2000_05
24
(Wed)23:57

【設定・臨時花嫁】



《狩》




「陛下がお好きなスポーツ、ってなんですか?」

「え?スポーツ?」

「はい、楽しみながら運動する娯楽の事です。」

「ああ・・・・なるほど。」

「私は、掃除がスポーツですね!ぎゅぎゅっと力を込めて雑巾を絞ったり、しつこい汚れを何回も擦って落としたときとか、何ともいえない良い気分になるんですよ!」

「ふーん・・・」

「陛下は、どんなスポーツがお好きですか?」

「えーと・・・蹴鞠とか、遠駆けとか・・・あ!そうそう、狩が好きだな!」

「狩?何を狩るんですか?」



____________自業自得。



にっこりと、いい笑顔で黎翔は仮の妻を見る。


「もちろん・・・・・兎。」

「ええ?!あんなに可愛い生き物を?!」

「知らないの?夕鈴。兎の毛皮って艶やかで温かいんだよ?_______肉は、極上の美味。」

「・・・兎のお肉が美味しいとは聞いたことあるんですけど・・・・どうしても、お料理する気になれなくて・・・」

「うん、そうだよね。わかるよ。」

「え?陛下は兎を召し上がらないんですか?」

「ううん。食べるよ。・・・・でも、夕鈴の気持ちは、分かる。」

「なんで?」

「________狼同士の共食いは、嫌なものだったからな。」

「とも、ぐい?」


きょとんとする夕鈴に、黎翔はいい笑顔のまま、迫る。


「___________だが。」

「陛下・・・顔が、近っ!」

「狼にとっては・・・・極上の馳走だ。」



兎の小さな唇を、狼の牙が襲う。

受け止めきれない、荒々しい、口を塞ぐほどの・・・・・狼の紅い舌。

「んぅっ・・・・っ、ぅふっ・・・・っ、ふ、ぁっ・・・・・は、あ・・・っ・・・・!!」

息すら、出来ず。

上顎から、歯列までを、ぞろり、と舐められ。

根元から舌をからめ取られ、吸われ。

ふわふわの、柔らかい毛皮は、狼に食まれ。

可愛らしい膨らみが、狼の思うがままに形を変える。


「_________ああ、極上の味だ・・・・」


ちゅ、と音を立てて、狼が兎の肌を吸い上げる。


「あっ・・・あぁ・・・・・なに、するの・・・?へい、か」


「___________兎狩り。スポーツ、だよ?」


爪先に舌を這わせ、ずるり、と一気に膝まで舐め上げる。

それと同時に、指は夕鈴の花を犯す。


「________!!!」


目を見開き、兎が断末魔の悲鳴を上げ。


「・・・・・大人しく、狩られるか?」


狼が、兎に最後のチャンスを与えた。


哀しげな、切なげな、眼差しと共に。




震える兎は、しばし、躊躇い。


やがて。


薄茶の毛皮を震わせて__________狼に、手を伸ばす。


「・・・・私、なんにも、持ってませんよ?」

「・・・・『君』が『君』であることより、大切なものなど、あるのか?」



不思議そうに、狼の瞳が兎を見つめる。


「_______私は、陛下、を・・・・・愛して、ます。」


にっこりと、兎は力強く、笑う。


「その気持ちだけで、良いのなら・・・・・・私の全てを、貴方に。」



___________いつか、貴方が私以外を愛する日が、来たとしても。


「____________貴方の、為だけに。」


全てを。







にっこりと、だが、どこか哀しげに夕鈴は、微笑む。

己が分を弁え過ぎる、愛しい君を。

_________説得するより、言い負かす、より。


僕自身が、示そう。


君が思うより、ずっと前から。

ずっと、ずっと。

あの日、君のバイトを延長させた・・・・そう、あの日、から。


「_____________愛している。」


それだけを、胸に。


「君だけが、『后』だ。」


決めていたんだ。


ずっと、ずっと・・・・・前から。




側にいたい。

側にいて欲しい。



ただ、それだけでいい。


そう。


それだけで、いいんだ。





狼に狩られたのは、兎。

兎に搦めとられたのは、狼。



幸せそうに____________「狩」を楽しむ。
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2000_05
24
(Wed)17:51

手合わせ・おまけ

《手合わせ・おまけ》




汗ばんだ肌から、芳しい香りが漂う。

精悍な、男らしい・・・・どこか安らぐ香り。


「うっ・・・・くぅっ・・・ゆ、う・・・・っ!」

自分のしている事が、信じられない。

自分の意思とは関係なく、手が、足が、身体が、動く。


乱れる自分を射抜く、紅い瞳。

薄い唇から漏れる、甘い呻き声。


「・・・いやぁ・・・へい・・・・と、まらな・・・・っ!」


身体が勝手に跳ねる。

腰が、揺れる。

手が、熱い肌をまさぐり。

足は、逞しい身体を搦めとる。


「っ!ゆう、りんっ!・・・・そんなに・・・・うごく・・・とっ!!」

「ああ、あっ!!!いやぁっ!!あ、きゃぁっ!」

がつん、と下から突き上げられ、悲鳴とともに腰が跳る。

「・・・にげる、なっ!」

跳ね上がる腰を掴まれる。

逃げ場を失い、深く、突き上げられ。

夕鈴の視界が真っ白に霞む。

「いやぁぁぁっ!!・・・・ぅ・・・くぅ・・・・あっ!!」

がくがくと腰が、脚が痙攣する。

息がつまり、身体が強張る。

「・・・・ご、めんな、さ・・・わたし・・・・」






潤んだ目で、夕鈴が自分を見つめる。

「・・・・ご、めんな、さ・・・わたし・・・」

自分のしたことを恥じているのか、夕鈴は泣きそうな顔だ。

「________何を謝るの?・・・夕鈴が、僕のでいってくれて、嬉しい・・・」

「っ!」

カアッと、夕鈴の頬が染まる。

・・・・可愛いな。


でも。


まだ、夜は長い。



僕の上で羞恥に暮れる君。

恥ずかしがっても、今日は逃げない。

・・・・・逃がす気も、ないがな。



「・・・では、もう、よいか?」

「え?_______っ!!あっ!な、に?!いっ!あっ!」

「・・・・遠慮なく、頂くとしよう・・・・」


甘くて柔らかい、兎。

僕の疲れを癒すには、やっぱり君が一番だよ、夕鈴・・・・
2000_05
20
(Sat)17:26

狼の迷い・おまけ

《狼の迷い・おまけ》



浩大の着物を着せ掛けられ、目を赤くした、夕鈴。

少し乱れた、兎のような髪型。

「____________帰ろう。」

浩大の上着を脱がせ、自分の上着を羽織らせ。

黎翔は、夕鈴を抱え上げて、馬上の人となった。




「老師、妃の湯殿の仕度を急げ。」

強張った表情と、硬い声。

今の黎翔に逆らえる者は、誰一人として、おらず。

黎翔の帰りを待ち侘びていた李順も。

そばに控える、浩大も。

事情を知らぬ、老師も。


_________無言で、跪く。


狼の腕の中で微かに震える兎を、痛ましげに見つめながら。





黎翔は、夕鈴を抱きかかえたまま、湯殿に入る。

「・・・へい、か。」

びくっと、腕の中で夕鈴が身を竦ませるが、黎翔の動きは止まらず。

夕鈴を立たせ、上着を脱がせ。

しゅっ、と帯を解き、衣を落とす。





手早く、衣を脱がされる。

恥ずかしい、はずなのに。

黎翔の真剣な表情と、真摯な紅い瞳に、なにも言えなくなる。

するり、と全てを取り除かれ。

確かめるように、撫で上げられる。


「__________傷は、ないな。」

髪を掻き揚げられ、項から背まで探られ。

耳朶から首筋まで、さわり、となぞられる。

途端、先ほどの克右の唇と舌の感触が思い出され。

「だ、だめっ!汚いから!」

________我に返った夕鈴は、叫んだ。





「汚いから!」

その声に、手を止めた。

「・・・・何を、された?」

自分の声の低さに、身震いする。

「・・・・あ・・・・・」

夕鈴の顔が、青ざめ、逸らされ。

「な・・・なにも、」

「嘘をつくな」

自分の冷たい声が、聞こえる。

「・・・・言え、ませ、ん。」

涙が一粒、夕鈴の頬を伝い。

_______兎の目に、力が宿る。


「克右、さんはっ!!私を心配、してくれたんです!陛下の大切な臣下、でしょう?!だ、だからっ!私は!だいじょう、ぶ、なっ・・・・っ!」




夕鈴の言葉を最後まで聞かず、黎翔は兎を抱きしめた。

包むように、守るように。

・・・・癒す、ように。



「・・・・我慢しなくて、いい。」

「っ!」

「大丈夫、君が望むなら、克右を罪に問う事は、しないから。」

「へい・・・・」

「・・・・もう、いいんだ。我慢、しないで、いいから。」

「か・・・・っ」




涙が、止まらない。

我慢しなくて、いいの?

大丈夫、なの?

この胸で、泣いて、いいの?・・・いい、の?



________温かい。



夕鈴は、逞しい胸に顔を埋め。

黎翔は、小さな身体を抱きしめた。



真っ白な、夕鈴。

心も身体も、真っ白で、綺麗な夕鈴。

温かい湯に浸かり、ほんのりと桜色に染まる君の身体を。

僕は、優しくなぞる。

耳朶を食み、肩を、背を、柔らかい双丘を、弾力のある臀部を、全てを。

僕だけの君を、撫で上げ、味わう。

僕の瞳と同じ、紅い華を咲かせながら。



ぴくん、と、自分の意思とは関係なしに、身体が跳ねる。

「________んっ・・・・は、ぁっう・・・あ、あ・・・・・あ」

聞いた事もないような、自分の声が聞こえる。

胸の頂を食まれ、転がされ。

温かくてぬるりとしたものが、身体中を、探る。


「・・・・いや、か?」

切なげな、貴方の囁き。

________いやな、わけ、ない。

ふるふると、首を振ると、安堵のため息が聞こえた。


力の入らない身体は、自分のものじゃないようで。

されるがまま、探られるがまま。

自分でも触った事なんてない、身体の中を探られて。

「あ!ぁ!い、いやぁっ!あ、きゃぁっ!ん、んんん!!」

自分の意思とは無関係に、声が出てしまう。

「・・・・陛下、へいか・・・・」



_________大好き。



知らなかった。


言葉にして伝えるだけじゃなくて。


身体で、温もりで、語る事ができるなんて。


「・・・・夕鈴・・・・夕鈴・・・・」

あやすような、縋るような、貴方の優しい声に、私は何も分からなくなって。

施される、最上の痛みと、最高の幸せに。

ただ、酔いしれた。
2000_05
14
(Sun)16:03

怠慢・おまけ

《怠慢・おまけ》



腕の中の夕鈴から伝わる、乱れた吐息。

普段よりずっと熱い体温。

眦から伝う、涙。

「・・・け・・・・て・・・・へい・・・」

潤んだ瞳で、君が見上げる。



寝台に寝かせるだけ、それだけ、だったのに。


__________ごめんね・・・・少しだけ、だから。

そっと頬に口付け、涙を拭う。

顔を離すと、小さく開かれた唇の中に、愛らしい舌が見えた。

・・・蕩けるように甘いのだろうな。

浮かんだ想像が、自分を苦しめる。

ちろちろと、赤い花弁が口中を彷徨う様から目が離せず。

必死に自制し、耳を寄せるに留めた。


「・・・・へいか・・・・たすけ、て・・・」


ああ、聞かなければ、我慢できたのに_______




___________後悔先に立たず。


甘くて蕩ける、吐息と花弁。

甘露を堪能した狼は、その紅い瞳に満足気な笑みを浮かべ。


____________やっぱり、名前は書いておかないと。


妙な言い訳をしながら、白い首筋に嬉々として顔を埋めた。






「_________あ、あ・・・・ん、やぁ・・・・ひ、あんっ!」


襟をくつろげ、のけぞる首筋を舐め上げる。

片手で帯を解き、裾を捲り上げ、手を這わす。


__________熱い。

「・・・・薬に、媚薬も入っていたか。」

潤い、蕩ける、熱い花が感じられ、黎翔は眉をひそめる。

「あ、やぁっ!や、いや、いやぁっ!!」

指先が掠めるだけで、びくんっ、と、夕鈴の身体が跳ねる。

薬で無理に与えられる快感に、夕鈴の目から涙がこぼれ。

「いやぁ・・・たすけ・・・へい・・・・・・かぁっ!」

混濁した意識のなか、助けを求める。

「・・・・ごめんね。辛いよね。」

唇を塞ぎ、甘くて愛らしい舌を食み。

袷から手を差し入れて、柔らかい乳房を揉みしだき。

「________っ!ぅっ・・・・!・・・!!」

全ての吐息を飲み込むように、口付けて、導く。

ちゅぷ、ちゅく。

指の速度を上げ、ひときわ強く身体が撓るところを見つけ出し。

「________あ、ぁ、は、ぁっ!いやぁっ!!」

息継ぎのたびに上がる嬌声を、楽しむ。

「へいか・・・へい・・・か・・・・」

「_______夕鈴・・・・大丈夫、僕だよ・・・安心、して?」

掠れた声で、兎の耳に囁きかけて。

「・・・すぐに、楽にしてあげるから・・・・」

優しい言葉とは裏腹な、妖しく光る紅い瞳が、嬉しげに細められる。

「・・・大人しく、してね・・・?」

________薄い唇をぺろりと舐め、狼は捕食を始めた。
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10
(Wed)21:32

会心・続 おまけ

《会心・続 おまけ》



「__________なあ、后よ?」

陛下の嬉しそうな声が降り注ぐ。

「___________夜は長い・・・まずは・・・・」


きゅぽん、と封が切られる音がして、夕鈴は驚いて振り返った。

そこには、にっこりと笑う陛下と、香油にしては大きめの透明な瓶に入った黄金色の液体。

「・・・・この香り・・・なんだか覚えが・・・・」

記憶を手繰る夕鈴の背に、とろりとした冷たい感触が広がる。

「ひゃぁっ!」

驚き飛び跳ねる夕鈴を宥めるように、黎翔の大きな手が『香油』を塗り広げ。

「・・・ごめんね、冷たかった?」

小犬の声が、兎の警戒心を鈍らせる。

「だ、だいじょうぶ、です・・・」

紅い瞳に喜色が浮かび、さらに『香油』が落とされる。

「へ、陛下、そんなに使ったら、べとべとになりますよ?!」

背から滴り落ちそうなほどのとろみに、夕鈴は焦った。

「・・・・そうか、塗りすぎたか?・・・・では。」

楽しげな黎翔の言葉が終わると同時に、夕鈴の背に温かくてしっかりとした夫の胸肌が押し当てられた。

「っ!」

ぴったりと張り付いた、夫の胸。

その感触に安堵感を覚えながらも、羞恥心が勝る。

「あ、あのっ!」

「・・・塗りすぎた香油を、分けてもらおうか。」

ぬる、と背をすべる、弾力のある夫の胸肌。

ぺちゃ、ぴちゃ、と、音が響く。

擦れたところから、えもいわれぬ痺れが広がり。

「・・・・なかなかの出来だな・・・」

黎翔は満足げに呟いた。




身を起こし、さらに『香油』をたらし。

背から零れ落ちるそれを、舐め上げる。

「__________っん・・・あ、やぁっ・・・・ひぅっ・・・んぁ・・・」

夕鈴の唇から零れ落ちるのは、声にならない、喘ぎ。

艶やかなそれを楽しむように、黎翔の手は動き。

真っ白い桃のような臀部を揉み上げ、口付け、探り。

蕩けるほど甘い媚薬を、口移しに飲ませる。

「あ・・・・ひぁ・・・・い、いやぁ・・・・」

冷たくてとろりとした液体が、夕鈴を壊す。

「・・・夕鈴・・・」

「ああ・・・・れいしょ、さま・・・ぁ・・・・・ん・・・・・」

思考は霞み、夫に酔う。


「・・・ここにも・・・・あそこにも・・・・ほら・・・ほしい、でしょ?」

ぬちゃ。ぴちゃ。

指が、舌が、すべてが、夕鈴に入り込み。

「__________っ!これほど、とは・・・・なっ!」

静かな湯殿に響くのは、満足げな王の囁きと、正妃の嬌声。

香るのは、高貴で妖艶な、だが甘くて清やかな・・・正妃の香り。


「________君が使えば、こうも芳しく香るのか・・・・」



老師の『香油』。

門外不出のその小瓶は。

・・・・切らすことなく、供給され続けたらしい。
2000_05
08
(Mon)20:21

手・続

《手・続》




「_________ゆう、りん。」

狼とも小犬ともつかぬ声が頭上から降り注ぐ。

「・・・・は、はい・・・」

遠巻きに見守る侍女達の視線が痛いほど感じられ、夕鈴の身体が強張る。

「・・・誰にも、見せたくないんだ。」

「・・・は?」

「僕の、なのに。」

「え?」

「どうして、みんなに見せるの?」

「え?な、なに、を?」

「・・・・・・・・・・・もう、隠してしまおうか。」

「?!」

「私しか知らぬ場所に。誰にも見せず、私だけしか、感じられぬよう・・・」


強くなる抱擁と、不穏な気配。


「君は私のもの、なのに。」


黎翔はおもむろに夕鈴を抱き上げると、自室へ向った。


「なにをっ!!」

慌てる夕鈴の唇を黎翔は自分のそれで塞ぐ。

「_________んっ!」

目を閉じることも、抵抗することも、夕鈴は忘れ。


入り込んでくる、ぬるりとした、熱い、何か知らないもの。

上顎から歯列、頬の裏側から、舌の付け根。裏。表。

初めて味わう他人の舌に、全てを探られ、飲み込まれる。

「ん、・・・・・・・んんんっ・・・・・・っ!」

頭を振って逃げようとしても、後頭部を大きな手が押さえ込んで逃げられず。

せめて息を吸おうとしても、ただ悪戯に深く探られるだけ。

嚥下できない露が顎を伝い。

霞む視界と、痺れる思考、力の抜けた、身体。

くったりとした妃を満足げに抱え、王は向かう。

_________何人たりとも立ち入ることを許されぬ、狼の寝床へ。







「___________下がれ。誰も近づけさせぬよう。」


有無を言わせぬ威圧感と共に、命じ。

黎翔は帳をくぐり、寝台に夕鈴を寝かせた。

荒い息と、染まる頬と、乱れた髪。

ぼうっと潤んだ瞳と、少し開いた唇が、黎翔の自制心を壊す。



「__________いや、か?」

親指で愛らしい唇をなぞりながら、問う。




「__________いや、か?」

そう問いかけた、陛下の瞳は、とても切ない色で。

私の中の、何かが壊れた。



「へいか、に、されて・・・・いやなことなんて、なにも_____」

回らぬ舌で、必死に紡がれた、夕鈴の言葉。

その言葉に、黎翔の顔に喜色が浮かび。



「_________よい覚悟だ・・・」


甘くて痺れる低音が、夕鈴の耳に注ぎ込まれ。

早朝、着付けたばかりの衣装が剥ぎ取られていく。



「_______っ!・・・・あ、まっ・・・・て!へい、か!!」

性急にまさぐられる、乳房。

薄い絹の肌着が、邪魔だ、とばかりに引き剥がされ。

薄紅の頂と、真っ白なふくらみが零れ落ちる。

「・・・美しいな。」

感嘆の声に、夕鈴の身体がびくんと跳ねる。

美しく笑んだ黎翔の口に、可愛らしい頂が含まれ、転がされ、甘く食まれ。

「あ、やぁっ・・・・んっ、んぁっ・・・・は、ぁ・・・・んっ・・・・うぁ・・・」

仰け反り、戸惑う夕鈴の口内に、黎翔の指が入り込み、くちゅくちゅと可愛らしい舌を撫で回す。

「あ・・・・・ぅあ・・・・・ん、んんっぅ・・・・」

声にならない嬌声と、乱れていく姿態。

半裸にされ、喉もとまで露で濡らし。

黎翔の指を舐めるように味わい、蕩けていく、夕鈴。



「_________君は、私のもの、だ。」

甘い声が、夕鈴を犯し。

「・・・・あぁ・・・へいか・・・へい、か・・・・」

すがりつく夕鈴の手が、黎翔を満たす。




「・・・・穢れたこの手も、この身も。」

「ち、が・・・んぁっ!へい、か、は・・・ぁあっ!」

「君に触れる、資格な、ど・・・くっ・・・・ない、が・・・っ!」

「んあっ!いやぁっ!」

「そ、ばに・・・・・っ!!」

「へいか、へいかぁっ!・・・・ああああっ・・・・あ・・・・おね、がい・・・」

「な、に?」

「・・・・なさ・・・いで」

「ゆう、り・・・」

「_______はなさ、ない・・・で・・・・」

「__________っ!」






「・・・・君には、敵わないな。」


疲れ果てて眠る夕鈴の頬を撫でながら、黎翔は呟き。

暗さに蝕まれた赤い瞳が、光を取り戻す。


「_______我がすべてを、君に。」


そっと囁き、黎翔は夕鈴の頬に唇を寄せた。



狼と呼ばれた、孤独な王の。

唯一つの、かけがえの無い、大切なものは。

春の陽射しの様な、愛らしい一人の兎。

どんな時にも、寄り添い、手をとり。

微笑を忘れない、唯一の、光。
2000_05
07
(Sun)14:08

待ち人 3

縋り付く手に力が籠り、口づけが深くなる。

覆い尽くすように重ねられた唇から熱が移り、身体の芯に火が灯る。

まだ小さな命を守るように抱かされた温石。

じわじわと広がる温もりが、身体の内と外から夕鈴を包みはじめた。



夕鈴を正妃にするにあたり黎翔が作らせた湯殿には、扉ひとつで行ける。

不要な刺客を防ぐためと、黎翔の我儘から造られたそこから、甘いが控えめな花の香り。

身ごもっている正妃を気遣い、ほのかに香る程度に抑えられた湯の香り。


「へい、か・・・お湯の支度、できたみたい・・・」

口づけから解放された夕鈴はうっとりと目を閉じ。

このまま眠ってしまいたいくらいの安らぎに身を任せた。

「うん、そうだね。僕が運んであげるから、眠っていて?」

「・・・は、い。」

とろりと目を閉じた夕鈴の頬に軽く口付けて。

王は優しく后を運ぶ。




いつもの大きな手に、ゆっくりと衣装を脱がされる。

少し膨らみ始めたお腹を、そうっと撫でてくれる手は、とっても安心できて。

ふわふわの湯気と良い香りが、心地よい眠りに私を誘う。

抱き上げられた感覚があって。


「・・・おもく、なぁい?」


赤ちゃんがいるから、きっと重いんじゃないかしら。

夢見心地で聞くと、ふふっと笑われた。

何かおかしなこと、言ったかしら。

不思議だったけど、眠くて。

陛下の腕に身を任せる。


じんわりあったかいお湯と、陛下の温もりと。

とくん、とくん、とお腹の中で笑う赤ちゃん。

気持ちいい?

無意識に手をお腹に当てると、大きな手が被さってきて。


「・・・少し、大人しくしているんだぞ?」


お腹に向かって陛下が言った。





「ゆうりん・・・」

自分の声が掠れているのが分かる。


「待たせてごめんね。」

ゆっくり、優しく、と言い聞かせても。

自分が御せない。


少し膨らみ始めたお腹は神々しくて。

なだらかに続く臍から上の曲線が、際立つ。

掌で乳房を覆い、たぷんと揺らして。

その膨らみに、顔を埋めた。



「あっ・・・ん・・・やんっ!」

うっとりしていたら、陛下の顔が胸にあって。

以前より少し大きくなった乳房を両手で覆われた。


恥ずかしい。

身ごもって、変わり始めた私の身体。

陛下に、見られたくない。


一気に目が覚めた。




ばしゃっ、と湯が跳ね、夕鈴が起き上がる。


「どうした?!」

どこか痛いのかと慌てる黎翔に、夕鈴は懸命に首を振る。

「ち、ちがっ・・・陛下、見ないで下さいっ!!」

胸を覆い隠し、湯に蹲る夕鈴。

「・・・え?」

急なことに戸惑う黎翔を夕鈴の潤んだ瞳が見上げる。

「赤ちゃん、大きくなってきて・・・恥ずかしいから、見ないでっ!」

湯けむりの中、頬を染め。

膨らんだ腹部を隠すようにしゃがみこんだ、夕鈴。

正妃の身体を温めるために、少し生薬が入っているのだろう。

しばらくするうちに、夕鈴の頬はさらに真っ赤に染まってしまい。

「へいか・・・後ろ向いてて、下さい。」

我慢できなくなった夕鈴は、目の前で固まる夫に懇願した。




「恥ずかしいから、見ないでっ!」

え?なんでだ?

訳が分からなかった。

夕鈴の身体の隅から隅まで知り尽くしている自信があるのに。

爪先から髪の先まで。

もっと言うなら、身体の中まで。

恥ずかしがりなのは知っているが、何故、今この状況で?

眼前で見る間に赤くなっていく夕鈴。


「赤ちゃん、大きくなってきて・・・恥ずかしいから、見ないでっ!」

続く言葉でようやく腑に落ちた。


初めての子。

男の私には知ることのできない、身体と心の変化。

どのように変わろうが、夕鈴の全ては私のものだ。

不安が増しているであろう夕鈴に、それを伝えるのを忘れていた。

忘れていた分を足して伝えるとしよう。



「後ろ向いてて、下さい。」

素直に従うふりをした。





湯から上がろうとした途端、抱きすくめられる。


「ああっ!」

首筋に吸い付かれ、華を散らされる。

「やぁっ!」

乳房の形が変わるくらい掴まれて。

以前より大きくなったそれが自分でも分かるくらいで、恥ずかしくて。

身を捩った拍子に、脚の間に陛下の膝が割って入った。


救い上げあられるように乳房を揉まれて、脚を開かされる。

大きな掌が内腿を這い、秘所にたどり着いて、花芽を探る。


くちゅ


何もされないうちから潤っている自分が恥ずかしくて、いたたまれなくて。

「いやあっ!いやっ!だ、めっ!」

拒絶の言葉が口をつく。


「夕鈴、ゆうりん・・・」

陛下の優しい囁きが、耳に吹き込まれた。


「綺麗だよ、夕鈴。」

「・・・う、そ。」

「嘘じゃないよ・・・ほら、このお腹も。」

掌がお腹をくるりと撫でる。

「僕の子がいるんだ・・・かわいい。」

ふふっ、と陛下が幸せそうに笑う。

「この、豊かな乳房も。本当は、僕だけのものだけど・・・」

不満げに。

「少しだけ、子に貸してあげる。」

陛下が呟く。


髪の一筋から、爪の先まで。

私の全てが愛おしいと。

どれほど変わろうが、何があろうが。

例え、消え失せてしまおうが。

いつまでも、いつまでも。

私が愛しいと。

全てが自分のものだと。

言ってくれる。



陛下。

陛下。


「・・・ぎゅっ、って、して?」


もう、それしか言えなかった。




少しずつ、私の中に陛下が入って。

自分の中が震えて悦ぶのが分かって。

「あっ、あっ・・・あああっ!」

恥ずかしいくらい、いい。

「くっ・・・よすぎるっ!」

陛下の苦しげな声が、嬉しくて。

もっと気持ちよくなって欲しくて、腰を動かした。

向かい合って抱き合って。

胡坐をかいた陛下の上に私が座って、動く。

切なげに眉を寄せた陛下の顔。

熱い吐息。

胸をまさぐる手。

噛みつくような、口づけ。

夢中で腰を動かした。


「・・・くっ、あっ、ゆう・・・りんっ!」


陛下の代わりに動く私を切なげに見上げる陛下。

赤ちゃんを気遣って、陛下は強くは動けないから。

私が。

そう思ってたのに。


「ごめん、もう、だめ。」

「あっ!」

「____ここまでなら、挿れても大丈夫?」

「あっあっ!ん、だい、じょうぶ・・・っ!きゃぁっ!」

「ここ、気持ちいいんだ・・・じゃあ、もっと・・・こっちも。」

「やぁっ!」

「夕鈴のなか、熱い・・・」



温かな夜がゆっくりと更けていった。
2000_05
07
(Sun)10:59

慰安旅行 春の部屋 李順さん夫婦Ver.

「慰安旅行」の春の部屋・李順さん夫婦Ver.です。

先に、「慰安旅行 春の部屋・国王夫婦Ver.」をお読みなってからの方がよいかもしれません。

でも、どちらから読んでも多分大丈夫です。











__________そのころ。国王夫婦の寝所から程近い、李順と芙蓉の寝室では。


「お、にいさま・・・もう、ゆるし・・・ぃっ!んん、んんん!」

声を漏らすまいと、必死に自分の口を押さえる芙蓉と、嬉しげに微笑む李順の姿が。

「・・・そうですよ、声が漏れぬよう・・・抑えてごらんなさい・・・」

優しい口調とは裏腹に、李順の指は芙蓉の花芽をくりくりと嬲り、こね回すように腰が動く。

知り尽くした、妻の弱いところ。

李順はそれらを執拗に責め、芙蓉は必死に声を抑える。

「___________っ!!!!__________んっ・・・・!!!!!」

美しい顔を朱に染め、涙を流し。

必死に唇に手を当てる芙蓉に、李順は一層笑みを深め________優しく、責める。

「っ!ああああっ!」

思わず上がる嬌声に、李順は芙蓉の唇を塞ぎ、にっこりと笑いながら嗜める。

「・・・陛下と正妃様に聞かれてしまいますよ?」

壁越しに届く正妃の艶やかな鳴き声と、低く響く、王の囁き。

いつまでもやむことのないそれに、芙蓉の頬が一層染まる。



「・・・芙蓉・・・よい香りがしますね・・・・こちらからも、ほら、ここからも。」

腰の動きを止めることなく、李順の両手が芙蓉を狂わせる。

背をなぞり、頂をこね回し、真っ白な臀部を揉みしだき。

びくんっ、と芙蓉が仰け反るたびに、耳元で囁く。

「_________声を出すと・・・聞こえてしまいますよ?」

ぎゅうっと、目を閉じ、必死に声を堪え。

自分が教えた以上に艶やかに、淫らに反応する妻の姿態を楽しむ。

静かな寝室に響くのは、寝台の軋む音と、艶かしい吐息。

声を落とした囁きと_________隠し切れない、音。


芙蓉の耳に、くちゅくちゅと自らが立てる音が届き。

出せない声のかわりに、優しい夫の囁きが聞こえ。

容赦なく与えられる、痺れるような快感に、芙蓉はもう何も分からなくなる。

口を押さえることも忘れ、ただひたすらに大切な人を呼び続け。

その声すらも、飲み込まれる。

「・・・・誰にも、聞かせません。私だけのもの、ですよ?」

塞がれ続ける唇。

責められ続ける、身体。

もう何度目か数えることも出来ない、真っ白な世界に、芙蓉は翻弄される。

「__________大丈夫、美しいですよ、芙蓉・・・」


・・・・・いつも変わらぬ、優しい声を頼りに。
2000_05
07
(Sun)10:31

慰安旅行 春の部屋 国王夫婦Ver.

さらりとした黒髪。
しっとりと滑らかな温かい肌。
弾力のある、しなやかな筋肉。
骨ばった長い指。
逞しい胸。
きれいなお顔。


___________私の、私だけの、陛下。



足の指から、足裏、ふくらはぎ、脛、膝裏。

ゆっくりと柔らかく、痛みを与えない程度の刺激を与え、ほぐす。

芙蓉に湯殿でしてもらったマッサージを思い出し、ゆっくりと優しく。

右足の次は、左足。

「ん・・・・ふ、ぅ・・・・あ・・・・」

少し苦しげに喘ぐ夫。

「痛い、ですか?」

驚いて問うが、艶やかな黒髪は左右に揺れ。

「ううん・・・・きもちいい・・・・」

黎翔はくったりと脱力し、無抵抗に横たわる。

嬉しくなった夕鈴は、膝裏から太腿、臀部までを、優しくゆっくりと揉み上げ。

「重くないですか?」

と確認をし、夫の太腿の辺りに跨り、腰を指圧する。

「________ああ・・・・」

強張った、硬い筋肉をゆっくりと解される心地よさに、黎翔からため息が漏れ。

「もっと・・・」

思わず口をついて出た言葉に、夕鈴の顔に喜色が浮かぶ。

「はい!」

嬉しげに、夫の臀部にちょこんと跨り、背骨の両脇をゆっくりと揉み解す。

掌を使い痛みを与えぬように。ゆっくりと、ゆっくりと。







温泉に浸かり温まった夕鈴の、心地よい、体温。

僕に跨り、一生懸命マッサージしてくれるのは嬉しいし、気持ちよいけど・・・・


すぐそばで漂う、しっとりとした香油の香り。

大好きな、柔らかい重み。

汗ばんだ肌の感触が、薄い夜着越しに伝わってくるようで。

性急に動きそうになる自分を、押しとどめる。

旅行はまだ、始まったばかり。

夕鈴を労わるための、『視察』と銘打った『慰安旅行』。


・・・うん。がまん、できる・・・たぶん。


背を撫でてくれる、優しい手。

嬉しげにマッサージしてくれる、可愛い妻。

「_________ああ・・・・」

重くないかと聞かれ、思わず正直に答えてしまった。


「もっと・・・・」

触れて。

そう言いそうになり、慌てて口を噤む。


「はい!」

張り切って返事をして、夕鈴は熱心にマッサージを続け。

僕を座らせ、左の手をとり、掌から、二の腕までをやわやわと揉んでくれる。


正面に向き合った夕鈴の頬は、うっすらと桃色で。

さきほど跨ってくれたせいで、裾もしどけなく乱れ。

長身の僕の全身をマッサージして、少し汗ばんだ胸元から、どうしようもなく甘い香りが漂ってくる。

自分の意思とは関係なく、右手が、君に触れようと、動いた。

「あ、次は右手です。」

僕の状態に全く気付いてない夕鈴が、差し出された右手を揉み始める。



小さな、白い手。

働き者の、優しい手。

袖口からちらちらと覗く、真っ白な腕と、俯いた胸元から覗く、柔らかなふくらみ。

「気持ち、いいですか?」

にっこりと微笑みながら覗き込まれ・・・・・ぽすん、と、身体が勝手に君を押し倒す。






「?!」

今の今まで、うっとりと目を閉じていた陛下。

少しでもお疲れを癒して差し上げたくて、気持ちよさそうな陛下の表情に嬉しさがこみ上げた。

「気持ち、いいですか?」

嬉しくて笑いながら聞いただけなのに。


なぜか、陛下に押し倒されていた。







「ねえ、夕鈴・・・・おねがいが、あるんだけど。」

「なんですか?」

夕鈴はきょとんとした表情で、黎翔を見上げる。


「あのさ・・・もっと、触れて?」

「・・・・・え?」

理解するより先に、手首を優しく掴まれて、導かれる。

「っ!」

夫が何をして欲しいのか理解した夕鈴の頬が、真っ赤に染まった。


「ねえ・・・ここも、触れて?・・・・・いや?」

耳に直接注がれる、甘くて蕩けそうな囁き。

「い、やじゃ・・・ない、です。」

我知らず、夕鈴は夫のそれを優しく愛撫し。

「う・・・・ん・・・・っ」

黎翔の口からもれる吐息に、酔う。

「・・・・きもち、いいですか?」

見上げて問えば、そこにあるのは、眉を寄せ、目を潤ませる愛しい夫。

「う、ん・・・すごく、いい・・・」

すがる様に自分を見つめる夫に、幸福感が夕鈴を包み。

つうっ、と、小さく出した舌で夫を舐め上げ、吸い付き。

ぴくん、と反応するそれを握りしめ、愛しげに見つめながら、腰骨から足の付け根、内腿までを愛撫する。

「う、あっ・・・・・んっ!あ!・・・・・く、ぅ・・・・っん」

誰にも隙を見せない、雄雄しくて美しい夫が見せる、恍惚とした表情。

これを知るのは自分だけ。

くらくらするほど甘い、甘い、幸せな時間に、夕鈴は溺れた。




「__________ああ、もう・・・・」


限界。

黎翔は身を起こし、夕鈴の顔に手をそえ、口づける。

熱くて蕩けるように甘い夕鈴の口内を、おもうがままに味わい。

押し倒しながら、脚を押し広げ、とっくに限界を迎えている猛りを花にあてがう。

ぬるりと滑るその感触に、一気に奥まで入り込みたい衝動が襲うが、何とか堪え、夕鈴のこわばりが解けるのを待ち。

さんざん焦らされた御礼とばかりに、夕鈴が一番喜ぶ場所にぐいっと擦りつけ、動きを止める。

「あ・・・・んんっ・・・やっ・・・・・あ、はぁっ・・・な、んで・・・?」

焦れて焼け付くような快感の持続に、夕鈴の腰がゆれ、夫を責める。

「っ、は、ぁ・・・・おねが、い・・・・うごい・・・て?」

涙目で見上げ、さらに腰をくねらせると、黎翔が呻いた。

「ごめ・・・っ・・・・気持ちよすぎて、うごかせな・・・・・」

苦しげな夫の声に、ぎりぎりで保たれていた夕鈴の理性が溶けた。

「い、いや!もっと、くれなきゃ、いやっ!」

突き上げるように腰を動かし、夫を締め上げ、求め。

「っ!ゆう、りん!」

涙を流して、自分を求める妻の姿に、黎翔が限界を迎える。

「___________休ませてあげようと思ったのに・・・・・」

低くそう呟いて、身体を起こした夫の瞳は、まるで獣のようで。

そうさせたのは自分なのだと、夕鈴は歓喜に震える。

「おねがい・・・・もっと・・・・・っ!ああああああ!」

囁いた夕鈴の言葉が終わる前に、黎翔が動き出し。

王と正妃の寝所には、低い囁き声と、愛らしい泣き声が響き渡った。
2000_05
04
(Thu)16:30

太子の休暇 続

《太子の休暇・続》



「_______玉華、大好き。」


幼い頃から大好きだった。

李順に似た、柔らかくて色素の薄い、少しクセのある艶やかな長い髪。

芙蓉に似た、際立った姿。品の良い優しい微笑と、花の顔。


小さな僕は、華やかな百合を思わせる君に憧れていた。

そして、いつの頃からか。


________手に入れよう。


そう、思うようになったんだ。







「・・・・・だ、め・・・・」

清翔に組み敷かれながらも、玉華は抗う。

「朝は・・・・恥ずかしい、から・・・んっぅ!」

大きな手に、口を塞がれ。

驚きに目を見開いた玉華を、清翔が見下ろす。

「綺麗、だよ?・・・それに。」

悪戯な手が、玉華の胸をさまよい、摘み上げる。

「っ!______!!」

口を塞がれた玉華は、声を上げることも出来ず。

「・・・ほら、ね?誰にも聞こえないようにしてあげる・・・から。」

ふふっと笑みを零す夫に、玉華は諦めたような視線を投げ。

そっと、清翔の手をはずす。

「・・・せい、しょうさま・・・わかりましたから・・・・お願い、優しく・・・」

清翔の腰紐を解き、胸元を肌蹴させ。

白くて細い、玉華の手が、清翔の胸肌を、腹を、腰を、這う。

「・・・きれい・・・・」

ほう、とため息をつきながら、玉華は夫に見蕩れる。

艶やかな黒髪。優しくて深い色合いの、紅い瞳。
白い肌。照れると染まる、頬。

手を休めず、夫の夜着を脱がせ。

広くて逞しい背に、唇を這わせる。

__________いずれ、この愛しい夫が、私でない誰かを抱く日が来ても。

・・・あと、一年。

今だけは、私のもの。

「・・・・いまだけは・・・」

ふっと玉華の口をついて出た言葉に、清翔は身体を硬くし。

身を起こし、妻を抱きしめ、優しく問う。

「いまだけ・・・って、なに?」

ふふ、と笑った玉華は、夫のそれをそうっと握り、自ら腰を落とした。

「・・・・・っん・・・は、あ・・・・」

「くっ・・・・だめだ・・・ごまかさない、で・・・・玉、か・・・・」

言い募る言葉を遮るように、玉華の唇が清翔の口を塞ぎ。

何も言わせまい、と、挑むように舌を吸い上げ、優しく食む。

腰を緩やかに動かし、夫を追い詰め。

何も言わせぬよう、唇を塞ぎ。

全てを承知で、玉華は『今』に溺れる。





____________正妃。

富み栄えつつある、この国に必要な、『正妃』は。

臣下の息女ではなく、この国に益をもたらす、異国の皇女だ。

内政が安定した今。

この国に必要なのは・・・・・この国の、国益のために・・・は・・・・


夫に酔い、乱れ。

それでも冷静な自身の思考が、玉華を哀しませる。

_________わかって、います。

_________だいじょう、ぶ。

_________耐えられ、る。


自問自答しながら、玉華は自分が泣いていることには気付かない。

・・・そんな妻を、いつも清翔が強い瞳で見つめていることも。








感極まると、玉華は涙を流す。

始めのころは、生理的なものかと思っていた。

・・・だが。

抱くたびに、嬉しげに、哀しげに応える、玉華。

まるで自分に刻み込むように、僕を求める、玉華。

意志の強い君に、何を言って聞かせても無駄だって、知っているから。


________僕は、何も言わずに、君を抱く。


『君以外は、要らない』


言葉にするより、身をもって示そう。

いつも僕の為だけを考え、僕の為だけに行動する、僕だけの、君を。

これ以上、哀しませないよう。

これ以上、耐えさせないよう。



_________僕は・・・強く、なる。



だから、お願いだ。


・・・・・もう、泣かないで。

君だけしか、欲しくない。

泣かないで__________玉華。
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