2013_06
30
(Sun)20:35

「添い寝・黎翔」UPのお知らせ

こんばんは。

先日UPした、「添い寝」の、陛下Ver.を書いてみました。

ええと、書いているうちに、なぜか春の部屋行きになりまして。

恐れ入りますが、年齢制限がございます。

大人の方のみ、ご覧下さいませ。


しばらくは「最新記事」にこのお知らせが載るようにしておきます。

春部屋の目次からも、ご入室いただけます。


「添い寝・黎翔」へ
スポンサーサイト
2013_06
30
(Sun)17:24

羽衣

SNSで25000人目のお客様となられた、S様からのリクエストです。

「夕鈴が熱を出してしまって寝込んでしまったお話し」というリクエストでした。

S様!ありがとうございました。

そして、何度も申し上げますが。

紅陛下、素敵!!!(しつこい)





【設定・臨時花嫁】



《羽衣》




夏らしい、紗の衣。

肩衣すらない、艶やかな衣装。

複雑に結い上げられた髪。

しゃらしゃらと、綺麗な音がする飾り。



天女のような君。


・・・いつまでもそばに置くには。


どうしたら、いい?










「・・・・・けほっ。」


侍女さんたちは、ちょっとしたことにも良く気付く。


「お妃様?」


ほら、今も。

ほんの少し咳をしただけで、心配そうに、私を見てくれる。


「大丈夫、なんでもありません。」


ちょっと喉がおかしいくらいで、世話を焼かせるわけにはいかない。

こんな庶民のバイト妃が、侍女さん達にこれ以上の面倒をかけるなんて、とんでもない!

そう思い、にっこりと微笑むと、侍女さん達も安心したように微笑んでくれ、私も胸を撫で下ろす。


「・・・それでは、参りましょう。」

「はい、お妃様。」


夕鈴は、政務室へ向い、ゆっくりと歩き出した。










____________昨夜の宴は、楽しかった。


黎翔は、朝議場から政務室へと歩を進めながら、思う。


宴の時にしか見ることのできぬ、夕鈴の艶姿。


肩を露出した、薄絹の衣装。

結い上げた髪からは、簪の音色と、花の香り。

細い首には金の飾り。

愛らしい耳朶には、衣装と合わせた水色の玉が煌き。

ほっそりとした手首にも。

裳裾に隠れた足首にも。

鈴の音がなるような、輪飾りを着け。


まるで天女のように、清純で可憐な姿に。



・・・・このまま、ずっと。



そう、思った。


何のための宴だったかなんて、よく覚えていないけど。

妃に肩衣を着せ掛けようとした侍女たちを制止したのは、覚えている。



____________羽衣を返さなければ、天女は私のものだろう?



そう、思ったから。






「・・・陛下、お顔が。」


昨夜の夕鈴を思い出して楽しんでいたのに、李順に邪魔をされる。


うるさいな、分かってるよ。

せっかく、かわいいお嫁さんを思い出して和んでいたのに。


途端に不機嫌な顔になった僕に、また李順が話しかけてきた。


「・・・政務室にて、お妃様がお待ちです。」


前言撤回。

うん。やっぱり李順はいいやつだ。


僕は軽快な足取りで、夕鈴が待つ政務室へと向った。









「・・・昨夜の君も美しかったが・・・今朝も一段と愛らしいな。」


機嫌よく政務室に入室した黎翔は、真っ先に妃のもとへ向い、その手を取った。


「・・・っ!あ、ありがとう、ございます・・・・」


夕鈴は、頬を染めて、そう答えるのが精一杯で。

その様子を見た黎翔は、ますます笑みを深める。


「あのように艶やかな君は・・・本来ならば、誰にも見せたくはないのだが・・・・・」


さらり、と、夕鈴の髪を撫で。

そのまま指先が、頬に触れる。


・・・・きゃーっ!!朝からなんでこんなに色っぽいんですか?!陛下?!


心の声を押し殺し、夕鈴は必死に笑顔を保ち。


「・・・・・陛下、皆様がお待ちですわ・・・・そろそろ・・・」


もう限界です!!!


と、訴える。


その引き攣った笑顔を楽しげに見やり、黎翔は。


「愛しい妃よ。しばし待っていてくれ。」


指先に口付けを落とし、漸く夕鈴から離れ。


・・・・・っ!!陛下、演技過剰です・・・・!!


目の前がぐるぐると回るのを感じた夕鈴は、そうっと深呼吸をして、椅子に座りなおした。






____________おかしい。


書簡を捌きながら、先ほど触れた夕鈴の頬の感触を思い出す。

いつもなら、しっとりとして、ぷにっと弾むような感触なのだが、今日は少し違ったような。

口付けした指先が、やけに冷たかったような。


___________気になる。


ちらりと夕鈴を見ると、瞳は潤み、頬は桜色で。

扇で口元を隠し、視線は物憂げに窓に向けられていて。


___________ああ、可愛いな。


思わず、見入ってしまう。


「・・・・・こほん。」


李順の咳払いで我に返り、書簡に目を戻し、再び政務に集中した黎翔だったが。


___________やっぱり、気になる。


再度黎翔の視線が夕鈴に向けられたのと。


ずるり。


椅子から滑り落ちるように、夕鈴が崩れ落ちるのは、ほぼ同時で。



「_______っ!!夕鈴っ!!!」



夕鈴は、自分の名が呼ばれているのを感じながら。


ゆっくりと、暗闇に意識を沈ませた。












「__________あ、れ?」


重たい瞼を持ち上げると、見慣れぬ天井が目に入る。


「・・・・あ、れ?わたし・・・・」


政務室にいた筈なのに・・・・


「なんで寝てるの?!」


慌てて起き上がろうとした夕鈴だったが、何かが自分に乗っかっていて、動けないことに気付く。


「・・・・えっと・・・・」


冷静に、冷静に。


自分に言い聞かせ、恐る恐る、頭を巡らせると。


自分の顔のすぐ横に、見慣れた黒髪が。

自分の胸の上に、見慣れた色の衣装と、重たい腕が。


「・・・・・ぎっ・・・・・」


叫びかけた夕鈴だったが、すんでのところで思いとどまり。


「あ・・・・そっか・・・倒れちゃったんだ・・・・」


状況を、理解した。






「あ、夕鈴、起きた?」


夕鈴が目覚めたのに気付いた黎翔は、身を起こして額に触れ、熱を確認する。


「うーん・・・まだ少し高いね、熱。昨日の宴で風邪引いちゃったんだね・・・」


「ごめんなさい、陛下。私とんでもないご迷惑を・・・・」


夕鈴は身を縮ませて謝るが、黎翔は一向に気にしていない様子で。


「あ、夕鈴、お水飲む?それとも果実水?氷がいい?」


心配に曇った瞳で、甲斐甲斐しく妃の世話を焼く。


「じ、自分で!自分で飲みます!!」


慌てて寝台から降りた夕鈴だったが、立ち上がると同時に、身体が傾ぎ。


「ほら、危ないよ?熱、高いんだから、大人しくしてて。」


少し怒った様な口調の黎翔に、寝台に戻された。


「・・・・・ごめん、なさい・・・・」


情けなさに唇を噛み締めて俯く夕鈴を、黎翔は優しく抱き締め。


「・・・・僕のほうこそ、ごめんね?」


そっと、囁く。


「昨夜の君が、あんまり綺麗だから・・・・ずっと、一緒にいたくて。君が天女みたいに綺麗だったから、羽衣を、返したくなくて。」


「・・・へい、か?」


「僕の子ども染みた妄想のせいで、君に熱を出させちゃった・・・・ごめん。」


「え・・・?」


訳が分からず、きょとんと首を傾げる夕鈴を、愛しげに見つめた黎翔は。


「さ!夕鈴!果実水、お水。それとも氷?」


卓上に準備されたそれらを指差して、小犬の笑顔で選択を迫り。


「・・・・・では、溶けちゃうともったいないので、氷を・・・・」


子犬につられて答えてしまった夕鈴に、狼の笑顔を向ける。


「__________では。氷、だな?」


「__________っ!!!んっ!!」


「_______もうひとつ・・・・」


「・・・んっぅ・・・ふっ・・・も、いいで・・・」


「だめ。もういっこ。」



もう、肩を出した衣装なんて着ない!!!


熱くて冷たい、不思議な氷を味わいながら。


夕鈴は、激しく後悔したのだった。
2013_06
29
(Sat)10:30

いつも通り

【設定・原作沿い・臨時花嫁】
【主役は李順さんです】



《いつも通り》





____________あのような者が、妃、だと?


王宮の回廊で、高官たちが寄り集まり、囁き合う。


____________品もなく、知性の欠片もない。


____________あのような者が、陛下のお側に侍るとは・・・


一層声を潜め、彼らは底意地の悪い笑顔を浮かべ。


____________狼陛下も、先が見えたな・・・・


くくくっ、と、哂った。










「・・・・李順。これで終わりか?」


深夜。

黎翔は山積みの書簡を崩し終え、深々と息を吐く。

その傍らで、李順は机上の書簡を、とんとん、と、整え。


「お疲れ様でした、陛下。本日の政務は、これでお終いです_______が。」


思い出したように、続ける。


「本日、王宮の回廊にて、高官数名の立ち話が『偶然』耳に入ってまいりまして。」


「・・・ふーん。どんなの?」


興味がなさそうな黎翔の横顔を見つめ、李順は軽く息を吐き。


「・・・・『お妃様』への侮辱の言葉と・・・陛下への不満、と言ったところでしょうか。」


黎翔の表情が険しくなるのを、見届ける。


「__________妃への、侮辱、だと?」


「・・・・そう仰ると思いましたよ・・・」


李順はこの先の展開を予想し、口を開き。


「陛下。この件は、私にお任せ頂けますか?________いつも通りに、処理いたしますので。・・・陛下は、早く後宮へ渡らねば。夕鈴殿がお待ちですよ?」


先手を打って、有無を言わさぬ笑顔で、主を見つめた。


しばらく無言で側近を見詰めていた、黎翔は。


「・・・・・では、いつも通りにせよ。」


少し不満げに言い置いて、執務室を後にした。











王宮内に賜った自室で、李順は高官たちの顔ぶれを思い出す。

いずれも、叩けば埃が出そうな者たちばかり。


「ほんっとうに・・・・人をこき下ろす暇があったら、もっとマシな仕事が出来るでしょうに・・・」


李順はさも嫌そうに呟き、立ち上がり。


___________さて、と。『回収』に向いますか。


『いつも通り』、黒尽くめの部下を従え。


隠し門から、王宮を抜け出した。





一刻後。

王宮の地下に誂えられた、「特別室」に、あったのは。


「なにをする!縄を解け!!」

「無礼者っ!!」

「何者だ?!わ、私を誰だと・・・!!」


見苦しく騒ぎ立てる、高官たちの姿と。

最小限に抑えられた灯火のもと、いつも通り、微笑を湛えて彼らを見下ろす、李順の姿。


そして。

すっ、と、前に進み出た李順に、高官たちは口を噤む。


「・・・・あなた方には、色々とお聞きしたい事がございますが・・・」


李順から、ふっ、と、表情が抜け落ち。


「・・・・一言、言わねばなりません。」


一段低い声音に、変る。


「っ・・・・・!」


囚人達は、息を呑み。


ここが『どこ』かを、悟る。


彼らの表情を、満足気に見やった李順は。


「・・・・・お妃様に対する侮辱・・・・それは、取りも直さず、私への侮蔑と受け取ります。」


静かに、告げる。


「あなた方は、運が宜しい。陛下が『いつも通り』私に預けて下さらねば・・・・今頃は_________。」


橙色の淡い灯りに照らされ、闇に浮き上がるのは。

怜悧で美しい、狼の守人。


その顔に、微笑が戻るのを、囚人達が確認する頃には。

彼らにはもう、抵抗する気力すら、残っていなかった。








翌日。

後宮、立ち入り禁止区域。


「違います、もう一度。」

「はいっ!」

「・・・・もう一度!」

「はいっ!!!」



「なぁ、じいちゃん。今日の李順さん、気合入ってんなー。」

「そうじゃのう・・・・。まあ、眼鏡小僧が投げ出さずに面倒を見てるだけ、良いじゃろ。」

「なにが『良い』の?」

「あやつは無駄が嫌いじゃからの。見込みがなければ、教えもせんじゃろ。」

「・・・お妃ちゃんも、とんでもない人に見込まれちゃったねー。」

「・・・・・・」


張元は、少し楽しそうな李順の背を見つめ、笑みを深めた。
2013_06
28
(Fri)10:35

添い寝

【設定・未来・お子様あり】
【オリキャラでます。芙蓉・玉華(名前だけ)】




《添い寝》




「清、明、桜花。」


「「「はい。」」」


「今日こそは、お母様は、眠らずにお父様をお待ちします。」


「「「・・・・はい。」」」


「だから、お願い。」


「・・・・・・・・なんでしょうか。」


三者を代表して、清翔が不機嫌そうに返事をした。


「今日は、添い寝なしで、いいかしら?!」


「「「ええええ!!!」」」


_________国王一家の居間に、不満げな叫び声が響き渡った。









ここのところ、十日ばかり。

夕鈴は、子ども達と共に寝入ってしまう日々を送っていた。

黎翔が後宮に戻る時間が深夜だ、ということもある。

日中は、正妃の務めと子ども達の世話で忙しい、ということも、ある。

しっかり寝まねば、身体が持たない、ということも、ある。


_________だが。


寂しい。


そう、思う。



自分だけに見せてくれる、柔らかい微笑。

広い胸。

優しい声。


もう十日も、会っていない。





「・・・・ね?お願い。」


少し寂しそうな母の顔に気付いた、明翔は。


「・・・・はい!わかりました!」


殊更に明るく答え。

仏頂面の清翔と、頬を膨らます桜花の手をとり、寝室へと向った。


「そうだ、母上!芙蓉に絵巻物を読んでもらってもいいですか?」


ぱっと顔を輝かせ、ウキウキと言う清翔に、夕鈴は、優しく笑み。


「ふふ。・・・玉華ちゃんも、一緒に、ね?」


傍らに立つ、芙蓉と目を合わせ、悪戯っぽく、答える。


「おうかと!!お姉ちゃんは、おうかとねんねするの!!!」


一気に機嫌が良くなった清翔につられるように、桜花もはしゃぎだした。


「・・・・・ちょっとだけなら、貸してあげる・・・・」


不承不承、と言った様子の清翔。


「・・・・・兄上、心狭い・・・・」


ため息をつく、明翔。


そんな兄弟を微笑ましい思いで見守っていた、芙蓉は。


「皇子様方、私は玉華を連れてまいりますわね?」


李順の自室にいる玉華を迎えに行くため、退室の礼をとる。

が。


「僕が!僕が迎えに行く!!」


と、清翔。


「「ずるい!!!僕も!私も!!」」


明翔と、桜花が続く。


わいわいと、賑やかに。

三人の子ども達は、それはそれは嬉しそうに、芙蓉を追いかけた。












___________今日も、いない、かな。



黎翔は、誰もいない寝台を想像して、思わず立ち止まる。


もう、十日。十日も、起きている夕鈴に会ってない。

子ども達と共に眠っている夕鈴しか、見ていない。

三人の子に囲まれて、幸せそうに眠っている夕鈴は、本当に綺麗だけど。

母の温もりを感じながら眠る子ども達は、この上なく可愛らしい寝顔を見せてくれるけど。



寂しい。


そう、思う。



「・・・・・ゆうりん・・・・・」


情けない声で、妻の名を呼び。

そうっと、寝室の扉を開けた黎翔が、見たものは。


_________にっこりと自分を迎える、愛しい妻。


「・・・おかえりなさい、陛下。」


鈴の鳴るような声が、耳に届き。

温かい花茶の香りと、夕鈴の香りが漂う。


____________幻?


予想外の光景に、呆然と立ち尽くす黎翔を、夕鈴は不思議そうに見つめ。


「・・・あの、陛下?大丈夫ですか?」


そっと、額に手を当てた。





「・・・大丈夫ですか?」


夕鈴の掌の感触が、する。

___________幻、じゃない。

刹那、自分の頬が熱くなるのを感じ。

黎翔は、片手で顔を覆う。


「・・・え?陛下?!ほんとに大丈夫ですか?!」


慌て始めた夕鈴を、むぎゅぅっ、と、抱き締め。


「・・・・・ちょっと、だいじょうぶじゃ、ない・・・・・」


温もりを、補充する。






「・・・・・・ちょっと、だいじょうぶじゃ、ない・・・・・」


甘えるように自分に縋り付く夫に、愛しさが込み上げ。

寂しかった時間を埋めるように、その広い胸に頬を寄せる。


「私も、大丈夫じゃ、なかった、です・・・・」


夕鈴は、安心したように、呟いた。






「大丈夫じゃ、なかった、です・・・・」


抱き締めた夕鈴からの、思いもよらない言葉に、驚いた僕に。

少し泣き笑いのような表情で、君が言う。


「・・・・・添い寝、して、下さいね?」


__________なに、これ。

やっぱり、幻?


黎翔は、思い切り、自分の頬を抓った。
2013_06
26
(Wed)16:19

慈雨・続

【設定・臨時花嫁】



《慈雨・続》



もし、『臨時花嫁』を雇おう、などと、思いつかなかったら。


僕は、君に会うことも無く。


見せかけだけの愛情を撒き散らす、数多の『妃』と。


笑顔の下に、刃を隠し。


睦言の裏に、本心を隠し。


それまでとなんら変りのない、殺伐とした日々を過ごしていた事だろう。


ただ、ひたすらに。


死ぬまで。



___________慈雨。


君が降らせる雨は、優しくて、温かくて。


凍りついた僕の心を、緩ませていく。










「・・・ほんとに、驚きました。」


射抜かれた右肩を労わりながら、そうっと衣を着せ掛けて。


夕鈴は、目を潤ませたまま、黎翔を見つめ。


「________矢、が。・・・矢が、陛下を貫いているように見えて・・・・」


ぎゅっ、と、唇を噛み締め、俯く。


「へ、陛下が、お倒れになって・・・・、ぴくりとも、動かなくて・・・・」


指先が白くなるほどに拳を握り締め、何かに耐えるように、夕鈴は言葉を紡ぐ。


「こ、このまま、陛下が目覚めなかったら、って。わ、私________」


「夕鈴・・・・・」


「っ、なんて!縁起でもないですよね!うん!失礼しました!」


何かを振り切るように、パッと顔を上げた夕鈴から、雫が舞い散り。


「陛下はお強いから大丈夫だ、って、李順さんも励まして下さったのに!」


「ゆう、り」


「命に関わる怪我ではない、って、安心していい、って、老師も仰ったのに!」


泣き笑いの夕鈴は、何かから逃れるように、しゃべり続ける。


「これくらいの怪我、なんでもないって。よ、よくある事だって、浩大も、い、言ってたのに。」


「________夕、鈴。」


「わ、わたしっ!取り乱してしまって、ご、ごめ_________っ!」


堪えきれなくなった黎翔の左手が、夕鈴を引き寄せ。


そのまま、胸に抱く。


「へ、へいっ!」


「黙ってて?夕鈴。」


慌てる夕鈴を片手で抱き締め、黎翔はそっと口を開いた。


「・・・・あのさ、夕鈴。」


「は、はい。」


「僕のこと、心配だった?」


「あ、当たり前じゃないですか!!」


怒ったように顔を上げ、黎翔を睨みつけた夕鈴は。


思ったより近くにあった紅い瞳に驚き、頬を染め。


_____________ち、近いっ!!


胸の鼓動が黎翔に伝わらぬよう、ぐいっと胸を押し返す。


が。


「・・・ダメ。」


片手で抱き寄せられているだけなのに、一向に緩む気配のない、優しい腕。


諦めた夕鈴は、ふふっ、と、笑い。


黎翔の胸に、頬を寄せる。



そして、黎翔も。


自分の腕の中で、少し嬉しそうに笑う、愛しい兎を見下ろしながら。


「・・・・君に出会えて、本当に、よかった・・・・」


ふふっ、と、笑みを零した。
2013_06
26
(Wed)11:33

慈雨

【設定・未来でも原作沿いでも可】
【陛下の過去捏造です】
【捏造の塊です】
【何がどうしてこうなったかとか、あまり考えないで下さると嬉しいです】




《慈雨》





_________母上、お空が泣いてるよ?



父が母のために誂えた、小さな庭園で。

いつものように遊んでいたら、急な雨。

驚いて四阿に逃げ込んだ、僕に。


_________ふふ。ほら、ごらんなさい?黎翔。

お花たちが、喜んでいるわよ。

美味しいお水をありがとう、って。

葉っぱ達も、嬉しそう。

気持ちいいよ、って。



優しい声で、母上がお話しをしてくれる。



__________ほんとうだ!お花さんたち、良かったね!


__________ええ、本当に。良かったわね。



しばらくして、雨が上がり。


日が差し込み、空が笑う。



__________泣いてくれて、ありがとう!



天に手を差し出した僕を、父上が、抱き上げ。


雨の最後の一粒が、僕の頬に落ちた。







「・・・・・・陛下!!陛下!!!!」


誰?


「老師っ!陛下が目を!!!」


・・・・『陛下』は、父上だ。


ああ、眠い。なんだか、とっても、眠い。

身体も重くて動かないし。

何か、考えなきゃいけないことがあったんだけど・・・


目が、閉じる。


「黎翔様っ!!!」


遠くで声がする。


誰?僕を、呼んでるの?


「起きてっ!!黎翔様!!!」


ぽつり、と、頬に雨が落ちてきたのを感じる。


「・・・・ま、た、あめ?」


今日のお空は、よく泣くなぁ・・・・・


さっきまで、よく晴れていたのに。

花も、綺麗に咲いて。


__________花。


そう、花、だ。


花を摘もうとしたんだ。私は。



一気に覚醒する。



花を摘もうとして、手を伸ばして。

刺客に気付き、小刀を放ち。

浩大を、呼んで・・・・・


そうだ、矢だ。

矢を受けて、倒れたのか。


___________私としたことが。鈍ったな。


ふぅ、とため息をつき、今度こそ、しっかりと目を開けた、僕に。


「陛下、陛下!!よかった、お目覚めに・・・・!」


雨が、降り注ぐ。

優しい雨が、降り注ぐ。


「・・・ないて、くれて、ありがとう・・・夕鈴。」






_________慈雨、というのよ?黎翔。


じ、う?


そう。優しい雨の事よ。


やさしい?


ふふ。そうよ。





懐かしい母の声が、甦る。


慈雨。


天からの恵みの雨。

荒んだ心を潤す、慈雨。


「・・・たまには、雨もいいね・・・・」


痛む肩を庇いながら、僕は、くすっ、と、笑った。
2013_06
25
(Tue)21:09

約束

先日観に行った映画の影響が抜け切らず。

どうしても、浩大が書きたかったんですー。





【設定・少し未来・恋人設定】
【ほとんど浩大しか出てきません】




《約束》




頼む。

浩大。

守ってくれ。



旅立つ直前の陛下と交わした、約束。



__________約束。



そう、これは『約束』。


『命令』じゃ、ない。


自然と笑む自分に、驚く。


あの人と、初めて交わした『約束』。


これを、破ったら。


「___________男が廃る、ってもんだよな!」


降り注ぐ矢から逃れつつ。


浩大は振り向きもせずに、小刀を後方へ放ち続けた。









陛下の留守を狙って急襲してきた、刺客たち。

どこの誰かは知らないけど。

陛下の『本物』になったお妃ちゃんが、もうすぐ立后するのを嗅ぎ付けたか。

鼻だけは聞く狸どもが、揃いも揃って邪魔しに来たか。


いずれにせよ。


『守ってくれ』


これだけは、譲れないね。


立ち入り禁止区域の奥深く。


後宮管理人の住まう、厳重に警備を張り巡らせた、部屋。


そこにいる、陛下の最愛を、守る。


今にも闇に飲まれそうなあの人の。

光を放つ、稀有な花。


俺みたいなやつが触れることすら叶わない、純白の花弁を持つ、花を。


「てめえらみたいな奴に、消されてたまるか、ってんだよ!!」


鞭を撓らせ、矢を叩き落し。

岩陰から、樹上を狙う。


________馬鹿が。数打ちゃ当たる、ってもんじゃねえんだよ。


仕込んでいた小刀を・・・・ざっと、十三本、取り出す。


________よし。頭数分、あるな。


今夜は、月夜。


陛下がいないと思って、気が大きくなったんだろうけどさ。


「・・・・・ばっかじゃねえの?お前らのご主人サマ。」


光る鏃を目印に、数を減らす。


あと、二人。


全員殺しちゃ、証拠が掴めない。


二人くらいが、適正。


仲間がどんな風に壊されていくか見物してりゃあ、喋り易くもなるってもんだろ?




___________さて、と。



ザリッ、と、玉砂利を踏みしめて、月光に身を晒す。



____________出て来いよ。



薄青い月の光を纏った浩大の、影が、広がる。



「おい。遊ぼうぜ、『お客様』。歓迎するよ?」



笑みを深めた隠密の、影が、濃くなった。









翌日。


「よっ!お帰り、へーか!」


・・・っと、やべ。


「っ!浩大!」


「・・・・・・お前・・・・・」


「あー・・・スイマセンでした。邪魔するつもりはなかったんですっ!!!」


ジロリと睨む陛下の目が、マジで怖え。


くわばらくわばら。


窓枠に足を掛け、いつも通りに屋根に上がろうとした俺に、陛下が何かを投げた。


「________っ、と!なんだよ、へー・・・・」


手の中のそれを見て、一瞬固まる。


それは。


御印。


それを見せれば、大臣をも従わせ、軍部をも動かせる、『王命を賜った者』の印。


「ちょ、ちょっと待て!俺なんかにこんなの持たせたら・・・・・っ!」


柄にもなく、本気で焦る。

冷や汗が出た。


「___________うるさい。持ってろ。」


仏頂面で、陛下が呟く。


「・・・・それは、『命令』か?陛下。」


手の中の印を見つめながら、問う。


「・・・・いや、違うな。」


ふっ、と、陛下が笑う気配がした。


「・・・『約束』を守ってもらわねばならないからな。______その『証』だとでも思えば良いだろう?」


お妃ちゃんを抱き上げ、真っ赤な頬に口付けを落とし。


朗らかな顔で、陛下が俺を見つめる。



・・・・ああ。


良かったな、陛下。


そんな顔、出来るようになったのか。




浩大は、にっこりと笑みを返し。


チャリン、と、鈴のような音を奏でる『証』を再度、見つめ。



「__________了解!!」



窓の外へ、飛び出していった。
2013_06
25
(Tue)10:23

熱・李順さんVer.

【LaLa8月号ネタバレSS「熱」・李順さんVer.】
【捏造がいっぱいです】
【ほぼ李順さんしか出てまいりません】
【趣味に走っております】



《熱・李順さんVer.》



____________そう。


あの頃と、なんら、変わりなく。

あの方は、いつもいつも。

周囲を翻弄し。

思いつきで行動して。

あっという間に、場を治める。


誰も、信じず。

誰も、頼らず。


______________全ての責を、自分だけが、負うように。










さらり、と衣擦れの音がする。


・・・・女官ですかね。


李順は手にしていた杯を置き、廊下に視線を投げる。


「・・・あ・・・・申し訳、ございません。」


そうっと李順の様子を伺っていた女官は、少し頬を染め、はにかみながら微笑んだ。


「何か、ご用ですか?」


にっこりと笑う李順に、女官の頬がさらに染まり。


・・・・夕鈴殿のようですね。


そう思った李順は、自分が少し酔っていることを自覚する。


「いえ、あの・・・御酒の替えをお持ちいたしました・・・」


ああ、そういえば。

克右殿が頼んでいましたね。

酒が届く前に、部下に呼び出されて軍部へ戻ってしまわれましたが。


「ありがとうございます。」


仕方ない、浩大にでもあげましょうか。

喜びそうです。


女官は緊張した様子で卓に近づき、そっと酒を置き。

空になった李順の杯に、気付いた。


「あの、宜しければ。」


遠慮がちに酌を申し出る女官の手は、少し震えていて。


「・・・・・」


さすがの李順も、断る言葉をなくす。


「ありがとうございます。では、一つだけ。」


女官は、優美に微笑み、酌をした。









・・・・・ふう。


誰もいなくなった自室で、李順は先ほどの女官を思い返す。


・・・・そんなに、恐ろしいですかね。私。


たかが酌一つであそこまで怯えられると、正直、傷つきますよ・・・


カタカタと震えていた、真っ白い手を思い出す。


・・・ちゃんと、微笑んで対応したんですがね。


何が悪かったのでしょうか。



「まぁ、いいですけどね。」


軽く息を吐き、長い髪を無造作にかき寄せ、寝台に横たわり。


「さて。明日からは夕鈴殿の教育内容をレベルアップしませんとね。」


備えあれば憂い無し。


いずれ来るかも知れぬ、その時の為に。


あの、無垢な花が、陛下の横に立てるように。


「___________あの方を思いとどまらせるのは、不可能ですからね・・・」


ふふふ、と笑い。


李順は、ゆっくりと目を閉じた。
2013_06
24
(Mon)16:42

【LaLa8月号ネタバレ】
【設定・原作沿い】
【捏造がいっぱいです】




《熱》




試すように見下ろす紅い瞳は、とても嬉しげで。

愛しむように触れる唇は、焼けるように熱くて。


___________なに、これ。


混乱した私の耳に、届いた言葉。


「____________妃に溺れる愚王にでもなりそうだ。」


その言葉に、すうっ、と頭が冷えていくのを感じた。







「今の演技はダメです_________やり直しを要求します!!」


君からの思いがけない言葉に、僕の中の狼が小犬に変る。


「やっぱり、夕鈴は、夕鈴なのが、いいなぁ。」


どさくさに紛れて、君の肩に頬を寄せ。

威勢のいい兎の香りに、溺れる。





「・・・・一緒に寝てくれるの?」


甘える小犬陛下の可愛らしい仕草に、一瞬返事が遅れる。


「なわけないでしょう?!別室で休みますよっ!」


ああ、今、私の顔、きっと真っ赤になってる。

耳まで熱いもの。


すりすりと甘えるように頬を寄せる小犬に、少し気が緩む。


__________伝わら、ないでね?



大好き。



想いを込めて、どさくさに紛れてあなたの背に腕を回し。


ぎゅうっ、と、抱き締めた。








「・・・・陛下・・・・」


「・・・夕鈴?」


真っ赤に染まった兎は、これ以上なく美味しそうで。

黎翔は、喉が鳴りそうになるのを、押さえ込み。


「・・・・どうした?」


そうっと、妃の頬を撫でた。


指先から伝わる夕鈴の温度は、とても熱くて。

今にも泣き出しそうなほどに潤んだ瞳が、僕を煽る。


「__________君がいやがることなら、何もしない」


手を、伸ばす。

拒絶されるのを、承知で。

___________触れたい。

自分の欲望に、負ける。







「_____________君がいやがるなら、何もしない」


陛下は、ずるい。


壊れ物に触れるように、陛下の手が私の肌を這う。

そうっと、そうっと。

優しく、強く。

男の人の、大きな手。


肩から衣が滑り落ち、ぴくん、と身体が跳ねた。


「___________いや、か?」


耳元に口付けながら、囁かれ。


熱が、上がる。

陛下の香りが、する。


「・・・陛下にされて、いやなことなんて・・・・なに、も・・・・」


唇から、『想い』が、零れ落ちた。






「・・・いやなことなんて・・・・・なに、も・・・・」


ああ、君は、ほんとうに・・・


『______笑っちゃうくらい、大事にしてんのな。』


浩大の言葉が頭をよぎる。



ああ、そうだ。

自分でも笑えるくらい、大事だ。



枕もとの明かりを吹き消し、帳を下ろす。




ねえ、夕鈴。


大事に、するから。

誰よりも、何よりも。



「愛してる」



心からの言葉を。



__________君に。
2013_06
23
(Sun)21:37

狼の茶菓子

【設定・原作沿い・臨時花嫁】



《狼のお茶菓子》




色とりどりの、砂糖菓子。

綺麗な形の、お煎餅。

干した果実の砂糖がけ。

柔らかそうなお饅頭。


「うーん・・・・陛下のお好みが、わからない・・・」


_________お茶を淹れながら、眉間に皴を寄せ。


夕鈴は、悩んでいた。










陛下がお渡りになると、いつも、夕鈴はお茶を淹れる。

それは、季節に合わせた花茶だったり、緑茶だったり。

そして、それに合わせたお茶菓子の仕度をする。


__________お仕事でお疲れの陛下が少しでも寛げるように。


夕鈴の、ささやかな努力。


でも。


臨時花嫁になってもう随分とたつのに、いまだに陛下のお好みが分からない。

砂糖菓子も、お煎餅の類も、果物の類も、お饅頭も。

黎翔は一向に手をつけず。

夕鈴が淹れた茶だけを美味しそうに口に運ぶ。


そして、連戦連敗な、夕鈴は。

今日こそは!の思いを胸に、茶菓子の群れとにらめっこ、なのであった。





「夕鈴?どうしたの?」

「っ!は、はい!」


茶菓子に集中しすぎて、黎翔のことを忘れていた夕鈴は、ようやく我に返り。


「あ、ごめんなさい!お茶菓子を選ぶのに悩んじゃって・・・・」


えへへ、と頬を少しだけ染めて笑う。


「たくさんあって、選べない?」


黎翔は嬉しそうに夕鈴を見つめ。


「・・・僕、好き嫌いないから、夕鈴が食べたいのを選んでね!」


にっこりと、微笑む。


・・・・私が食べても意味がないんです、陛下。


肩を落とした、夕鈴は。


「それじゃ、だめなんですよ・・・・」


はぁ、と、深くため息をついた。









_______________かわいいなぁ。


色とりどりの茶菓子を前に、真剣な顔で悩む夕鈴に、頬が緩む。


・・・女の子は、甘いものが好き、なんだよね、確か。


今日はどれを食べようか悩んでるのかな。

いっぱい食べてくれていいのに。

夕鈴が気に入ったお菓子があったなら、教えてもらおうかな。

たくさん取り寄せて、政務室にも執務室にも常備して、夕鈴がもっともっとずーっと、僕と過ごしたくなるように・・・・



_________なんて、思っていたら。



「それじゃ、だめなんですよ・・・・」


意外な呟きが、聞こえた。


「ねえ、夕鈴?どうして『だめ』なの?」


夕鈴が怯えないよう、なるべく柔らかい小犬で問いかける。


「う・・・・・えっと。」


ああ、もじもじと躊躇う君も、可愛い。


「うん、なあに?」


頬が緩んでいるのが、自分でもよく分かる。


「あ、あのですね・・・・・陛下は、いつもお仕事ぎっちりみっちりで・・・・」


え?僕?


「ほ、ほら!机仕事が苦手だって、以前仰っていらしたじゃないですか!」


「う、うん。」


「だから!甘いものを召し上がって頂いたら、少しでもお疲れが取れるかな、なんて・・・」


「・・・・・」



参った。

僕のため、か。



黙り込んでしまった僕に、夕鈴が慌てだす。


「ご、ごめんなさい!ご迷惑でしたよね!すぐ片付け_______」


パタパタと、茶菓子を仕舞いだす君の頬は、これ以上なく真っ赤になっていて。

込み上げる嬉しさが、僕を支配する。


「____________夕鈴?」


立ち上がり、そっと手を掴み。

唇を寄せ。


「____________あのさ、夕鈴。」


「は、はいっ!」


これ以上なく赤くなった夕鈴の頬を、そうっと撫でる。


そして。


「私好みの茶菓子を、準備してくれるなら__________」


「っ!」


何かを察知して後退る夕鈴の腰を引き寄せ。


「___________『これ』が、いいな・・・」


赤く色づいた、ぷにっとした頬に、そっと齧り付く。


兎が知りたがっていた、狼好みの茶菓子。


僕を癒してくれる、極上の甘味。


齧り付いて、ぺろりと舐めて。


「・・・うん、やっぱり夕鈴が一番、甘い。」


耳朶を食みながら、考える。

一日の疲れを癒す、甘い甘い、菓子。




・・・ねえ、夕鈴。


食べても、いい?
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。