2014_12
01
(Mon)17:59

隠密の試み

こんばんは。
あさ、です。

週末は長女の模試とか説明会とかで忙しくて疲労困憊なうえ、週明け早々保護者会責めです。
明日も保護者会金曜も保護者会。
そして今日から師走。
今月が原稿の締め切りです。私の場合。
どうするいつやる誰がやる(私だ)?

弱音でした。


疲労回復にSS書いてしまいました。
もし宜しければ。
【設定 臨時花嫁終了あたり】
《隠密の試み》

「雨、やんだな。」
暁闇。
黄金色の甍に坐したまま、白んでいく空を見つめる。
今夜、いや正確には昨夜――――も千客万来だった。
狼陛下の唯一の妃。
こんなに狙いやすい的はない。
狼への私怨を晴らすために妃を狙う輩。
後宮への進出を目論み邪魔な妃を狙う者。
はっきり言って酷い状況だ。
「臨時花嫁、か。」
万一命を落とそうがなんとでもなる都合の良いバイト。
いくらでも代わりの利く便利な駒。
「死なない方が不思議だよな。」
短期バイトと銘打ったのは長期間命を保証するのが難しいから。
それくらい危ない位置にお妃ちゃんはいる。
狼に守られて。
――――朝日が昇る。
陽の光にさらされた屋根の上で、少しのびをして。
「起こすにはまだ早いんだけど。うちの御主人様は寝起き悪いから困るんだよな。」
声を投げる。
「っ!!」
びくっと跳ね上がった黒い影が、ふたつ。
屋根から転がり落ちる様に逃げて行く。
「逃げられると思ってんのかよ。」
猿の様に跳躍した浩大の鞭が空を裂き撓る。
投げた苦無が一人の背を貫く。
「お前、運がいいな。」
動かなくなった客に声を投げ、浩大は鞭を引き寄せた。
「・・・あんたは悪いけど付き合ってもらうぜ?」
「ぐっ!」
「運の悪いお客様だな。」
ぐったりとした男は舌を噛み切る間もなく、客間へと運ばれた。
「こいつしっかり繋いどいて。」
「かしこまりました。」
地下牢に客を放り込んで牢番に声をかけた浩大を悪寒が襲う。
雨だったからな。
冷えたか。
自室に戻り、すっかり重くなった衣装を脱ぎ捨て軽く体を拭った。
「うわっ、冷てえっ。」
思いのほか濡れていた頭髪から伝う雫に身震いする。
ぞわわっと肌が粟立ち、引き攣れる。
「っ、ちょっと寒いな。」
苦笑いした浩大は、傷跡だらけの身体を隠すように素早く衣を纏い。
「じいちゃんに薬貰っとくか。」
後宮の朝靄に消えた。


朝か。
薄く目を開けて隣で眠る夕鈴を見つめる。
安らかな寝顔に至福がこみ上げ頬が緩む。
緩く上下する胸。
柔らかな桜色の頬。
ぷくりとした桃色の唇。
――――臨時花嫁。
危険な囮役。都合の良い駒。
騙されてここに来たというのに、一生懸命その役を務める夕鈴。
裏表のないその笑顔と優しさと、強さに。
僕は強く惹かれた。
欲しい、とさえ思う。
この少女を我がものにしたところで誰も私を責めはせぬ。
欲しければ手折ればよいのだ。私はそれが許される。
ゆっくりと伸びて行く自分の手。
他人の物のように感じるそれが夕鈴の髪に触れ。
さらりと払い、頬をなぞる。
温かくて滑らかで柔らかい夕鈴。
明るい笑顔と表情豊かな瞳。
僕を見て頬を染める愛しい人。
そうだ、帰すことなどない。
このまま私のものにして、思うが儘に溺れさせ縛り付け僕だけのものにして。
僕は君の心を失う。
「・・・どうせ、」
失うなら。
君だけは幸せでいて。
僕を忘れて、君らしく。
「夕鈴・・・」
この頬に触れられるのは、あと少しの間だけ。
だから、今は。
目覚めないで。


「浩大。夕鈴の護衛につけ。」
「監視の間違いじゃなくて?」
「うるさい、どちらも同じことだ。」
その日の夜。
お妃ちゃんをクビにした陛下の顔色は最悪だった。
やっぱじいちゃんに薬貰っといてよかった。
寝込んでる場合じゃねえもんな、これ。
今朝方の客は陛下のいい憂さ晴らしになるだろう。
ほんと運のない客だ。
「いつまで護衛すんのさ。」
「黙って行け。」
はいはい、と返事をして屋根に上がる。
あちらこちらに客の姿。
確かにもう限界だった。
客からお妃ちゃんを護るのも。
狼の牙を抑え込むのも。
「・・・でもさ、陛下。」
俺、ちょっと試してみたいことがあるんだよね。
あの子がどこまでやるのか、やれるのか。
気になるんだよね。
難儀な二人の恋の行く先。

C.O.M.M.E.N.T

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック