2013_03
21
(Thu)23:49

奪還①

【設定・未来夫婦・お子さま全員集合】

黎翔40歳
夕鈴36歳
清翔16歳
明翔11歳
桜花10歳

大体それくらいを想定しております。

・・・大体って。
あのですね、夕鈴が何歳で第一子を産んだかわからなくなってきまして・・・



*オリキャラでまくりです。
*隣国まで捏造です。
*とんでもない展開になる予感が・・・・

それでも大丈夫!と仰って下さる方、どうぞ宜しくお願いします!



《奪還①》




豊かで広い国土を持つ、白陽国。
かつて荒廃したこの国は、狼陛下・珀黎翔の治世で勢いを取り戻し、民は平和な日々を送っていた。

_____つい、三ヶ月前までは。


東の国境付近で、隣国・翠国の侵略が始まったのだ。
ちょうどその時、国王が西に視察に出ていたこともあり、白陽国の初動が遅れ、事態は悪化の一途を辿り。

東の砦は敵軍に取り囲まれ、兵も民も疲弊した頃・・・・講和条件が示された。


第一回講和会議の席上。

白陽国代表・柳方淵と、翠国代表・玉環は、互いの条件を提示した。

白陽国の条件は、

『翠国は即刻撤退し、白陽国に与えた損害を弁済すべし』

という、至極真っ当なものだったが。

翠国の提示した条件は、さすがの方淵も絶句する内容だった。

『翠国は、即刻撤退し、貴国や貴国の民に与えた損害を倍額で弁済する。・・・・但し。貴国の皇女を翠国へお連れすることを条件とする』


翠国代表をその場で怒鳴りつけなかっただけ、方淵も大人になったと言えるのかどうか・・・

方淵は、王の怒りの程を想像し、背筋が凍りつく思いで報告のため帰城したのだった。



「・・・・・これは宣戦布告だな?」

報告を聞いた瞬間、黎翔は周囲が凍りつくような怒気を全身から発し、冷ややかな声音で告げた。

予想通りの反応に、方淵は額を床に打ち付けて謝罪する。

「この様なご報告しか持ち帰れず・・・申し訳のしようもございません。」

その様を、玉座に座る黎翔とその傍らに立つ清翔は、冷ややかに見下ろした。


「________方淵。次こそはもう少しマシな報告を持ち帰るように・・・」

そのまま座を立とうとした黎翔の耳に、


「お待ち下さい!!」


一番話を聞かせたくなかった、最愛の妻の声が響いた。

「_______お待ち下さい、陛下。」

凛とした、正妃の声で夕鈴が場を変えた。

「私も、皇女と共に参りましょう。」

「だめだっ!!」
「だめですっ!!」

王と皇子が同時に叫ぶ。

「_______だめですよ、陛下。清翔。今は一刻も早く東の砦を回復させることが先決、でしょう?」

ふわり微笑んだ夕鈴に、居並ぶ臣下は一様に平伏した。



その夜の後宮。王と正妃の寝室では。


「ねぇ、夕鈴、ほんとに、ほんとに行くの?!『やっぱりやめた!』って言っていいんだよ?!ねぇ、ほら、無理しないで!『行かない』って言って?!お願いだから!ねぇ!ねぇ!!」

必死に取りすがる黎翔。

・・・この姿だけは、誰にも見せられないわ・・・・

夕鈴は深いため息をつき、呆れたように笑顔を浮かべた。

「陛下。すぐ迎えに来て下さるでのしょう?お待ちしておりますから______桜花と。」

「ええええええっ!本気なの?本当に行くの?!やめようよ!やめて!やめてください!何でもするからっ!おねがい!!!」


『取り乱す』という言葉を体現した様な夫を、夕鈴はぎゅっと抱きしめ、いつも夫にされるように、耳に直接囁いた。

「____黎翔様。どこにいても、なにをしていても。・・・・私は貴方の味方、ですよ?」

「ゆ、うりん・・・・」

黎翔の紅い瞳から、涙が一筋流れ落ちた。


「奪還2」へ



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2013_03
22
(Fri)08:03

奪還②

【設定・未来夫婦・お子さま全員集合】


黎翔40歳
夕鈴36歳
清翔16歳
明翔11歳
桜花10歳

大体それくらいを想定しております。

・・・大体って。
あのですね、夕鈴が何歳で第一子を産んだかわからなくなってきまして・・・

*オリキャラでまくりです。
*李順さんの奥様まで登場しました。
*隣国まで捏造です。
*とんでもない展開になる予感が・・・・

それでも大丈夫!と仰って下さる方、どうぞ宜しくお願いします!



《奪還②》


「出立!!」

李順の号令にあわせ、正妃と皇女が乗った馬車が動き出す。

見送る黎翔・清翔・明翔は、殺気と冷気を隠そうともせず、紅い瞳を不気味に光らせ馬車を見つめた。

馬車に付き従う李順と芙蓉は、王と皇子達の姿を認めると、期せずして目を合わせ、囁きあう。

「お兄様・・・・私が翠国なら、あのお三方にだけは喧嘩を売ったりしませんわ・・・」

「ええ、芙蓉。・・・本当に。・・・まったくもって無謀としか言いようがありませんね、翠国は。・・・逆鱗に触れる、という言葉をご存じないのか・・・」


上空を覆い尽くしそうな、どす黒い気を発する三人を遠目に確認し、李順は深々とため息をついた。


ガタガタと揺れる馬車から、無邪気に景色を楽しむ桜花に、夕鈴から苦笑がもれる。

「ねぇ、お母様!ご覧になって!ほら、なんて綺麗な桜並木!!」

「ほら、お母様!!あちらには海のように草原が広がって・・・・!素敵!!」

これから隣国へ人質になりに行くというのに、まるで物見遊山に行くようにはしゃぐ娘に、夕鈴の胸は痛んだ。

「・・・桜花?無理しなくて良いのよ?今は二人きりだから・・・」

まだ背も伸びきらない娘の艶やかな黒髪をそうっと撫で、包み込む。

「________おかあさま・・・」

母の胸に顔を埋め、桜花はポロリと涙をこぼした。


その時。
________カタン

馬車の天井板が一つだけ外れ、浩大がひょいっと顔を出した。

「大丈夫だよ、桜花ちゃん。俺が守ってやるから!」

にっこりと笑う浩大の笑顔は、底抜けに明るく。

「うん、ありがとう、浩大。」

少し元気を取り戻した桜花が、にこっと笑った。







東の国境。

翠国からの仰々しく美々しい迎えの行列が、無駄に飾り立てられた馬車を先頭に、夕鈴と桜花を出迎える。

すっと李順が前に出て、翠国に告げた。

「______白陽国正妃、夕鈴様と、皇女、桜花様のお成りです。」

ザッと音を立てて、翠国の一団が膝をつくのを確認し、芙蓉が馬車の扉を開けた。


ふわり、と満開の桜のように微笑み、優雅に歩を進める正妃と、春の妖精のように可憐な皇女の姿に、翠国の面々は息を呑んだ。

と、その時。

「_________夕鈴様っ!!!」

厳粛な空気を破る、大音声が響く。

「夕鈴様っ!お待ちしておりました!!この日を何度夢に見たことか!!!」

(・・・・・・・まさか。)

李順は眉間を押さえ、頭痛を堪えた。

(・・・・・翠国、国王・・・・)

翠国側の馬車から、転げ落ちるように飛び出し、夕鈴の手をとり恭しく甲に口付けたのは______翠国国王・玉禮、その人であった。


(今ここに陛下がいらしたら、確実に手が斬り飛ばされてますよ?)

心中で盛大に突っ込みを入れながら、李順は勤めて平静を装う。

「これは、翠国国王陛下。わざわざのお出迎え・・・」

「いやいや、李順殿。今こそ、我が宿願が叶いました!よかった!よかった!やはり桜花様をお一人でお遣わしになるような夕鈴様ではございませんでしたな!!」

「・・・・まさか。」

「・・・・これくらいせねば、貴国の王は正妃を手放さないだろう?」

ニヤリと笑みを浮かべる翠国国王・玉禮。

黎翔ですら一瞬怯むほどのどす黒い怒気を発する李順。

そんな二人のにらみ合いに割って入ったのは_______夕鈴と桜花だった。


「国王陛下。長旅で疲れました。休める宿舎はございますか?」

にこりとお妃スマイルを浮かべ、さりげなく手を振り解きながら夕鈴が問えば、桜花がそれに続く。

「お初にお目にかかります、国王陛下。白陽国第一皇女、桜花にございます。以後お見知りおきをお願いいたしますわ。」

邪気のない可憐な桜花の笑みに、我に返った国王が行列を動かした。

「失礼した。あまりに待ち侘びておりましたので・・・。では、この先の離宮へ案内いたしましょう。」



一部始終を盗み見ていた浩大は、

(やばい!あの国王、絶対やばい!お妃ちゃんを狙ってる!!最速で報告しないと俺の首が飛ぶーーーーー!!!)

と、青ざめながら、必死に馬を走らせた___________






白陽国、王宮。

黎翔の書斎では、息を切らしたまま駆け込んできた浩大を、底光りする三対の瞳が黙って見つめていた。

「・・・・そ、そんなわけで!あっちの王様の狙いは、最初からお妃ちゃんで!今頃は、国境から半日ほどのところにある離宮で・・・!」


「・・・・・・・・浩、大・・・・・」

ゆらり、と立ち上がった黎翔。

殺気を感じた浩大は、慌てて口を開いた。

「だ、大丈夫!李順さんがいる!いるから!まだ大丈夫!!ほら、陛下!もう軍の主力も先発してるから!!だから、お願いです!!!おちついてーーーーー!!!」

「今の父上に、落ち着けとかって・・・・」

ぼそっと清翔が呟くと、

「無理。」

明翔が言葉を引き取った。


「奪還3」へ


2013_03
23
(Sat)01:02

奪還③

最初にご注意を。

完全に、私の自己満足に走っております。

こういった設定が苦手な方は、どうぞご無理なさらず!!


【設定・未来夫婦・お子さま全員集合】


黎翔40歳
夕鈴36歳
清翔16歳
明翔11歳
桜花10歳

大体それくらいを想定しております。

・・・大体って。
あのですね、夕鈴が何歳で第一子を産んだかわからなくなってきまして・・・


*オリキャラでまくりです。
*李順さんの奥様まで登場しました。
*隣国まで捏造です。
*とんでもない展開になる予感が・・・・

それでも大丈夫!と仰って下さる方、どうぞ宜しくお願いします!



《奪還③》


黎翔が、瞳を紅く光らせ、妻と娘を奪還すべく、無言且つ粛々と『仕度』を整えている頃。


翠国の離宮では。

「わぁ、素敵な温泉!」

「本当ね、桜花。お湯の色も乳白色で・・・よかったわ。」

ぼそっと夕鈴が呟く。

「・・・どうして『よかった』の?お母様?」

夕鈴はにっこりと微笑むと、優雅な笑みを顔に張り付かせたまま、話し出した。

「・・・桜花。母様はね・・・・今ほど李順さんの『お妃教育』に感謝した事はないわ。」

「え?」

「桜花も、芙蓉さんから教えてもらった、『微笑』を消さずに聞いて?」

「・・・・はい。」

にっこりと上品な笑みを浮かべ、桜花が夕鈴に向き直る。


「驚かないで?いい?」

笑みを張り付かせたまま、夕鈴は桜花に囁いた。

「ええ、お母様。」

母よりも自然に微笑み、余裕で桜花は答えた。



「・・・・覗かれてるわ。」

ビクッと桜花の肩が揺れる。

その肩にさりげなく湯を掛けてやりながら、夕鈴の目が据わり始めた。

「・・・・・あの国王・・・!ここが下町なら桶を投げつけてやるのに・・・・!」

夕鈴のこめかみがピクピクと震え、母の怒りの程が桜花に伝わった。

「だから、私に湯巻を付けるように仰って、お母様も湯巻をお脱ぎにならなかったのですね?」

「ええ。手を洗いたかったから、温泉には入ったけれど・・・。」

夕鈴は俯き、湯の中で、玉禮に口付けられた左手の甲を、ごしごしと擦り続けながら話す。

母から目を逸らした桜花の瞳には、激しい怒りが込められていた_____




母子が脱衣室に戻ると、芙蓉が待機していた。

「夕鈴様、桜花様。お召し替えをお持ちいたしましたわ。」

芙蓉はいつも通り、優しく優雅に微笑んで、着付けを行う。

「_______夕鈴様。お静かにお聞き下さいませ。」

「ええ。」

「翠国国王陛下がご準備された衣装もございましたが・・・少し、薄手で・・・。正妃様は少し風邪気味ということにして、なんとかこちらの衣装にすることができました。」

「・・・・・薄手って・・・・まさか・・・。」

「はい。夕鈴様のご想像通りの衣装かと_______。」

夕鈴の握りこぶしがぶるぶると震え、目が据わり、気迫が増す。

「_______芙蓉さん。」

「はい、正妃様。」

「・・・・かわいい娘を辛い目に合わせ、民にも辛酸を味あわせ。・・・それもこれも、全て私を手に入れるためだ、というの?あの男は。」

夕鈴の顔に、氷のような微笑が浮かび、びりびりと空気が震える。

「狼陛下の妻を舐めないでよね・・・・!思い通りになってたまるものですか!!!!」

「正妃様・・・。」

「お母様・・・。」

初めて見る夕鈴の本気の怒気に、芙蓉と桜花は絶句した。

(・・・お母様ってお父様より怖いかも・・・)

桜花がそんなこと思ったのは、内緒である。







その日の夜、翠国の離宮では夕鈴と桜花のために宴が開かれた。

夕鈴は襟が高く、指先までを優雅に覆う衣装を身につけ、高く髪を結い上げて扇で顔を覆い、宴席に現れた。

夕鈴と並んで歩みを進める桜花は、その名の通り、少女らしく愛らしい桜色の衣装を纏い。

数歩遅れて二人につき従う芙蓉は、淡い緑色の艶やかな衣装を身につけ、生来の美貌と姿のよさを遺憾なく見せ付ける。

「正妃様のお顔があまり見えないな・・・」

「_____あれが皇女様か・・・・あと数年経てばさぞかし・・・」

「お二人の後ろを歩いている、あの美女はどなただ?!」

「狼陛下の側近の奥方らしいぞ・・・麗しいな。」

「正妃は無理としても・・・・あの奥方ならどうにかならないか・・・・」

ざわつく宴席から漏れ聞こえる芙蓉への無遠慮な言動に、下座で控えている李順の額に青筋が浮かぶ。

(・・・翠国の方々・・・芙蓉に手を出したら、国庫を空にして差し上げますよ・・・?)

李順はいかにして翠国の財力を削ぎ落とすかを計画し始めた_________




「これはお美しい!さすがは夕鈴様ですな!」

ニコニコと機嫌のよい笑みを浮かべ、玉禮は夕鈴の肩に手を伸ばす。

するりと身をかわし、夕鈴はにっこりと微笑んだ。

「・・・・人のものに手をお出しになるのは、あまり感心いたしませんわ。」

そういい捨てると、ふわりと裾をさばき、ゆったりと座す。

夕鈴の態度に慌てた玉禮は、舞姫たちに早く演舞を披露するよう命じ、必死に夕鈴の機嫌を取ろうと、あれやこれやと話しかける。

その様子を遠目に見ていた李順の眉間には皴が寄り、黎翔がこの光景を見たらどうなるのかを想像して身震いした。


一方、芙蓉は。

(_______油断できませんわ・・・)

危機感を強めていた。


翠国国王が夕鈴に向ける、舐めるような視線。

辞退する夕鈴に、しつこく酒を勧める姿。

すべてが芙蓉の本能に危険を告げる。


(・・・桜花様)

心で呟き、さりげなく視線を皇女に向けると・・・・

桜花は、赤い瞳にまぎれもなく怒気を滲ませ、だが優雅に微笑みながら、芙蓉に視線を返してきた。





長かった宴もお開きになり、離宮の侍女が夕鈴を寝室へ先導する。

慣れぬ異国のほんの少しの酒に、夕鈴は頬を染めていた。

(・・・・桜花は先にやすんだかしら・・・)

娘を案じつつ、開かれた扉を潜り______夕鈴は、慌てて踵を返した。

(ここ、私の部屋じゃないわ!)

ざあっと血の気が引くのがわかる。

背筋に嫌な汗が伝う。

「________もう、逃がしませんよ。夕鈴様。」

背後から、玉禮の嬉しげな声が聞こえ、夕鈴の肩がビクッと震えた_____


その時。

バタンッと大きな音と共に、扉が開かれ。

夜着姿の桜花が、目を擦りながら、スタスタと部屋に入ってきた。

「______お母様、私、こちらは初めてで心細くて・・・。ご一緒に休んでくださいませ。」

夕鈴は、助かった!とばかりに桜花に駆け寄り、部屋を出た。

「ありがとう、桜花!・・・危なかったわ・・・」

先ほどの状況を思い出すと、全身に鳥肌が立つ。

「夕鈴様!ご無事ですね?」

首尾を心配して待っていた芙蓉が二人を出迎え、今度は正真正銘、夕鈴と桜花にあてがわれた部屋への扉を開ける。

部屋の中では、李順が待っていた。

「正妃様。皇女様。・・・ご無事で何よりでございます。」

「李順さん・・・」

ほっとした夕鈴は、思わずその場に座り込んだ。

「正妃様!床に座らない!!」

李順の叱責が飛ぶ。

「はいいっ!!」

夕鈴は条件反射で立ち上がり、ぴしっと姿勢を正した。

「よろしいですか?!あと五日、あと五日間だけ、なんとか玉禮をかわしてください。」

「五日、ですか?」

「ええ、五日間です。五日あれば、陛下が事態を収拾して下さいます。・・・準備を整え、すでにこちらに向われているとの連絡が入りました。」

「陛下が、こちらに・・・・」

それを聞いた夕鈴は、なんともいえない安堵感に包まれた。

_______そして。

「わかりました・・・李順さん、芙蓉さん、助けてくださいね?・・・・桜花、無理しちゃだめよ?」

夕鈴はにっこりと、三人に笑顔を向けた。


「奪還4」へ



2013_03
23
(Sat)01:04

奪還④

ようやく、終わりです。

繰り返しますが、自己満足です。(笑)

苦手な方は、ご無理なさらないで下さいね・・・?


【設定・未来夫婦・お子さま全員集合】


黎翔40歳
夕鈴36歳
清翔16歳
明翔11歳
桜花10歳

大体それくらいを想定しております。

・・・大体って。
あのですね、夕鈴が何歳で第一子を産んだかわからなくなってきまして・・・


*オリキャラでまくりです。
*李順さんの奥様まで登場しました。
*隣国まで捏造です。
*とんでもない展開に。

それでも大丈夫!と仰って下さる方、どうぞ宜しくお願いします!



《奪還④》


_____一日目。

夕鈴は、風邪を引いた・・・ことにした。

玉禮の意を受けた翠国の侍女たちが、正妃の様子を伺うのだが、正妃は「風邪」という言葉どおり、頬を真っ赤に染め、苦しげに寝台に横たわっているのみ。

桜花と芙蓉は、夕鈴のそばで甲斐甲斐しく看病に当たる。

・・・実は、芙蓉が、氾紅珠の手からなるあの「物語」を、夕鈴に朗読して聞かせ、夕鈴は必死にそれに耐える、という苦行が展開されていたのを知るのは、三人のみ。


______二日目。

夕鈴の具合がまだよくならないと聞いて、翠国が医官をよこした。

夕鈴は、医官に脈を見せている間中、黎翔が耳元で囁く甘い言葉を思い起こし、心拍数を上げた。



ここまでは、どうにか誤魔化せたのだが。

三日目。

痺れを切らした玉禮が、「早々に出立して、王宮の医官に夕鈴を診せる」と言い出した。

翠国の医官たちは皆国王の言葉に従い、是の意を示し、白陽国側も反対することが出来ず。

心配に表情を曇らせた玉禮は、病床(?)の夕鈴に、

「明日は王都に出立いたします。翠国随一の医師が夕鈴様の病をお治しいたしますので、どうぞご安心を・・・!」

と、真摯に告げる。

(・・・っ!それが安心できないのよ!!!)

夕鈴は心の中で盛大に叫びつつも、枕も上がらぬ病人の振りをし続けた。


_____その夜。

李順、芙蓉、夕鈴、桜花は、どうにか出立を日延べできないものかと思案していた。

「・・・・仮病はもう通じませんし・・・・」

芙蓉が呟く。

「あと二日、どうにか引延ばすことができれば・・・・!」

李順が呻く。


その時、桜花が。

「李順さん。・・・・先日、『あと五日間』と仰ったのは・・・お父様ご自身?」

不意に李順に問うた。

「いいえ、皇女様。正確には、浩大からの知らせです。」

なぜそんなことを?と言いたげな李順に、桜花は満開の笑みを見せ。

「なら、もう大丈夫よ!今日で三日、経ったわね?大丈夫、お父様は今夜中にはいらっしゃるわ!」

「「「・・・・え?」」」

夕鈴、芙蓉、李順の三人の声が思わず揃った、その時。

_____カタンッ

窓が微かに音を立てて開き。

「夕鈴!桜花!」

______黎翔が飛び込んできた。




「お父様!」

桜花は父の胸に飛び込み、

「「陛下」」

李順、芙蓉の声が重なり、礼をとる。


「・・・・へい、か・・・・黎翔様・・・」

震える声でその名を呼んだ、夕鈴は・・・・しっかりと、黎翔に抱き締められた。






翌朝。


離宮は白陽国の軍に完全に包囲されていた。

事態を知った、玉禮は、慌てて夕鈴と桜花の部屋に向ったが、そこはもぬけの殻。

呆然と立ち尽くす翠国国王に_____講和会議の代表を務めた、玉環が状況を説明する。


曰く。

二日前に、翠国の王宮は、白陽国の皇子達が率いる白陽国軍の主力に占拠され。

昨日、翠国国王・玉禮の退位が、全大臣達によって承認された。

本日、翠国国王・玉禮は速やかに退位し、その甥・玉環に王位を譲るよう______


茫然自失の態でその「決定」を聞いた玉禮は、その後、正気を失い、息を引き取るまで、離宮で愛しい女性の面影を追いながら過ごしたという。








妻と娘を奪還し、ようやく白陽国の後宮に平和が戻った頃。

ふと、李順は思い出して黎翔に尋ねた。

「・・・陛下。なぜあの時、予定より二日も早くご到着なさったのですか?」

「えー、だって、五日も夕鈴と桜花をあんなところにおいて置けないでしょ?だってほら、寝ないで行軍すればさ、五日の行程を三日に縮めることなんて簡単でしょ?」

「・・・陛下・・・無茶を・・・・」

「なんでさー。全然無茶じゃないよー。ちゃんと兵達にも褒美を出したし。」

「それにしても、どうして皇女様はご存知だったのか・・・」

「あ、それはね。桜花が一番僕と性格似てるから!_____あのあと、気が触れた玉禮を生かしておくのに一番納得しなかったのは・・・・桜花だぞ?」

思わず李順の背をぞくりと悪寒が走った______その時。

「李順さん!美味しいお菓子を芙蓉さんと作ったの!召し上がってくださいね?」

無邪気な少女の笑顔で、皇女が入室してきた。

「・・・・・皇女様・・・・」

李順は、少しだけ青ざめながら、ぎこちなく皇女に笑みを返したのだった。
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