2014_10
02
(Thu)15:47

桂花

こんにちは。
あさ、です。

気がかりなことがありまして、原稿に集中できなくてですね。
またもや金木犀ネタを書いてしまいました。

つらつらと書いたSSです。
お約束な展開です。

それでもいいよ!
と仰って下さる皆様のお心に甘えてUP致します。(言ってないですよね 笑)
【設定 バイト終了後】
《桂花》

「あ、いい香り。」
水を汲もうと外に出た夕鈴が、ふっと笑う。
「昨日の雨でも花は落ちなかったのね。」
よく手入れされた桂花の木。
「あとで少しお花をちょうだいね?」
明日には散ってしまうであろうその花は、『是』の代わりにさわさわと葉を揺らす。
「ありがとう、ひとつ分でいいの。ごめんね。」
緑の葉に触れる優しい手。
朝日を受け輝く桂花は嬉しそうに見えた。

カラカラと釣瓶を落とす音がして、水音が立つ。
「よいしょっ!」
元気よく掛け声をかけた華奢な背中が扉に吸い込まれ、消える。
「・・・陛下、何してんだよ。」
屋根の上から降る、呆れた声。
護衛の任を解いたはずの、浩大。
「お前こそ何をしている。夕鈴に用でもあるのか?」
黎翔の気が尖る。
「いいや、別に。陛下が逃げ出さないように見張ってくれって頼まれただけだよ。」
「ふん。李順か。」
「そ。いやー、それにしてもさ。いい女になったなあお妃ちゃん――――っと!」
たんっと宙を舞い、隠密は刃を逃れた。
「危ねえなあ。別にいいじゃん、お妃ちゃんだっていずれは誰かのとこに嫁ぐんだから。」
しゅっと飛び来る小刀を避けて浩大は身を隠し。
「生まれ育った下町で、自分以外の誰かと結ばれて幸せに暮らす。」
声を投げる。
「狼陛下の事なんて忘れて、お妃ちゃんらしく『幸せ』に――――そう願ったのはあんただろ?陛下。」
それには怒りが含まれていて。
「・・・・っ。」
黎翔の動きを止めた。

ざあっ、と抜ける秋の風。
ぱらぱらと落ちる、桂花の花。
あの日、紫苑宮で。
『遠くに行っちゃダメですよ』
そう言って僕に触れてくれた君。
僕は君から離れたくなんて、なかった。

ガタン。
再び扉が開く音がして。
「じゃあ、少しお花もらうわね?」
あの時と同じ香りに包まれて、君を見つめる
「今日はね、陛下が蒼玉国のお姫様とご結婚なさるおめでたい日なの。」
ぴたりと夕鈴の手が止まる。
「みんな、お祝いを申し上げに王宮に行くんだけど。」
語尾が震えているように聞こえるのは、都合のよい空耳だろうか。
「とても、そんな気にはなれなくて――――私ってだめね!」
ぱっと顔を上げた夕鈴から散る雫。
「だから、香り袋を作って浩大に持っていってもらおうと思うのよ。お祝い、に。」
小皿に花を移し終えた夕鈴。
「―――――陛下に思い出して、もらえるように。」
その唇からこぼれ落ちた囁きを。
百里を香る桂花が運ぶ。

もう我慢などできなかった。

「っ、夕鈴っ!」
走り寄り、抱き締める。
「へ、いか?!」
甘い香りに包まれた夕鈴。
一時も忘れた事などない君が今、腕の中にいる。
「夕鈴、ゆうりんっ。」
愛しさが溢れるままに口付け。
募る恋しさが言の葉に変わる。

僕の妃は君ひとり。
狼陛下の花嫁は君ひとり。

「君が私の妃だ。君以外はいらない。」
「陛下、へいか・・・っ」
泣きながら首を振る夕鈴を強く抱く。
もう離すものか。
「私じゃ、ダメです。陛下には、蒼玉国のっ!」
「縁談は流す。」
「そんな事しちゃダメですっ―――きゃあっ!」
「ダメじゃない。」
急に抱き上げられた夕鈴の視界がくるりと回って。
屋根の上にいる隠密の笑顔が映る。
「あー、それなら問題ないと思うぜ?」
「浩大、まだいたのか。」
「ほら、お迎え。」
汀家の門前に馬車が停まる音がして。
馬が嘶く。
「さあ、夕鈴殿。正妃様らしくなさって下さいよ?」
「李順さん?!」
「お前、本当にいい仕事するな。」

白陽国の新しい一日が始まる。

C.O.M.M.E.N.T

No title

あさ様
珪花はやっぱり、夕鈴の代名詞ですね。
家でも、珪花が香ってくると夕鈴を思い出し、幸せな気分になります。あの甘い香りが皆を幸せにしますよね。
本誌でも遂に夕鈴が陛下の元に帰りそうですが、あさ様のお話の様に陛下が迎えに行き、夕鈴の本音をきき、お互いが想いあっていたのが、分かるようなお話も萌えますね。
終わるのは嫌だけど、二人の仲が進展して欲しいなとも思います。
何時も、そんな私の思いをお話にしてくれているあさ様には感謝しています。
これからも楽しみにしていますね。

2014/10/05 (Sun) 09:41 | 狛キチ #- | URL | 編集 | 返信

狛キチ様へ

そうですよね。
早く二人を会わせてあげたい。
早く陛下を幸せに!
夕鈴がんばって!
でも、終わるのは嫌っ!
ジレンマを妄想にぶつけております(笑)
楽しんで頂けて嬉しいですっ。
書いてよかったと思えます。

2014/10/06 (Mon) 10:27 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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