2014_11
09
(Sun)13:40

こんにちは。
「分つ」をUPし、びくびくしている、あさ、です。
「分つ」は、「春の庭」の中で一番の黒さを誇るSSだったんじゃないかと思います。
まさか拍手を頂けるとは思っておりませんでした。
ありがとうございます。
「分つ」に頂けた拍手の数、「春の庭」本を刷ろうと思います。


朝晩の寒さが増して参りましたね。
喉の不調が咳に移行してしまい、苦しんでおります。
げほごほ。
と言う訳で(どんな訳だ)
うちの陛下に咳をさせてみたらこんなSSになりました。

お暇つぶしにどうぞ!
【設定 未来夫婦 お子様なし】
《咳》


「・・・けほっ、ごほっ。」

遠慮がちな咳。
陛下、辛そう。

大丈夫ですか?

そう言いたいけど。
寝息を乱しちゃダメ。






「老師、折り入って相談が。」
「なんじゃ!身籠ったか?!」
「違いますよっ!!」

掃除婦姿の正妃は真っ赤になって雑巾を握りしめた。
婚儀を挙げてまだひと月。
初心な新妻はムキになって否定する。

「違いますっ!」
「分かった分かった・・・で、なんじゃ?」

少し残念そうに、張元は茶を啜り。
夕鈴は大きく息を吐いて、頬のほてりを鎮めるべく努める。

「お妃ちゃん。陛下の風邪の事?」
「あ、浩大。」

ぶらん、と窓枠にぶら下がった浩大が、くるりと回転しながら部屋に入ってきた。

「なに?陛下がお風邪とな。」
「そうみたいなんだよねー。」

早くも二つ目の茶菓子に手を伸ばしながら浩大はムグムグと答えた。

「でも、ま、いつもの、だよ。」
「いつもの、ってなに?」
「ちょ、お妃ちゃん!」

ぱっと茶菓子を脇に除けて、夕鈴はずいっと身を乗り出した。

「菓子っ!」
「小僧、話してからじゃ。」

張元も加勢し、浩大は菓子を追いかける手を渋々引っ込めた。

「あー、えっと、陛下の母上ってさー、あまり身体が強くなかったんだよね。」
「おお、そうじゃったの。大層お美しい方じゃったが、病がちであられた。」

ずずっと茶を啜りながら当時に思いを馳せる張元。
浩大も一口茶を含んでから、夕鈴を見つめた。

「陛下も、身体弱いんだよ。」
「え?」

夕鈴の眼が丸くなった。

「嘘。だって陛下はあんなにお強くて、」
「剣の強さと身体の中身は違うよ、お妃ちゃん。」
「お背も高くて、腕だってあんなに力強くて、」
「うん、とても身体が弱いとは思えないよね。」

うんうん、と頷く浩大の手にはいつの間にか茶菓子がある。

「・・・『舞姫上がりの母を持つ後ろ盾もない虚弱な皇子』だったんだよ、陛下は。」
「う、そ・・・」

呆然とする夕鈴。
浩大はそんな正妃を真っ直ぐに見据える。

「――――弱さを見せたら終わり。陛下が生きてきたのはそんな世界だ。」

だから、陛下は。
どれほど辛くとも鍛練は欠かさなかった。
熱があろうが腹痛があろうが平然と学問に励み剣を振るった。
毒に慣れた分、薬は効かなくなって。
生来の虚弱さに蓋をするようにして、強くなった。

「わかるか、お妃ちゃん。」
「・・・あ。」

陛下が、辛い時に『辛い』と言わないのは。
言いたくないんじゃなくて、言えなかったから。
隠さなきゃいけなかったから、なんだ。

「ありがとう、浩大。」

教えてくれて。

私の知らない陛下。
陛下の知らない私がいるように、私の知らない陛下がいる。
それは、陛下と私が出会う前の時間だから、仕方ない。

でも、私は。
知らなきゃいけないんだ。
陛下の花嫁だから。



深夜。

「・・・けほっ、ごほっ。」

私を起こさぬように気遣いながら抑えた咳をする陛下。
昨夜までの私は、陛下の気遣いを無にしない様、寝たふりをしていた。
でも、今夜からは。

「ゆっくり、息、して下さい。」
「ゆ、り・・・っ、ごほっ、」

夕鈴はその懐に隠すように、黎翔の頭を包む。
その温かな感触に身を委ねた黎翔は、妻を見上げ。
そっと目を閉じる。

「ぐっ・・・ご、ほっ、」
「お薬、飲んで下さいね?」
「・・・っ、や、だ。」
「もうっ!」

夜着の袖から薬包を取り出す夕鈴。
口を堅く閉じ薬を拒絶する黎翔だが、長くは続かず。

「けほっ、げほっ、」
「ほら、お薬飲みましょう?」
「やだ、苦・・・っ、んっ。」

甘さに包まれた薬を飲まされる。

ねえ、陛下。
これくらいしても、いいでしょう?

全部を移し終えた夕鈴は、悪戯っぽく笑い。
黎翔は染まった頬を隠すように妻の胸に顔を埋め、思う。

――――うん。咳も悪くない。






☆あー、苦し。げほごほ。←書いてないで薬買いに行け私。
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C.O.M.M.E.N.T

お大事に

咳は続くと胸が痛くなりますよね。私も気管支炎でなかなかなおりませんでした。お大事にされてください。

2014/11/09 (Sun) 19:43 | 萌葱 #- | URL | 編集 | 返信

Re

萌葱さまへ
この歳になると治るのに時間がかかって困ります。
げほげほ。
萌葱さまもお風邪にはお気を付けくださいね。

2014/11/09 (Sun) 21:19 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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