』が私だとは分からない。
「夕鈴、聞いて。」
「さ、触らないでっ!」
ぱんっと手を叩かれ、甲から血が伝う。
「痛っ。」
「あっ、ご、ごめんなさっ・・・・・。」
怯え震えながらも、夕鈴がこちらを見る。
「つ、爪が……っ、ごめんなさい、そんなつもりじゃ。」
「ううん、大丈夫。気にしないで?」
漸くこちらを見てくれた夕鈴。
心配に曇った茶色の瞳の純粋さに、胸が痛んだ。
ごめんね、夕鈴。
僕のお嫁さんになったばかりにこんな目に遭わせて。
「……ごめんね、夕鈴。」
ずきん、と。
胸が痛んだ。
「……ごめんね、夕鈴。」
その声の深さに、驚いた。
目が覚めてからずっと私をここに閉じ込めているこの人が、急に近くに感じる。
さっきまで、怖いとしか思えなかったのに。
「っ、どう…して?」
どうして謝るの?
「あやまら、ないで。」
感情だけが湧いて出る。
閉じ込められているのに謝ってほしくないだなんて、我ながらおかしいけれど。
この人にこんな風に謝られるのは、イヤだ。
「あやまら、ないで。」
ソバニイサセテ
「おねがい。」
ハナサナイデ
「へいか。」
頭がぐちゃぐちゃになる。
自分が何を考えているのか分からない。
何も分からないのに感情だけが溢れ出て、胸が苦しい。
ドキドキして、息が出来ない。
苦しい。
「夕鈴っ!!」
「っ。」
きつくきつく、抱き締められて。
紅い瞳が私を奪う。
*
「痛くしないから。」
「あ?!」
夕鈴を抱き上げ寝台に運ぶ。
さっきので分かった。
夕鈴は僕を覚えている。
忘れたんじゃない。
「思い出させてあげるだけだから。怖くないよ。」
「おもい、だす?」
うん、と小さく頷いて微笑みかけると。
真っ直ぐにこちらを見つめる夕鈴。
「わたし、何か忘れてる。」
「うん、そう。」
「とっても大切な事?」
「うん、僕にとっては、ね。」
そう。
僕にとっては一刻を争う事態。
これ以上君に拒絶されるのは、心が保たない。
限界だ。
「唇を少し、開けていられる?」
「こう、ですか?」
「そう、上手だね。」
優しく、優しく。
舌を挿し入れ歯列をなぞる。
君が大好きな口付けの仕方。
「ふぁっ、」
ぴくんっと跳ねる肩。
君が感じ始めた証拠。
わざと音を立てて、くちゅくちゅと。
舌の表をざらりと撫でて、上顎を愛でる。
溢れかえる唾液が甘さを増して、混ざり合う。
かくんっと夕鈴から力が抜けて、いつも通り僕に凭れ掛かる。
「ん…ぁ、」
「もっと?」
「ん。」
顎を捕えて上を向かせ、噛みつく。
歯と歯がぶつかるほど近づいて、喉の奥まで届かんばかりに夕鈴を奪いつくす。
空いた片手で裾を捲り上げ、滑らかな肌を探り当て。
ふるえる膝を割って、その奥へ。
「やぁっ、そこっ、」
「うん、ここが好きなんだよね?」
淡い繁みからぷくりと顔を覗かせる花芽。
朱色に色づいているそこに、蜜を塗り付けた。
「あーーーーっ!」
びくびくと跳ねる腰に構わず、指の腹を押し付ける。
花芯をくりくりと弄び、細腰を引き寄せ逃げ道を塞ぐ。
「あっ、あっ、あっ、いいっ!」
「そのまま…達して?」
より一層激しく指を動かし追い詰めると。
「ああっ、もうっ―――――っ!!」
ぷしゅっと愛らしい音がして、蜜が飛び散った。
間髪を入れず、膝裏を持ち上げ口淫を始める。
びしゃびしゃになった花弁を舐め回し、啜りあげる。
夕鈴が感じるように。
堪え切れなくなる様に。
「あ、きゃ、やぁっ!」
「ほら、次はどうしてほしいの?」
「やっ、わからな――――あああっ!」
花芽が吸い上げられると同時に入り込む、長い指。
分からないはずなのにそれを待ち望んでいる自分に気づき、夕鈴は混乱の極みにいた。
「あっ、ん、んんっ。」
「ここ、だよね…あと、ここも。」
「やぁっ、そこ、だめっ、だめなのっ!」
一番感じる奥のそこと、花芽の裏にあるあの場所。
そこを同時にいじられると自分がどうなるのか。
『夕鈴、可愛い…もっと僕を欲しがって。僕から離れられなくなって。』
叫び乱れ求める自分を愛しげに見下ろす、あれは。
『そう、上手。押し付けるみたいに、回して?僕だけのものになって?』
あの、燃える様な紅い瞳は。
「あ…黎翔、さま。」
「思い出してくれた?」
私の、陛下。
ぶわっと記憶が押し寄せると同時に認識する、自分の姿。
まだ明るい窓の外。
帳が払われたままの寝台。
持ち上げられた両脚の間には、愛しい黒髪。
「きゃぁぁぁぁっ!!陛下、何してるの?!」
「なに、って…君を愛している最中だが。」
「昼間っからなにをっ!」
暴れ出した夕鈴を見やり、黎翔は微笑む。
「お帰り、夕鈴。」
「た、ただいま戻りましたっ。だから、離してー!」
「やだ。」
「っ!」
期限まで、あと三日。
「まだ時間はたっぷりあるから。」
「何のことですか?!」
無自覚に拒絶し続けた妻へのお仕置きは。
溺れる蜜の日々。
甘い束縛。