2015_01
04
(Sun)18:41

望春3

全く自由時間がありません。
疲労で発熱する有様。
もう下がりましたから大丈夫です(笑)

コメントへのお返事滞っておりまして申し訳ございません。
嬉しく拝読しております!

とりあえず書けたところまでUPしますが、ネタバレと妄想が甚だしいですのでご注意くださいね。
次は久し振りの鍵部屋かしら。
誤字脱字お許し下さい。ほぼ一発書きなんです。
もし宜しければ!
【ネタバレ妄想SS】
《望春3》


見目麗しい、二人の楽師。
匂い立つような音色が絡まり合い高め合う。
さすがが氾家のお嬢様のご紹介。
小楽団とは言え、格が違う。
女将は楽の音に耳を傾け微笑んだ。
「ようこそお越し下さいました。」
刻限を迎えた妓館の扉が開かれて。
濃密な香りをまき散らしながら妓女が客を迎え入れる。

「お待ち申し上げておりました、柳の若様。」
「うむ。」
「まあ!ようこそお越し下さいました経倬様!お座敷にはぜひ私をお呼び下さいませね?」
「いえ、私を!先日お約束して下さったわ!」
顔も財布の紐もついでに言えば頭の中身も緩み切ったカモに群がる妓女の群れ。
「よし、いいぞ!皆この経倬様に侍るがいい!」
「きゃーっ、本当に?」
「ははははっ!」
全身の毛を毟る勢いの妓女たちに囲まれて、奥へと消える柳経倬。
少し離れたところからそれを見て満足げに頷いていた女将に。
「部屋を用意してくれ。」
声がかかる。
妓館にはやや不似合いな低い声音。
立っていたのは外套を羽織った見慣れぬ長身の男。
「いらっしゃいませ。上着をお預かり致しましょう。」
笑顔は殺さずに素早く値踏みする。
手に触れた外套は、上質。
現れた中身はさらに質がよさそうだ。
黒髪紅眼、端正な顔立ち。
これだけの高級妓館に初めて足を踏み入れると言うのに全く動じていない。
…これは、上客だ。勘が働いた。
「これで頼む。」
どさりと無造作に金袋を渡す客。
ほら、やっぱり。間違いない。
「お気遣いありがとうございます。ご案内申し上げますわ、どうぞこちらへ。」
極上の笑みを浮かべた女将は、黎翔に上部屋を宛がった。


「おや、見ない顔だね。」
「はい、今日は特別にお手伝いをさせて頂いております。」
しゃらりと髪を躍らせてくるくると立ち働く夕鈴。
厳しいお妃教育の成果が発揮されたその立ち居振る舞いと媚のない笑顔が男たちの目を引き寄せる。
そんな夕鈴の様子から目を離さずに演奏を続ける方淵の眉間の皺が深まった頃。
「やっぱり柳の若様は気前がいいわねっ。」
「少しお褒めしただけで、こんなに下さったわ!」
きゃいきゃいとはしゃぐ妓女達の声を夕鈴が捕えた。
「少し失礼致しますね。」
大卓の客たちに酌をして回っていた夕鈴が場を外しつつ方淵たちに目配せをする。
少し浅くなる眉間の皺と、一瞬青褪めた水月。
「まさか、ね…?」
覚えのあるぞくりとした感覚を必死に振り払う氾家長男を全く意に介さず。
柳家の次男は場を外した妃の行く先を目で追った。

少しして。
最奥の部屋から怒号が上がる。


「これはもう、君が悪い!」
そう言って部屋を飛び出した陛下を追いかけた夕鈴を掴む、誰かの腕。
「お妃様、ここから先は危ないですから。」
「水月さん。」
辛うじて微笑む水月の顔色は蒼白で。
捕まえたはずの夕鈴に縋る様に腕が震えている。
「大丈夫ですか水月さん。」
「へ、陛下がここにお出でで…大丈夫なはずがないでしょう、お妃様…」
「うっ。」
いまにもへたり込みそうな水月を支え、夕鈴は元いた部屋へと引き返した。
本当は今すぐにでも黎翔を追いたいが、水月の言う通りそれはあまりにも無謀で危険だ。
こうなった以上は、もう。
今できる事をやるしかない。
「水月さん、とりあえずここにいましょう?」
「は、はい。」
ほうっ、と息を吐く水月。
カタカタと震える彼の脇で立ち尽くしながら、夕鈴は思いに耽った。

何もなかったことには、もう出来ないかもしれない。
兄を慕う晏流公。
普通の兄弟の様に陛下と接して欲しかった。
陛下がこれ以上傷つくことのないようにしたかった。
でも、もう…

バンッ

扉が開いて思考が中断される。
「え?」
「お妃様っ!」
慌てて立ち上がる水月と、喉に突きつけられる冷たいもの。
チリッとした痛みが走り、何が起こったのかを悟った瞬間。
「…これはこれはお妃様。なるほど、このお姿が本来の貴女と言う訳か。」
舞姫腹の愚かな王にはお似合いだ。
そう言って高笑いする男の腕が夕鈴の両手を後ろ手に掴み上げ。
捻った。
「痛っ!何すんのよっ!」
「相変わらず威勢のよろしい事だ。」
夕鈴を引き摺りながら部屋を出ようとする男の行く先を水月が塞ぐ。
「お妃様を離しなさい…郭殿。」
「氾家の引きこもりが、私を止められるとでも?大人しく道を譲らねばお妃様の顔に傷がつきますよ。」
睨み合う二人。
腕をねじ上げられ刃を首に当てられた夕鈴の思考がようやく動き出した。

…郭。
水月さんは、『郭殿』って言った。
逆恨みから陛下に刃を向けた勘違い男。
私が二度目の借金を作ることになった原因。
自らの横領を『ささいな事』と言い切ったとんでもない男が。
今さっき陛下の事を、なんて言った?
『舞姫腹の愚かな王』って。
そう、言った?!
――――許せない。
腹の底から怒りがこみ上げる。
「…ちょっと、聞きたいんだけど。」
体の力を抜いて振り返り、男を見上げる。
「貴方が、『韋良』ね?」
「っ!」
その表情から是を確信した夕鈴が。
「陛下――――っ!!」
あらん限りの声を上げるのと。
「っ、この女――――っ!」
追い詰められた『韋良』の右腕が振り下ろされるのとは、ほぼ同時で。
「お妃様っ!!」
細長い刀身が駆け寄った水月の腕を裂きながら夕鈴の身体に吸い込まれる寸前。
「夕鈴っ!!」
鋭い金属音と共に、払われた。

あ、陛下。
来てくれた。

腕を抑えて跪拝する水月。
浩大に取り押さえられ歯噛みをする『韋良』。

「夕鈴、ちょっと話があるんだ。」

ふわりと微笑んだ黎翔は、安堵の表情を浮かべる夕鈴を抱き上げ妓館をあとにした。
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C.O.M.M.E.N.T

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