2014_11
18
(Tue)16:57

花追い3

今日はパソコンの日でした。
頑張りました。
なんだかんだで100ページ近くを編集して、SS酔いしました。
でもおかげで少し先が見えたので、心が軽くなった・・・かな(笑)

今回のSS「花追い」。
少しいつもと違う浩大です。
お口に合わなかったらごめんなさい。
【設定 臨時花嫁】
《花追い3》


「・・・んっ、」
「どうした、お妃ちゃん。」

先ほど治療したはずの眼が痛むのか、それともどこか具合が悪いのか。
苦しげに眉を顰める夕鈴を浩大は慌てて覗き込んだ。

「・・・ぅ、いや・・・へい、」

魘される、夕鈴。
あとからあとから零れる涙が枕を濡らす。
『私ね、我慢できなかったの。』
先ほどの言葉が蘇った。
夜毎眠れなかったのは、夢を見るからか。
陛下が他の女を抱く夢を見るからなのか。
苦しげな夕鈴を見下ろし、浩大は少し躊躇う。
だが、迷いを吹っ切る様に首を振り懐に手を入れ小瓶を取り出した。

「お妃ちゃん、ごめん。」

囁いて夕鈴を仰向かせ。
少し鼻を塞いで口を開けさせる。
白い歯が覗き桃色の舌が蠢くのが分かる。
陛下を呼んでいるんだろう。
でも、今はここにるのは・・・俺だ。
数滴を口中に垂らし、じっと待つ。
深まる寝息と弛緩していく身体を見守った。
これで、眠れるだろう。
少なくとも明日の朝までは、何があっても目覚めない。
そう。なにをされても・・・全ては夢の中。

「陛下が他の女を抱く姿が、見たくないなら。」

見られない身体になればいい。
重みを受けた寝台がぎしっと軋む。
くったりと横たわる夕鈴を上から覗き込む。

「いっそ・・・俺に抱かれてみるか。」

浩大の瞳が獰猛な色を帯び。
その指先が夕鈴にかかった。







「どこだ、浩大。」

深夜。
夜目が利く事を天に感謝しながら黎翔は後宮の裏を進んでいた。
まともな道ではない。裏道だ。
ごつごつとした岩の壁が迷路のように張り巡らされた後宮の地下洞。
所々で出くわす物言わぬ屍。
白骨化したそれが纏う衣装の華麗さから、いつの時代にか行方知れずとなった妃なのだと悟らせる。
持っているのは頼りない灯火ひとつ。
黎翔がこの洞に足を踏み入れるのはこれが初めてだ。
『小僧が逃げ込むとしたらあそこしかありませんな。』
躊躇いがちに白状した張元の言う通り、まるで迷宮の様な洞を黎翔は彷徨い続けていた。

『お妃ちゃんの幸せを考えた事あるか、陛下。』
怒りを帯びた浩大の瞳を思い出す。
『幸せでした。陛下のお傍にいられて、束の間でも愛されて。』
哀しげな夕鈴の微笑を思い出す。
全てが間違っていたのだと、今なら分かる。
ずっと夕鈴と一緒にいられると思っていたのは自分勝手な思い込みで。
日々彼女を腕に抱く幸福に酔いしれていた。
不安にさせ、追い詰め、泣かせて。
それに気付かず夜ごと彼女を貪り疲弊させ。
挙句の果てには子飼いの隠密に裏切られる始末。

「愚か者の、末路、か。」

ごろりと横たわる屍を見下ろし、黎翔は深く息を吐いた。

夕鈴。
僕を嫌ってもいい、愛想をつかしてもいい。
でも。
こんな別れは、いやだ。

黎翔は暗闇に向かって歩を早め。
花を追う。
花追い4   
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